表示装置に関するイノベーション

1.「画素数」視点から見た製品イノベーション

技術的性能としては、画素数が大きいほうが性能がより高い。

ex.1 ケータイ
ケータイ内蔵のカメラは、「30万画素のカメラ」から「200万画素のカメラ」、「500万画素のカメラ」、「1000万画素のカメラ」というように技術進歩している。

ex.2 映像メディア
映画などの録画媒体としては、「約30万画素のVHSテープ、8ミリビデオ、DVD」から、「約200万画素のブルーレイディスク」というように技術進歩している。

ex.3 テレビ受像機
テレビは、「約30万画素の旧型テレビ」から、「約100万画素のハイビジョンテレビ」、そして現在主流の「約200万画素のフルハイビジョンテレビ」というように技術進歩している。最近は「約800万画素の4Kテレビ」が次世代テレビとして話題になっている。

名称 総画素数
標準画質テレビ
(SD:Standard Definition)
640ドット 480ドット 約30万画素
ハイビジョンテレビ
(HD:High Definition)
1,366ドット 768ドット 約100万画素
フルハイビジョンテレビ
(Full HD)
1,920ドット 1,080ドット 約200万画素
ex.4 テレビ放送
テレビ放送は、「約30万画素の地上波アナログ放送」から、「約150万画素の地上波デジタル放送」、そして現在主流の「約200万画素のフルハイビジョンテレビ」というように技術進歩している。最近は「約800万画素の4Kテレビ」が次世代テレビ受像機として話題になっているが、そうした「ハードウェアとしてのTV」に関する技術革新に対応して、NHK放送技術研究所では4K放送や8K放送の研究が進んでいる。

名称 総画素数
地上波アナログ放送 640ドット 480ドット 約30万画素
地上波デジタル放送 1,440ドット 1,080ドット 約150万画素
フルハイビジョン放送
(2K放送)
1,920ドット 1,080ドット 約200万画素
4K放送 3,840ドット 2,160ドット 約800万画素
8K放送 7,680ドット 4,320ドット 約3,200万画素

NHK放送技術研究所「スーパーハイビジョンの方式」研究内容紹介>次世代放送メディア
www.nhk.or.jp/strl/vision1/r1-1-1.htm

2.「色数」視点から見た製品イノベーション

24ビット=1677万色表示の意味
光の三原色R,G,Bそれぞれの色に関する明るさを256段階で指定する方式が一般的 — R,G,Bそれぞれに1byte(8bits)の情報量
PSPとDSの「カタログ性能」と「実感性能(実性能)」の違い

プログラム上は指定できるが、実際にユーザーがそれをきちんと認識できるかどうかは、ユーザーの識別能力およびディスプレイの性能によって規定されている。
 なお下記で示したように赤の明るさを「プログラム」上で256段階で指定することはできるが、ディスプレイの性能やユーザーの識別能力との関係では下記の図1で示したように隣の色とかなり明るさが違うものであればなんとか認識できるが、図2のように256段階の明るさの変化の識別はディスプレイ性能や人間の識別能力の問題のためほとんど識別困難である。
なお#1F000(27,0,0)は黒色[#00000(0,0,0)]に見えるかもしれないが、拡大した色見本の図3に示したように実際には異なっている。

色見本 図1
左から順にR,G,Bが#FF0000(255,0,0)、#DF000(223,0,0)、#BF000(191,0,0)、#9F000(159,0,0)、#7F000(123,0,0)、#5F000(91,0,0)、#3F000(59,0,0)、#1F000(27,0,0)というように順に暗い赤色が指定してある。
色見本 図2
色指定 色見本 色指定 色見本
R255,G0,B0 #FF0000 R239,G0,B0 #EF0000
R254,G0,B0 #FE0000 R238,G0,B0 #EE0000
R253,G0,B0 #FD0000 R237,G0,B0 #ED0000
R252,G0,B0 #FC0000 R236,G0,B0 #EC0000
R251,G0,B0 #FB0000 R235,G0,B0 #EB0000
R250,G0,B0 #FA0000 R234,G0,B0 #EA0000
R249,G0,B0 #F90000 R233,G0,B0 #E90000
R248,G0,B0 #F80000 R232,G0,B0 #E80000
R247,G0,B0 #F70000 R231,G0,B0 #E70000
R246,G0,B0 #F60000 R230,G0,B0 #E60000
R245,G0,B0 #F50000 R229,G0,B0 #E50000
R244,G0,B0 #F40000 R228,G0,B0 #E40000
R243,G0,B0 #F30000 R227,G0,B0 #E30000
R242,G0,B0 #F20000 R226,G0,B0 #E20000
R241,G0,B0 #F10000 R225,G0,B0 #E10000
R240,G0,B0 #F00000 R224,G0,B0 #E00000
色見本 図3
左から順にR,G,Bが#1F000(27,0,0)、#1F000(00,0,0)と指定してある。
3.「情報の非対称性」問題

「情報の非対称性」を利用する企業

「情報の非対称性」を解消することでイノベーションの普及に成功した企業

「情報の非対称性」に悩む企業
「情報の非対称性」にうまく対応できなかったため、イノベーションの普及に失敗した企業

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NHKと技術革新

NHK「NHKが行う技術開発の役割や成果はどういかされているのか」NHKWEB>質問集トップ >NHKについて>組織・理念・経営
http://www.nhk.or.jp/faq-corner/1nhk/01/01-01-17.html

「NHKは、1989年に世界で初めて実現した衛星放送、広く世界に普及したハイビジョン放送、2016年に試験放送を開始した8Kスーパーハイビジョンなど、短期的な利益にとらわれずに将来の放送の姿を見据えて新しい技術を探求してきました。そうした取り組みの成果を視聴者の皆さまに還元し、安全・安心・豊かな社会の実現に貢献していくことも、公共放送であるNHKの大切な役割と考えています。 」

NHK「NHKの放送技術の役割」
https://www.nhk.or.jp/digital/b_tech/pdf2017/nhk2017_10_15.pdf

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市場形成初期におけるProduct designの多様性

機械式タイプライター市場形成初期におけるキーボード配列に関するProduct designの多様性に関する技術的視点からの考察
機械式タイプライター用キーボード配列に関わる技術的制約要因
1.入力文字種
(1) アルファベット文字はA-Zで26文字ある
(2)アルファベット文字には、小文字と大文字がある
2.人間の指は、左手5本、右手5本である
機械式タイプライター用キーボード配列に求められるneeds
1.「より早く打てる方が良い」(入力速度は高い方が良い)
「右手と左手で交互にリズミカルに打てる方が良い」「出現頻度が高い文字を打ちやすい方が良い」.

0

2.「疲れにくい配列が良い」
3.「覚えやすい配列が良い」
→「打ちやすい配列が良い」

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放送法の2010年12月3日付けの改正

1.放送法の2010年12月3日付けの改正内容 — 放送の定義を「無線通信の送信」から「電気通信への送信」に変更
 
附則
第二条第一項第一号中「無線通信の送信」を「電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)の送信(他人の電気通信設備(同条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)を用いて行われるものを含む。)」に改める。
 
関連記事>
 
2. 2010年12月3日付けの放送法改正の意味
2010年改正以前の放送法においても、テレビ放送を見ることができるパソコン、ワンセグ放送を見ることができる携帯電話を持っている場合にも、NHKの放送受信料を支払う必要があった。これは放送法32条の規定で「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とされていることが法的根拠となっている。
したがって仮にテレビを持っていなくてもワンセグ放送を受信できる携帯電話をもっていれば、ワンセグでNHKのテレビ放送をまったく見ていないとしても受信料を支払う義務が法的には存在している。

 2010年改正の放送法は、放送の定義を「無線通信の送信」から「電気通信への送信」に変更したことによってYouTubeやGyaoなどでなされているようにインターネットを利用した番組送信をNHKが公衆(不特定又は多数の者)に対しておこなう場合には、NHKはインターネットを利用して放送をおこなっている、と解釈すべきように思われる。

ただしNHKは、NHKビデオオンデマンドhttps://www.nhk-ondemand.jp/においておこなっているインターネットを利用したテレビ番組の配信サービスは、「放送」ではなく「通信」である、としている。( ) このようにNHKオンデマンドは「放送」ではなく「通信」であるから、受信契約の義務は現在のところ法的には存在していない。
しかしながらNHKがインターネットを利用して公衆(不特定又は多数の者)に対して番組の送信を開始した瞬間に、ネットに接続されたPCに対して放送を開始したことになり、ネットに接続可能なPCにはNHKの受信契約の義務が法的に発生することになると考えられる。

ここでの放送と通信の区別に関する基本的論点は、放送は公衆に対するものであるということにある。すなわち、放送は公衆によって直接受信されるものであるのに対して、NHKオンデマンドはそれを求めている特定の者に限定した受信であるから、NHKオンデマンドは「放送」ではない、とされている。( )
 
 しかし「番組送信の対象が公衆(不特定又は多数の者)か否か」という基準は単純ではない。そのことは、まねきTVに関する2011年1月18日の最高裁判決に示されている。というのは、同判決では、番組送信の主体であるまねきTVから見ると、「サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たる」のであるから、「公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである」とされているからである。すなわち最高裁判決は、まねきTVが利用しているソニーの「ロケーションフリー」機器の個々のマシンは、あらかじめ決められた特定の端末との1対1の送受信をおこなうものであり、不特定の者や多数への送信をおこなうものではないけれども( )、まねきTVは不特定多数のユーザーと契約を結び、番組送信サービスを提供しているのであるから、まねきTVという番組送信主体からみてユーザーは不特定の者として「公衆」に当たる、という論理構成を取っている。
 こうした論理構成を認めるとすれば、NHKオンデマンドは個々の番組送信行為は1対1の送受信であり特定の者への送信であり、不特定の者や多数への送信をおこなうものではないけれども、NHKオンデマントは不特定多数のユーザーと契約を結び、番組送信サービスを提供しているのであるから、NHKという番組送信主体からみてユーザーは不特定の者として「公衆」に当たることになる。それゆえ、最高裁判決の論理構成に従えば、NHKオンデマンドはテレビ番組の公衆送信、すなわち、放送に該当すると論理的に帰結せざるを得ない、と思われる。
 しかしこうした解釈は、衆議院総務委員会での審議に見られる明示的な合意と矛盾しているように思われる。

 

関連記事>NHK(2011)「NHK受信料の窓口-よくいただく質問 – パソコンや携帯電話でテレビ(ワンセグを含む)を見る場合も、受信料を支払うの?」
http://pid.nhk.or.jp/jushinryo/know/qa.html#q6

NHKのテレビの視聴が可能なパソコン、あるいはテレビ付き携帯電話についても、放送法第32条によって規定されている「協会の放送を受信することのできる受信設備」ですので、受信契約の対象となり、受信料のお支払いが必要です。NHKのワンセグが受信できる機器についても同様です。
ただし、受信契約は世帯単位となりますので、一般の家庭でテレビの視聴が可能なパソコン、あるいはテレビ付き携帯電話を含めて、複数台のテレビを所有している場合に必要な受信契約は1件となります。
一方、事業所の場合は、従来どおり設置場所ごとの受信契約が必要となります。
 

関連記事>hylom(2010)「放送法改正でPCは放送受信機になるか?」2010年03月24日 17時33分掲載
http://slashdot.jp/article.pl?sid=10/03/24/0728256

(放送法改正にともなう放送に関する新しい)この定義によると、もしNHKがインターネット上に番組をOn Demandなりなんなりで送信することは今度からは「放送」であると定義することも可能のように見える。しかし、そうするとPCも新放送法第64条(旧32条)に規定される「協会の放送を受信することのできる受信設備」に該当するようにも見える。「PCを持っているのならば、受信料を払う必要があります」となることも考えられる。
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放送法の規定とNHK - 放送と通信の法的差異

放送法における法的規定とその解釈
 
(1) 放送法の条文の一部抜粋
(昭和二十五年五月二日法律第百三十二号)      最終改正:平成二二年一二月三日法律第六五号
第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、左に掲げる原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一  放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二  放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。
三  放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

(定義)
第二条  この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
一  「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。

第二章 日本放送協会
第一節 通則
(目的)
第七条  協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行い又は当該放送番組を委託して放送させるとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び委託協会国際放送業務を行うことを目的とする。

第六節 受信料等
(受信契約及び受信料)
第三十二条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
2  協会は、あらかじめ総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
3  協会は、第一項の契約の条項については、あらかじめ総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

(2) 放送法 第32条の規定の解釈
放送法の第32条の規定におけるNHKのテレビ放送を受信できる設備の中には、携帯電話などのワンセグ装置も含まれる。したがって自宅にテレビを持っていなくてもワンセグをもっていれば、NHKと受信契約し、受信料を支払わなければならない法的義務がある。また自宅にテレビを持っていなくてもテレビ放送を見れるカーナビをもっていれば、NHKと受信契約し、受信料を支払わなければならない法的義務がある。
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民間営利企業による放送サービスの公共経済学的位置づけ

WOWOWもスカパーも、会員拡大を目的として加入月の視聴料を0円とし、加入した翌月から月額視聴料を徴収するようにしている。またその月額視聴料は固定料金制で、見放題となっている。(月額視聴料はWOWOWが3chで2,300円、スカパーが48chで3,400円)

http://www.wowow.co.jp/join/index.html
https://promo.skyperfectv.co.jp/guide/ad/index.html

また2018年1月には全世界での加入者数が1.2憶人の動画配信サイトNetflixも、会員拡大を目的としてサービス加入日から1カ月間(30日間)は無料で、その後で視聴料を徴収するようにしている。またその月額視聴料は固定料金制で、見放題となっている。(月額視聴料 SD画質のベーシックプランで650円、HD画質のスターンダードプランで950円、4K画質のプレミアムプランで1,450円となっている。)

https://www.netflix.com/signup/planform

問1 WOWOW、スカパーなどの放送局や、Netflixなどの動画サイトなど、固定料金制で見放題で提供しているサービスは、公共経済学的にはprivate goods, public goods, club goods, common goodsのどれに該当するのかを理由を挙げて説明しなさい。
 
問2 WOWOW、スカパーなどの放送局や、Netflixなどの動画サイトが一定期間の視聴料を無料とするだけでなく、月額視聴料を固定料金制で見放題と経営的にできる理由をそのコスト構造から説明しなさい。
 
 
 
米Netflixが1月22日(現地時間)に発表した2017年第4四半期(10~12月)の決算は、売上高は36%増の32億9000万ドル(約3650億円)、純利益は3倍近い1億8600万ドル(1株当たり43セント)だった。
 同四半期に契約者数が833万人増え、1億1760万人になった。契約者数の増加は市場予想を大きく上回った。米国外での新規契約者数は636万人で、四半期としては過去最高だった。
 
問3 売上高が36%増であるにも関わらず、純利益が3倍になるメカニズムを、5/9の授業内容をもとに推測しなさい。
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カーナビとTV放送受信機能 - 放送受信設備の定義

会計検査院トップ> 年度選択> 平成22年度決算検査報告> 業務用の車両に設置するカーナビについて、テレビ受信機能の必要性を十分検討して経済的な購入を行うこととするとともに、購入済みのカーナビに係る日本放送協会との受信契約を業務上の必要性に応じて適切に見直すよう改善させたもの

ttp://report.jbaudit.go.jp/org/h22/2010-h22-0424-0.htm

 カーナビには、付加機能としてテレビ受信機能を有するものと有しないものとがあり、基本的な性能が同じ機種で比較すると、一般的にテレビ受信機能を有するものの方が高価であり、小売価格で5割程度高いものもある。

(2) テレビ受信機能を有するカーナビに係る受信契約の概要
 放送法(昭和25年法律第132号)及び日本放送協会放送受信規約によれば、日本放送協会(以下「協会」という。)の放送を受信することのできる受信設備(以下「受信機」という。)を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約(以下「受信契約」という。)をしなければならないとされており、法人等がその事業所等に受信機を設置する場合には、当該事業所等の部屋、自動車等、受信機の設置場所ごとにそれぞれ受信契約を締結することとされている。
 そして、放送法に規定される受信機には、テレビ受信機能を有するカーナビも含まれることとされている。

(検査の結果)
 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 検査対象としたカーナビ1,339台のうち、本省及び46農政局等が購入した1,217台、購入額計1億2189万余円(車体に組み込まれており単体での購入額が不明な24台分の購入額は含まない。)は、テレビ受信機能を有していた。
 しかし、上記の1,217台を対象として、当該カーナビを使用してテレビを視聴する必要性について、使用実態を実地に確認したり本省を通じて聴取したりして検査したところ、46農政局等が購入した1,216台、購入額計1億2182万余円(車体に組み込まれており単体での購入額が不明な24台分の購入額は含まない。)については、業務上テレビを視聴する必要がないとしていた。なお、残りの1台については、本省が保有する車両に設置されていて、国会業務に係る情報把握等のためにテレビを視聴する必要があるとしていた。
 また、上記の1,216台について、21、22両年度の受信料の支払状況を検査したところ、26農政局等(注3 )は、21年度に162台、22年度に570台のカーナビについて、受信契約に基づき、それぞれ121万余円、425万余円、計547万余円の受信料を支払っていた。なお、17農政局等(注4 )の368台については、既に各農政局等において購入後に業務上テレビを視聴する必要はないと判断し、協会に照会するなどした上でテレビ受信機能を無効にする措置を執ったことにより、受信契約が不要となり、受信料を支払う必要がない状況になっていた
 したがって、上記のように、車両に設置するカーナビについて、業務上テレビを視聴する必要がないのにより高価なテレビ受信機能を有するものを購入していたり、購入済みのカーナビについて、受信契約の見直しを適切に行わずに受信料を支払ったりしていた事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

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日本科学史学会シンポジウム>歴史教育における科学史・技術史の教育的意義斎藤憲会長 挨拶

[関連WEBページ]
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日本科学史学会シンポジウム>歴史教育における科学史・技術史の教育的意義
木本忠昭「高校の歴史教育において技術史をどのように取り扱うべきなのか:技術史から見たいくつかの論点」

 
1.はじめに
2022年度に施工が予定されている次期の高校学習指導要領では、「歴史総合」が「地理総合」と並んで必修科目となる。「歴史総合」という科目は、「世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて,現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察する科目」であり、「歴史の大きな転換に着目し,単元の基軸となる本質的で大きな問いを設け、諸資料を適切に活用しながら,比較や因果関係を追究するなど社会的事象の歴史的な見方・考え方を用いて考察する歴史の学び方を身に付ける」ことを目標としている
本報告では、いくつかの高校の「世界史」の現行の教科書において、どのような技術史的事項がどのように取り上げられているのかを分析することを通じて、技術の歴史が現にどのように描かれているのかを検討するとともに、技術の歴史がどのように取り扱われるのがより適切なのかを考えてみたい。

 

前提作業として、次の2点を基本的視点として確認しておく。

 

 第1の基本的視点は、「世界」史と技術史の関係についてである。そもそも、「世界」史(歴史)の構成分野には、政治史、社会・生活史、産業史、文化・芸術史等々の個別分野があり、技術史も本来はその一つである。しかし、実際の「書かれた」世界史(歴史)書には、技術史(的内容)は、殆どないか、断片的付け足しでしかない。世界史(歴史)に技術史は必要なのか、不要なのかということであり、必要ならば何故かを明確にしておかなければならない。

 

 第2の基本的視点は、歴史の流れを総合的に捉え近現代社会をよりよく理解し、将来を考える力を育成するという高校の歴史教育への社会的要請に応えるためには、技術の歴史における何をどのように取り上げるべきなのかを、歴史「通史」と技術史の連環から考えるということである。あえて換言的に言えば、技術史のための技術史でも、「歴史通史」でもないということである。

 

さて、学習指導要領から要請されている立脚点-近現代社会を理解し、将来を考える枠組としての手掛かりとしては、近現代社会における科学および技術の社会変化・社会影響の増大化を無視することができないことについては、おおかたの同意をえられるのではなかろうか。しかし、「技術一般」が、社会変化を起こした(影響した)わけではなく、社会変化の要因となったのは、個々の技術であり、それらの技術の歴史的な連鎖は逆に社会的諸関係の中で推し進められてきたのである。単なる技術史的「史実追求史」ではなく、「社会は技術(技術変化)によってどのように成り立ち、また変化してきたのか?逆に、技術は社会諸関係によってどの様なものになってきたのか、また現になっているのか?そして、そのような技術によって社会と人間はどの様な事態に直面しているのか?」を考えるためには、どのような史実が提示されるべきであろうか。

 
2. 現行教科書の技術史的内容と問題点
現行教科書で技術史的事項がどのように取り上げられているか、 いくつかの教科書をみてみたい。
 
3. おわりに
 

How Should We Teach History of Technology in High School Historical Education? – Some points from the viewpoint of History of Technology
Tadaaki KIMOTO
 
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日本科学史学会シンポジウム>歴史教育における科学史・技術史の教育的意義
山田俊弘「どのように高校の歴史用語を選ぶのか:科学史のヒストリオグラフィーの問題」

東京大学教育学研究科研究員 山田俊弘
 
20世紀の初頭、科学史家のサートンが「新ヒューマニズム」を唱えて科学の歴史の研究と普及の活動を開始したとき、科学史は「科学」と「歴史」の二重のディシプリンを持つとするとともに、それを教育の問題として捉えていた(Sarton 1921)。彼は科学史をカリキュラムに導入することによる教育の制度(システム)と教育的な価値の変革を訴えた。今日、科学史は改めてその二重の性格を考慮することから、歴史教育と科学教育にどのような役割を果たせるのか。特に今回の場合、高校の歴史教育で科学史を扱うことの意義と問題点は何なのか、そこから翻って従来主張されてきた科学教育での役割も見直せないか考えたい。
 佐野報告にあるように、高大連携歴史教育研究会は、高校での歴史教育で使われる用語を全面的に点検し、今日的な標準を教科書記述や入試問題作成の際のガイドラインとして提示しようとしている。歴史の方法論や基本概念となる用語を教育的に吟味し直し、単に絞り込むだけでなく、ジェンダーや産物、環境史、自然災害などに関する用語を採用するという方針は理解できるし有意義だろう。しかしその目的を、教科書をスリムにすることを通して「歴史的思考力の育成を可能にする」としている点は、本末転倒のような気がしてならない。
 というのは、学校の歴史は暗記物だと人々に思わせてしまうのは、〈歴史を語る〉ということの意味を考えさせることができていない点に問題があるので、用語の過多を難じて一律に「精選」に走ることは、かえってこれだけは最低限「暗記」せよといった強制を暗示することになりかねない。科学史記述との関係でいえば、たとえば「科学革命」は「世界史」や、「倫理」でも扱われる重要な項目である。その内実は、コペルニクスから、ケプラー、ガリレオを経てニュートンに至る近代科学の形成過程と理解すれば、このうちガリレオを削る選択はしにくい。もちろん、「科学革命」の定義をめぐって10人の科学史家が15通りの答えを返すという状況があり(プリンチペ 2014)、「17(・・)世紀(・・)科学革命」と解してコペルニクスの名をカットすることは考えうるとしても、「科学革命」概念の理解という観点からはむしろ有害というしかない。科学史家がその道の「歴史」の専門家として関与する余地は十分あろう。
 科学史が、歴史研究の一分野として制度化される一方で、科学者が後継者育成の場で語るストーリーがある。これを金森修は「嚮導科学史」と呼んで科学思想史と対比させたが、両者合わせて広い意味での科学教育論への連接を示唆したとも解釈できる(山田 2017)。科学教育の場では「ケプラーの法則」のようなエポニミー現象が人名の関わる用語として登場する。こうした用語は、科学的思考力の育成には関わりないという立場もあるが、科学の文化的現象には違いない。サートンの顰に倣っていえば、自身の二重の出自を自覚することで、科学史は歴史教育と科学教育の双方に関係しており、また関与することで新しい文化を生み出すべきだろう。
 
【文献】
プリンチペ, L., 科学革命 (丸善, 2014); Sarton, G., Isis, 4-2, 1921, 225-249; 山田俊弘, 東京大学大学院教育学研究科基礎教育学研究室紀要, 43, 2017, 59-61.
 

How to Select Historical Terms for High School Students: Historiographical Issues in the History of Science
Research Fellow, University of Tokyo Toshihiro YAMADA
 
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