初期の蒸気動力技術

　　蒸気の力の直接的利用の試みとその限界→大気圧の力の利用という迂回的方向での技術開発の成功（当時の素材技術の限界のために余儀なくされた迂回）

前史(1)････蒸気の力に関する認識は古代から存在、近代においても関心の対象

1)ヘロンのエオリピル←反動型蒸気タービンの祖形
2)レオナルド・ダ・ヴィンチの蒸気大砲
3)ブランカの蒸気車←衝動型蒸気タービンの祖形




前史(2)････蒸気の力と大気圧の力の両方を利用する揚水装置

1) ポルタ（イタリア）1606 蒸気発生部と蒸気利用部の分離
2) コー（フランス）  1615
3) サマーセット（イギリス） 1635作業の連続化の試み（連続的な蒸気発生による連続的作業）
4) セーヴァリ（イギリス） 1698




前史(3)････「大気圧の力」の大きさに関する認識とその産業的利用の企て････

レシプロ型蒸気機関登場の技術史的背景
1)ガリレオ
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2)トリチェリ
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3)ゲーリケ
　

大気圧の力を示すデモンストレーションにより、「いかにすれば大気圧の力を利用できるのか」という技術的課題の社会的認知の普及 （ゲーリケの真空ポンプ、ゲーリケのデモンストレーションで使用された装置としてのピストン＋シリンダー）

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↓
4)パパン

1680年　火薬の爆発的燃焼によるシリンダー内の空気の排除
1690年　シリンダー内の水の加熱によって水蒸気を発生させて空気を排除
しかしパパンは結局の所、直接的に動力を発生させる装置（一次的動力機）の追求からセーヴァリ型蒸気機関の改良およびセーヴァリ型蒸気機関と縦型動力水車のハイブリッド型製品へと方向転換した。

１８世紀の蒸気動力技術････レシプロ型蒸気機関の登場と展開の過程

ニューコメン

1) 作動原理


＜「蒸気発生部」（ボイラー部）と「蒸気による力の取り出し部」（シリンダー部）の分離＞というセーヴァリ的発想と、＜シリンダーの利用＞というパパン的発想の組み合わせ←セーヴァリでは動力を直接には取り出すことが出来なかったが、パパン的発想を採用することで単動機関ではあるが動力を直接的に取り出すことが可能となった。

2) 大きさと出力の関係
　
Ｗ＝∫Ｆdx＝∫ＰＳdx　したがって仕事を大きくするには、Ｐの大きさが限定されていたニューコメン型などの蒸気機関では、シリンダーの長さｌやシリンダーの断面積Ｓを大きくする必要がある。

3) 出力
4) コスト計算
5) セーヴァリの特許権との関連←1719年の版画の中の文が示すもの





ワット

1)ニューコメン機関の改良→分離凝縮器separate condenser による熱効率の改善(1769)
特許権問題

2)水車や風車など既存の主要動力技術との「互換性」の欠如の問題（蒸気機関は揚水作業など一部の作業に利用されるだけで<補助的動力機関>としての役割に留まる）
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回転運動の取りだし
直接的取り出し（ロータリー型蒸気機関）は失敗
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間接的取り出しの方向での技術開発
sun-and-planet gearing system
ﾗｯｸ機構→平行四辺形機構
単動機関→複動機関化

3)制御技術の芽生え（はずみ車、円錐振子式調速器）
はずみ車は内燃機関の自動車ベンツ１号車(1885)でも採用されている←図はＮＨＫ編『自動車』p.26の図37が参考になる。

4)使用料問題
計数器、インディケーター

１９世紀の蒸気動力技術

三つの技術的課題

1) 高出力化
2) 高効率化
3) 小型化



課題達成のための技術的方法

1) 使用蒸気圧の高圧化
2) 蒸気の効率的利用（多段膨張ほか）
3) ボイラーの改良(1)････ボイラー形状の改良
4) ボイラーの改良(2)････ボイラーにおける過熱器の使用