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高校の「歴史」教科に関する次期学習指導要領の改訂 – 「歴史総合」、「日本史探求」、「世界史探求」

1.次期学習指導要領における高校の歴史に関する履修教科の改訂
2014年中教審の諮問を受けて高校の学習指導要領が2018年3月に改訂される。その改訂では、高校の歴史教育のあり方が2022年度から下記のように変わる予定である。

現行
 選択必修科目:世界史A(2単位)
 選択科目:世界史B(4単位)

 選択科目:日本史A(2単位)・日本史B(4単位)
 (日本史A、日本史B、地理A、地理Bから1科目を選択必修)

変更後
 必修科目:歴史総合(2単位)
 選択科目:世界史探求(3単位)
 選択科目:日本史探求(3単位)

 
[関連参考WEBページ]
新学習指導要領関連資料
新学習指導要領(2018年3月30日告示、2022年度実施)
 
学習指導要領改訂に関わるパブリック・コメントの実施
 
 
2.高校の「歴史」教科に関する学習指導要領の改訂内容(2018年3月30日告示、2022年度実施)
『高等学校学習指導要領(案)』p.60では、「歴史総合」の内容の一部として、「産業革命と交通・通信手段の革新,中国の開港と日本の開国などを基に,工業化と世界市場の形成を理解すること」が挙げられている。

[関連参考WEBページ]

 
3.高校の歴史に関する学習指導要領改訂をめぐる日本学術会議関連の記事
 
4.高校の歴史に関する学習指導要領改訂をめぐる文部科学省の文書
  1. 文部科学省中央教育審議会(2016)「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」2016年12月21日
    「各教科等において習得する知識や技能であるが、個別の事実的な知識のみを指すものではなく、それらが相互に関連付けられ、さらに社会の中で生きて働く知識となるものを含むものである。
     例えば、“何年にこうした出来事が起きた”という歴史上の事実的な知識は、“その出来事はなぜ起こったのか”や“その出来事がどのような影響を及ぼしたのか”を追究する学習の過程を通じて、当時の社会や現代に持つ意味などを含め、知識相互がつながり関連付けられながら習得されていく。それは、各教科等の本質を深く理解するために不可欠となる主要な概念の習得につながるものである。そして、そうした概念が、現代の社会生活にどう関わってくるかを考えていけるようにするための指導も重要である。基礎的・基本的な知識を着実に習得しながら、既存の知識と関連付けたり組み合わせたりしていくことにより、学習内容(特に主要な概念に関するもの)の深い理解と、個別の知識の定着を図るとともに、社会における様々な場面で活用できる概念としていくことが重要となる。」pp.28-29
    「共通必履修科目である「歴史総合」については、(1)②で示した資質・能力を踏まえつつ、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて、近現代の歴史を理解する科目・ 歴史の推移や変化を踏まえ、課題の解決を視野に入れて、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察する科目・ 歴史の大きな転換に着目し、単元の基軸となる問いを設け、資料を活用しながら、歴史の学び方(「類似・差異」、「因果関係」に着目する等)を習得する科目とすることが適当である。(別添3-8、別添3-9を参照)」p.134
     
  2. 文部科学省中央教育審議会(2016)上記答申の別添資料3「社会、地理歴史、公民」
    別添3-4 社会科,地理歴史科,公民科における「社会的な見方・考え方」のイメージp.13/28
    「社会的事象の歴史的な見方・考え方」とは「社会的事象を時期,推移などに着目して捉え類似や差異などを明確にしたり事象同士を因果関係などで関連付けたり」することであり、「社会的事象の地理的な見方・考え方」は「社会的事象を位置や空間的な広がりに着目して捉え地域の環境条件や地域間の結び付きなどの地域という枠組みの中で,人間の営みと関連付け」ることである、とされている。
    別添3-4「社会的な見方・考え方」を働かせたイメージの例 PDF pp.15-16/28
    別添3-8 高等学校学習指導要領における「歴史総合」の改訂の方向性① PDF p.19/28
    別添3-9 高等学校学習指導要領における「歴史総合」の改訂の方向性② PDF p.20/28
    別添3-10 高等学校学習指導要領における「日本史探求」の改訂の方向性 PDF p.21/28
    別添3-11 高等学校学習指導要領における「日本史探求」の改訂の方向性 PDF p.22/28
     
  3. 文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室(2017)「今後の学習指導要領改訂に関するスケージュール」2017年5月12日
 
5.高校の学習指導要領改訂をめぐるその他の記事
  1. 原田智仁(2017)「次期学習指導要領の動向:歴史総合の可能性」『世界史のしおり』(帝国書院)2017年度 1学期号、pp.8-9

    「歴史総合」と「世界史探究」「日本史探究」との内容的棲み分けが困難であることを指摘するとともに、日本と世界の歴史的展開を統一的に取り扱えるようなテーマ(例えば、近代化、大衆化、グローバル化、豊かで公正な世界の形成など)で教育することが歴史総合で求めらている、としている。
     
  2. 梅津正美(2017)「次期学習指導要領の動向:「歴史総合」 の実践課題」『世界史のしおり』(帝国書院)2017年度 2学期号、pp.8-9
    テーマの一例として、「技術革新と経営革新:アメリカ・フォードはなぜ成功したのか」が挙げられている。
     
  3. 川手圭一(2017)「「歴史総合」「世界史探究」 ─新科目導入と世界史教育のこれから─」『世界史のしおり』(帝国書院)2017年度 3学期号、pp.8-9
 
6.2011年の高校の学習指導要領改訂の方向性
文部科学省(2014)『高等学校学習指導要領解説 地理歴史編』2009年12月(2014年1月 一部改訂)では、改訂の趣旨が下記のように、21世紀を「知識基盤社会」として捉え、それへの対応力の育成にある、とされている。日本の高校生の問題点として、「OECD(経済協力開発機構)のPISA調査など各種の調査」によれば、読解力に問題があり、「思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題,知識・技能を活用する問題」が苦手であることが指摘されている。

21世紀は,新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われている。このような知識基盤社会化やグローバル化は,アイディアなど知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させる一方で,異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。このような状況において,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことがますます重要になっている。
 
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