Last update: May 9, 2009

授業スタイルを理解するための基本的視点
1)「学び問うこと」としての学問
a.「何が常識的見解なのか?」を踏まえた上で、その常識的見解の根拠が何かを考察すること
b.「常識的見解は本当に正しいのか?」を様々な視点から批判的に検討すること
c.理論に基づく考察とデータに基づく考察という二つの視点から相互的かつ総合的に検討すること
一つの問題に対する<理論的視点からの検討>と、<様々な事実との一致・不一致を調べるというデータ的視点からの検討>
理論とデータの相互的検討・・・<理論が正しいかどうかに関するデータに基づく検討>と<データにどのような意味があるのかやデータは本当に正しいのかということに関する理論的検討>
データ的視点には<現在的視点からの検証>(現在的事実に基づく検証)と<歴史的視点からの検証>(歴史的事実に基づく検証)の二つがある
力学的運動とのアナロジー的発想で現実を分析すること(現在位置x、速度v=dx/dt、加速度a=d2x/dt2という三つのレベルで過去・現在・未来を捉えること)が重要
すなわち、 といった多重的視点からの分析が必要である。


2)講義で前提しているモノの見方・考え方
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sano/2003SOB/methodology01.htm
 「なぜ、授業で歴史的事実というデータをこまかく教えるのか?」「なぜ、授業でコンピュータの構造に関する事実というデータをこまかく教えるのか?」という疑問を持つ人もいるかと思いますが、学問的考察は下記のように「データから出発して、データに帰る」あるいは「データから出発して、理論による批判的吟味の作業を通じてデータの意味内容を明らかにする」ということを何度も繰り返すことが基本です。
 すなわち、「データに基づいて理論的仮説を立てる」ことからはじめて、次に「その理論的仮説がどの程度まで正しいのか、あるいはまったく誤っているのかをデータに基づいて判断する」ということを無限に繰り返すことでより適切な科学的理論を形成することができます。そして科学的理論を利用したデータの批判的検証作業により、データの意味内容をより深めることができます。(「データから理論」へと向かう抽象化[帰納]と、「理論からデータ」へと向かう具象化[演繹]という二つのプロセスの無限循環が学問的営みです。)

後期の「技術戦略論」の授業では、「企業がどのような技術戦略をとっているのか?」ということに関してデータに基づいて解明する(データから技術戦略という構造を仮説的に導き出す)とともに、「どのような戦略がどのような状況の下で有効なのか、あるいは無効なのか」ということに関する理論的仮説をデータに基づいて検証する、ということを行う予定です。

a.<データ>から<構造>へ ・・・ データ←→一次的連関←→構造

b.<構造>から<理論>へ

c.<理論>による<データ>や<構造>の説明・予測


明治大学経営学部 佐野研究室
Last update: May 9, 2009