ミニコンピュータのCPUのLSI化

DEC LSI-11

「KDF11」
本WEBページの著者によれば、1970年代後半以降には、下記のような理由からミニコンピュータのCPUのLSI化が実行された。

  1. CPUのLSI化により「コンパクトで低価格、さらに高性能を引き出せるかもしれない」
  2. 「大型コンピュータと違い、比較的小規模なコンピュータなので、当時のLSI技術でもLSI化できる見込み」がある
  3. 「ソフトウェアはそのまま使えるし、バスも従来製品のものを踏襲すれば、入出力やメモリシステムを最初から設計し直す必要はない」

NOVAもmicroNOVAとしてLSI化(Fairchild Semiconductor社が製造)=ワンボードプロセッサー化され、DECのPDP-11はLSI-11としてLSI化=ワンボードプロセッサー化された。

DECのPDP-11というミニコンピュータには「多数のユーザがいて、多くのソフトウェア資産やハードウェア資産があり、新興勢力のマイクロコンピュータ勢とは貯えているものが違」ったが、そうしたのである。

ミニコンのCPUのLSI化に関するnkomatus氏の次のような記述はとても興味深い。

「DECは1975年6月に、Western Digitalからマイクロプログラム方式のLSIセットであるMCP-1600を買い込み、それに実行させるマイクロプログラムを書き上げてPDP-11と互換を持たせる方法で、LSI化したミニコンピュータを開発し発表しました。それがLSI-11です。そして、1977年には半分の基板サイズにCPUだけを実装したLSI-11/2を発表します。・・・中心となるLSIのチップセットはF11と呼ばれ、データチップのDC302、コントロールチップのDC303、メモリ管理ユニット(MMU)のDC304から構成されます。オプションで浮動小数点演算命令をサポートするマイクロプログラムROMも搭載できます。これらはDECの独自開発で、LSI-11とLSI-11/2の後継として1979年3月に発表されました。 」
「私は1985年頃、LSI-11/73を使っていました。当時のPCと比べれば、それなりの高性能でした。ただ、バスの規格が古くなっていて、バスの転送速度によって能力がかなり押さえられてしまっていた印象があります。だからこそLSI-11/73はキャッシュメモリをボード上に搭載し、性能をなんとか維持していたのでしょうが。LSI-11バスはUNIBUSの流れを汲み、IBM-PC/ATのISA busと同程度かそれより遅いくらいでした。バスを再設計して、膨大な周辺ボードまで開発し直したりOSを書き換えるほどの価値はないと判断されたのでしょう。パーソナルコンピュータレベルの能力がだんだん近づいてきていましたから。
また、ミニコンピュータの用途としては汎用計算機として使われる他に、大きな工場の機械群を制御する組み込み用コンピュータという面がありました。こちらは8 bitや16 bitのマイクロプロセッサを複数使って制御した方が開発や運用が楽になるということから、やはりシェアを減らします。マイクロプロセッサを組み合わせるぐらいでは使い物にならない、データベースを操作しながら行うような工場全体の製造管理システムにはスーパーミニコンピュータや大型コンピュータが使われるでしょうから、マイクロプロセッサの高性能化に伴い、未来が閉ざされてしまいました。
なお、さらにコストが厳しく性能が低くてもかまなわい分野の組み込み用コンピュータとして使われていたPDP-8シリーズは、PDP-11シリーズより先にマイクロコンピュータの波にのまれてしまっています。そういえば、PDP-8/EはIntersil社からIM6100シリーズとしてマイクロプロセッサ化されています。IM6100シリーズの際立った特徴に完全CMOS化という点があります。低消費電力で電源電圧範囲も広く(4 – 12 V)、乾電池を(安定化電源回路を通さずに)そのまま電源にして動くコンピュータが作れました。 」
 
Section Two: Forgotten/Innovative Designs before the Great Dark Cloud
Part V: The Western Digital 3-chip CPU (June 1976) .
本WEBページの記述によれば、LSi-11のALUチップは、26個の8ビットレジスターと8ビットのALUユニットから構成されている。
 

同様の記述は下記にもある。

William Stallings, Computer Organization and ArchitectureのChapter 20 “Microprogrammed Control”
LSI-11というワンボードプロセッサは、dataチップ, controlチップ,control storeチップという3個のチップから構成されている。そしてdataチップは、”an 8-bit ALU”と26個の8ビットレジスターを中に持つ。 26個の8ビットレジスターの内、16個で”the eight 16-bit general-purpose registers of the PDP-11″の役割を果たすように実装されていた。他のレジスターは、”a program status word, memory address register (MAR), and memory buffer register”として利用されている。ALUは一度に8ビットしか取り扱えないので16-bitCPUのPDP-11の arithmetic operatioの実行はマイクロプログラムにより制御され2パスでなされた。
なおcontrol store chipチップは22ビット幅のcontrol memoryを持っている。
 

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