技術戦略論2013.12.13

[前回の授業内容]技術戦略論2013.12.6
[次回の授業内容]技術戦略論2013.12.20

[授業配付資料]
[授業ポイント]
1.製品セグメントの階層性・複数性に対する戦略的対応
「汎用」化 vs 「専用」化
Broad Target Narrow Target
PC、スマートフォン ゲーム専用機、ワープロ専用機
「低コスト」化 vs 「差異」化
Lower Cost Differentiation
下位市場 上位市場
2.「多機能」化による複数「製品セグメント」への対応に関わる技術的問題
「多機能」化に対応した製品において、複数機能の同時並行的利用を可能とする場合には、「単機能」的製品よりも高い技術的性能を必要とする
ex.1 スマートフォンのCPUに関する動作周波数の向上、マルチコア化 — それぞれのコアごとに別の機能処理を実行することによる高性能化
ex.2 iPhone5SにおけるCPUの64ビット化 — CPUが一度の動作で処理可能な情報量の増大による高性能化
ex.3 スマートフォンの画面の高解像度化・画面サイズ拡大 — 複数データの同時的表示を可能にするための高性能化

3.「多機能」化による複数「製品セグメント」への対応という形式における「汎用」化は製品競争環境の歴史的変化をもたらす
製品技術や生産技術の歴史的発展は、各市場セグメントで要求される製品性能の下限を引き上げると共に、各市場セグメントで有意味なものとして評価される製品性能の上限を引き上げる。そしてまた、以前の製造コスト制約の下では対応困難であった「多機能」化=「汎用」化を可能にする
1.製品の多機能化=汎用化による、専用製品(単機能製品)の競争優位の喪失
— 携帯電話の「多機能」化による携帯端末セグメントの形成、「ケータイ」による低価格カメラ専用機セグメントの衰退
ex.1 携帯電話に対するカメラ機能の付与による「汎用」化 —- 「使い捨てカメラ」(写ルンです)や「一体型コンパクト・デジカメ」といったカメラ「専用」機のadvantageの喪失

ex.2 携帯電話に対するゲーム機能の付与による「汎用」化 —- ゲーム「専用」機のadvantageの喪失?

2.下位市場製品向け技術による、より上位の製品市場への進出による「破壊」的イノベーション
ex.1 マイクロプロセッサ技術

[考察してみよう]
  1. 製品技術や生産技術の歴史的発展は、専用製品に対する汎用製品の相対的な高性能化・低価格化を可能とする。それはどのようなメカニズムによるものなのかを考えてみよう。
    その際には、ワープロ専用機という「専用機」とPCという「汎用機」の製品間競争などの具体的事例を取り上げて論じよう。
  2. メインフレーム・コンピュータは垂直統合型産業構造で、PCは水平分業型産業構造と言われてきたが、Appleだけでなく最近ではマイクロソフトもSurfaceのようなPC製品を出すなど、垂直統合化の動きが進んでいる。これはなぜであろうか?
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