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2012年度「情報公共論論」授業用配付資料および追加補足説明資料
Last update:
May 10, 2012
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授業用配付資料および授業補足説明
2012年5月1日 授業メモ
2012年5月1日 配付資料
- NHK受信料問題
- NHK放送サービスおよび民間無料放送サービスに関する公共経済学的理解
- 「コモンズの悲劇」(The Tragedy of the Commons,共有地の悲劇)に関する日本語版Wikiの解説
- 「アンチコモンズの悲劇」(The Tragedy of the Commons,共有地の悲劇)に関する日本語版Wikiの解説
2012年5月8日 配付資料
- Patent Commons関連記事
Patent Commonsは、参考資料1にあるようにもともとは「オープンソース関連特許を1カ所に集約することを目的とした取り組み」として2005年に始められた。最近では、参考資料2「Patent Commons関連の動き」にあるように、環境関連の特許に関するPatent Commonsも形成されつつある。
Patent Commons関連では、下記の「共有地の悲劇(コモンズの悲劇)」と「反共有地の悲劇(アンチコモンズの悲劇)」という単語が重要である。
<関連用語解説>
共有地の悲劇(コモンズの悲劇)
もともとは生物学者ギャレット・ハーディン(Garrett Hardin)が1968年に『サイエンス』誌に発表した同名の論文によって一般的に有名になった用語で、「誰でも自由に利用できる共有資源は、何らの法的規制も社会的インセンティブもない場合には、私的利益の追求による濫用や乱獲によって最終的に共有資源の枯渇を招いてしまう」という悲劇的問題を指す。地球環境問題もこうした「共有地の悲劇」問題の一種と捉えることができる。
反共有地の悲劇(アンチコモンズの悲劇)
CDやDVDなどの場合もそうであったが、製品の技術革新が先行技術の累積的発展や複数技術の総合によって形成されるものである結果として、新製品の製造に当たっては複数の企業の知的財産権が関係してくる場合が多い。1社で製品製造に必要なすべての知的財産権を所有していることはほとんどない。
そのため知的財産権を持つ企業同士の間での対立が激しくなると、新製品製造に支障をきたすことになる。特に新製品が巨大な新市場を築く可能性のある革新的な製品であればあるほどその可能性が高くなる。知的財産権の保護強化による知や技術の私的囲い込みの激化は、結果として産業発展や社会発展の障害になるのである。
こうした問題は「反共有地の悲劇(アンチコモンズの悲劇)」と呼ばれている。「反共有地の悲劇」問題に対しては、クロスライセンスやパテントプールなどといた従来的対応に加えて、「パテント・コモンズ」やFOSS化による公共的情報財の充実といった新しい対応が求められているのである。
参考資料1「オープンソース関連特許を1カ所に集約することを目的とした取り組みとしての最初期のPatent Commons」
(1) サン・マイクロシステムズ株式会社(2005)「米国サン、グローバルなオープンソース・コミュニティに1,600 件を超える特許へのアクセスを許諾 --- 単一の許諾としては特許史上最大、ソフトウェアのイノベーションをさらに促進---」サン・マイクロシステムズ株式会社プレスリリース2005年1月26日
http://jp.sun.com/smi/Press/sunflash/2005-01/sunflash.20050125.2.html
(2) Stephen Shankland(2005), "Nokia: Linux kernel may use our patents",CNET News.com,2005/05/26
http://news.com.com/2100-7344_3-5720696.html
(3) Martin LaMonica(2005)「CAもオープンソースへの特許公開を確約」『Cnet Japan』2005/02/21
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000056022,20080821,00.htm
(4) 小薗井康志(2005)「OSDL、Patent Commonsプロジェクトを発表」『OSDL プレスリリース』2005年8月9日
http://web.archive.org/web/20051018131210/http://www.osdl.jp/newsroom/press_releases/2005/2005_08_9_beaverton.html
オープン・ソース・デベロップメント・ラボ(Open Source Development Labs)は、ソフトウェア特許や特許誓約を集約し、オープンソース・ソフトウェアの開発コミュニティや産業界の便宜を図る新しい取り組みとして「OSDL Patent Commons」プロジェクトを発表している。
Stuart Cohen(OSDLのCEO)のコメント
「OSDL Patent Commonsプロジェクトは、増え続ける特許の誓約や保証の実用性や価値を高めるように考案され、知的所有権をまとめる中央リポジトリを提供することで、われわれ全員のメリットになります。OSDLは、開発者や産業界が、コミュニティを支援するために、特許や知的所有権を開放したいと考えるベンダー、個人、ならびに団体の成果物を、より簡単に利用できるようにすることを目指しています。」
Linus Torvaldsのコメント
「ソフトウェア特許は、オープンソースに取り組む人々にとって大きな潜在的な脅威です。特許を所有する企業やコミュニティが、それらの特許を、共通の場所で利用可能にすることは、この潜在的な脅威に関して開発者を支援するひとつの方法です。」
Eben Moglen(Software Freedom Law Centerの主宰者)のコメント
「OSDLは、Patent Commonsプロジェクトのような重要な法的イニシアチブを担い管理するのに、理想的な団体です。私はソフトウェア特許に反対していますが、特許に対してどのような見解を持っているにしても、OSDL Patent Commonsプロジェクトに貢献するよう開発者に呼びかけていきます。なぜならば、数の上での強みがあり、個々の貢献が統合されれば、開発者が脅威を感じることなく開発に専念できる保護された安全な場所が形成されるからです。」
(5) IDG(2005)「OSDL、オープンソース関連特許をリポジトリ化する“Patent Commons”を計画」『IT media News』2005年8月10日
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0508/10/news105.html
(6) China Martins(2005)「OSDL、「Patent Commons(特許共有地)」ライブラリを開設」2005年11月15日
http://www.computerworld.jp/news/trd/25003.html
[原典]China Martens (2005),”OSDL opens online patent commons reference library”
http://www.itworldcanada.com/Pages/Docbase/ViewArticle.aspx?id=idgml-13f24c8dc194-4fe1-8289-d43195f2f77f
(7) IBM Proposes a Patent Commons for Royalty-Free Open Source Software Development.,2005年1月13日(2005年11月11日改訂)
http://xml.coverpages.org/ni2005-01-13-a.html
(8) Graeme Wearden (2005)「OSDLが立ち上げた「パテント・コモンズ」について」ZDNet UK、2005/12/01
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20091988,00.htm
(9) patentcommons.org
http://www.patentcommons.org/about/
参考資料2「Patent Commons関連の動き」