[最終改訂日時]1998.04.07

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科学史の「参考文献」および「参考文献紹介サイト」の紹介

＜目次＞

1. 科学史の「参考文献」
   
2. 科学史の「参考文献紹介サイト」
   
3. 科学史関連の貴重図書を紹介しているサイト
   

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科学史の「参考文献」

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● 古代から近代にかけての天文学の歴史的展開過程に関する参考文献
１＞高橋憲一「解説・コペルニクス革命」お勧めの論文
『コペルニクス　天球回転論』みすず書房,1993年,pp.121-232

--- 「解説・コペルニクス革命」の目次 ---
1 はじめに
2 コペルニクス以前の天文学１：ギリシアとローマの世界
　　2.1 同心天球説
　　2.2 導円一周転円説
　　2.3 地球の不動性：ギリシアの地動説に抗して
　　2.4 アリストテレスの自然学3 コペルニクス以前の天文学　２：アラビアとヨーロッパの世界
　　3.1 アラビア世界の天文学
　　3.2 ヨーロッパ世界の天文学：中世からルネサンスヘ4 コペルニクスの生涯と著作
5 コペルニクスの天文学：地球中心説から太陽中心説ヘ
　　5.1 理論的革新の動機
　　5.2 理論的革新への道筋
　　5.3 太陽中心説の革新性と問題性6 コペルニクス説の受容と変容の過程
　　6.1 オジァンダー路線：太陽中心説の道具主義的理解の浸透
　　6.2 実在主義的太陽中心説への反動：新しいタイプの地球中心説の出現
　　6.3 コペルニクス路線：太陽中心説の実在主義的理解の浸透


下記に紹介している北大院生の吉田晴代さんの「読書案内」でも述べられているように「一見、とりつきにくい印象だが、実は読みやすい。それになんと言っても面白い。」論文です。

　本論文が所収されている『コペルニクス　天球回転論』みすず書房の前半部は、コペルニクスの『天球回転論』と『コメンタリオス』の翻訳である。
　前者は、コペルニクスの死の直前の1543年３月に刷り上がったDe Revolutionibus orbium coelestium,全６巻の第１巻を翻訳したものである。この本の出版がその後の近代科学革命を引き起こす引き金となったと言われている。コペルニクスの地動説に関する公刊本はこれが最初のものであった。（正確に言えばこの翻訳は、その1543年の初版に加えて、その後のさまざまな校訂が施された諸版、および、1788年に発見されたコペルニクスの自筆原稿などの異同を検討した上で1982・1984年に出版された、ドイツのコペルニクス編集委員会編の版に基づく翻訳である。また、第1巻は１４章まであるが、翻訳されているのはコペルニクスの宇宙論の概要が記された11章までである。コペルニクスの全６巻の全体目次は、同書のpp.68-73にある。）
　『天球回転論』の公刊以前から、コペルニクスの地動説は『コメンタリオス』と呼ばれるコペルニクスの草稿の写本を通して学者たちの間で知られていた（コペルニクスが地動説の構想を初めて記した自筆原稿はいまは残っていないが、1510年頃にはそうした原稿が書かれたとされている。）後者の『コメンタリオス』はその自筆原稿の写本の翻訳である。

『コペルニクス　天球回転論』(みすず書房)全体の目次はこちらにありますので、クリックして下さい。

２＞クーン『コペルニクス革命』
常石敬一訳、紀伊国屋書店、1976年（講談社学術文庫に再版、1989年）

　「パラダイム」論で有名なクーンの著作である。コペルニクス以前の考え方もかなり論じられている。もっとも、この訳本に関しては「信頼性に乏しく、学術的な使用にまったく耐えない」という内井惣七氏の評価もある。

３＞伊東俊太郎『近代科学の源流』
中央公論社（自然選書）、1978年、340頁

　本書は、「中世はけっして暗黒ではなかった。むしろヨーロッパ文明の骨組みを与えたものは中世であり、ここにおいてこそ西欧文化の礎石はおかれた。そしてこのヨーロッパ中世をその近代とひと続きのものとして考えることによってのみ、ヨーロッパ文明を始めて一つのまとまりをもった個性ある文明として把えることができるのである。」（同書、p.13）という視点から一般読者向けにまとめられた、中世のヨーロッパおよびアラビアの科学に関する通史である。
　本書では、15世紀のルネサンスによって中世と近代を切断する立場が批判され、中世と近代との連続性の側面が強調されている。氏によれば、古代−中世−近代という三分法は「ルネサンス人の中世蔑視の偏見をそのまま固定してしまった歴史図式」（同書、p.13）であり、中世を単なる「中間の時代(medium+aevum＞mediaeval)」として消極的・否定的に捉えるのは誤りなのである。正確には「中世と近代をひと続きのものとしてこれを一括して「ヨーロッパ文明」とし、いわゆる古代は「ギリシア・ローマ文明」というもう一つの異なった文明とすべき」（同書、p.13）なのである。
　ただしそうは言っても、著者も認めているように「中世がそのまま近代になったわけではなく、その間には「科学革命」という大きな変換があり、したがってまた中世科学と近代科学の連続と断絶という微妙な問題がある」（同書、p.17）ことも確かである。
　この問題に対して著者は、中世および近代という長い時間プロセスをかけてヨーロッパはギリシアという異質なものを自己のものとして消化・吸収・同化し、最終的に近代＝「中世の秋」にヨーロッパ的近代科学という実を実らせたと考えているのである。実際、「慣性法則」「運動量」概念、「落下法則」「座標幾何学」「運動の相対性」といった近代科学の基本的骨格をなすと考えられていた観念やその起源を中世科学の中に見出すことができるのである。
　すなわち著者は連続と断絶の問題を、いわば光のスペクトルの両端の問題として捉えようとしているのである。中世の始めを赤色とすれば、近代の終わりは紫色なのである。赤色と紫色はわれわれの眼にはまったく異なった色として見えるが、それでもその二つの色は波長の連続的変化の結果にすぎない。光の波長を連続的に変化させると、途中でさまざまな色となりながら赤色から紫色に変わる。　ヨーロッパの中世と近代もそれと同じような意味での連続性をもっている、と考えられているのである。光の色のアナロジーで言えば、赤色（＝中世の始まり）と紫色（＝近代のおわり）の途中の色に対応する不連続的変化が、８世紀のカロリング・ルネサンス、10世紀のオットー・ルネサンス、12世紀の中世ルネサンスである、というわけなのである。

--- 目次 ---
序　章　西欧科学の源流としての中世　　　13
第１章　ギリシア科学の遺産　　　　　　　40
第２章　中世ラテン科学の発端Ｉ--- キリスト教教父の自然観　　　63
第３章　中世ラテン科学の発端II--- プラトニズムの伝統と編纂家の科学　　　63
第４章　ビザンツの科学　　　　　　　　 110
第５章　アラビア科学の発祥　　　　　　 134
第６章　アラビア科学の開花Ｉ--- 数学・天文学・物理
第７章　アラビア科学の開花II--- 錬金術と医学
第８章　一二世紀ルネッサンス　
第９章　西欧ラテン科学の興隆 --- ヨルダスとグロステスト
第10章　西欧ラテン科学の発展 --- ガリレオの先駆者たち
終　章　中世科学と「科学革命」--- その連続と断絶

［「近代科学の源流」シリーズとして雑誌『自然』（中央公論社刊）に1976年5月から1977年6月にかけて連載されていた論文を一冊の本にまとめたものである。］

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科学史の「参考文献を紹介しているサイト」

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◎北海道大学理学研究科大学院生 吉田晴代さん作成の「読書案内」お勧めのHP

　　http://web.archive.org/web/20060716014559/http://www.hps.hokudai.ac.jp/hsci/biography/biography.htm

近代科学が成立した頃の科学史に関する文献が紹介されているコーナーです。それぞれの文献に関して、評価や表紙のイメージ画像も含めた詳しい説明がついています。

--　構成内容目次[1998.04.07]--

• コペルニクス
  
• デカルト 
  
• ガリレオ
  
• ニュートン
  

○北海道大学理学研究科教授 杉山滋郎さん作成の「図書・雑誌論文の紹介 」

　　http://web.archive.org/web/20060713204114/http://www.hps.hokudai.ac.jp/hsci/books-list.html

--　構成内容目次[1998.04.07]--

図書・論文のジャンル別紹介
地学の歴史
数学の歴史
中谷宇吉郎

科学史関係図書のアトランダムな紹介
科学史関係雑誌論文のアトランダムな紹介
「科学史ＭＬ」で紹介された図書・論文の月別紹介

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科学史関連の貴重図書を紹介しているサイト

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国立国会図書館「ディジタル貴重書展」 洋書の部　第3章　科学革命の浸透

このWebページでは、国立国会図書館が所蔵している下記の本の扉の部分の画像と簡単な解説を見ることができる。

92.ヘヴェリウス『月面学』
93.ゲーリケ『真空に関するマグデブルクでの新実験』
94.ニュートン『自然哲学の数学的原理』
95.『ブリタニカ百科事典』
96.グールド『オーストラリア鳥類概説』
97.ソールズベリ『ロンドンの楽園』
98.ルドゥーテ『美花選』
99.ローゼンバーグ『アマリリスの花』
100.メーリアン『スリナム産昆虫変態図譜』

なお、上記の内、93と94に関してもう少し簡単な紹介を下記に掲げておきます。

ゲーリケ『真空に関するマグデブルクでの新実験』
Guericke, Otto von, 1602-1686.Experimenta nova (ut vocantur) Magdeburgica de vacuo spatio.Amstelodami: J. Janssonium a Waesberge, 1672. 1 v. f°

ニュートン『自然哲学の数学的原理』
Newton, Sir Isaac, 1642-1727.Philosophiae naturalis principia mathematica,Londini: Jussu Societatis Regiae ac typis J. Streater, 1687. 1 v. 8
国会図書館には、エジソンの会社の主任技師であったチャールズ・Ｌ・クラーク(1853-1941)の旧蔵本(請求番号：WB29-32)と、高橋精之の旧蔵本(請求番号：WB29-62)の二種類があるが、扉の部分の画像が収録されているのは、クラーク旧蔵本の方である。

両書ともに、扉の部分の画像[標準画像(800x600,55KB)と大型画像(1280x960,151KB)の二種類]と、その本に関する簡単な紹介を見ることができます。

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