情報公共論2014.07.22

[前回の授業内容]情報公共論 2014.07.15
 
[配付資料]
[関連資料]
[論点1] プログラムに関する「Free Software」運動派と「Proprietary software」推進派の対立に対応した、新しい調整的試みとしての「オープンソースソフトウェア」運動
 
1. 「アンチコモンズの悲劇」vs「コモンズの悲劇」という対立的問題や、「市場の失敗」vs「政府の失敗」という対立的問題と同様の対立としての、「Free Software」運動派vs「Proprietary software」推進派
 
2. 「Free Software」運動派においては「ソフトウェアの自由」実現のための≪手段≫であった「ソースコードの公開」を、運動の≪基本的スローガン≫として位置付けた「オープンソースソフトウェア」運動 — 公共マーケティング的分析に基づく戦略的決定
 
[論点2]ソースコード「公開」の意味
1. 社会的チェックのため — 食品の原材料・原産地表示(公開)と同様の機能
食品において原材料や原産地を表示(公開)するということは、食品の供給者が食品の原材料をきちんとチェックしようとしていることを示すものである。 —- 生協の対応を見よ
自分でチェックできなくても、誰かがチェックできる
問題発生後のすみやかな対応が可能 —- 何か問題が発生した場合に、問題点の特定を可能とするには、情報のオープン性が前提となる。

2. 社会的な知の共有 — 料理のレシピの公開と同様の機能
(1) ソフトの生産性向上 — モジュール化されたソフトでは、ソフトの再利用がより容易になる
(2) ソフト技術を学ぼうとする者に対する教材としての機能 — 優れたソフトウェアのソースコードを「まねる」=「学ぶ」ことによる学習

[論点3]ボランティアに支えられたソフトとしてのFree Software — 「自由なソフトの開発者は何から生活費を得ればよいのですか。」という問に対するストールマンの回答
「ほとんどの自由なソフトの開発者はボランティアでやってる。50万人以上の開発者がいるが、ほとんどは別の仕事を持っているだろう。よくは知らないが・・・多分、システム管理者やカスタム・ソフトの開発や、もしかするとコンピュータとは全く関係のない仕事かもしれない。自由なソフトの開発者がたくさんいる限りシステムは動くし、何も問題はない。
 逆に聞きたいが、なぜ、自由なソフトの開発者は自由なソフトから生活費を得ねばならないと心配するのか。おそらく、一般の人はソフト開発者はお金をもらわないとソフトを開発しないと考えているのだと思う。だから、自由なソフトの開発者も自由なソフトの開発からお金をもらわないとソフトを開発してくれないのでは、と思ってしまうのだろう。これは飛行機が飛ぶことを信じないようなものだ。
 もちろん、自由なソフトの開発で生計を立てることができれば、自由なソフトはもっと増えるし、それはいいことだ。だから、多くの人が、自由なソフトのプロジェクトを財政的に支えてくれることが重要だ。」
「フリーソフトは“自由なソフト”と呼ぼう–リチャード・ストールマン氏」2003年4月21日
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/243/243177.html
 
 
[論点4]「自由なソフトならコンピュータの仕組みが学べる」— 「FSFは自由なソフトを広めることが目的ですが、教育的な活動を行う予定はありますか。」という質問に対するストールマンの回答
フリーソフトウェア財団(Free Software Foundation, Inc.,略称 FSF)が学校での活動に直接参加することはやっていない。時間がないし、他の多くの人々が従事している。ただ、学校で自由なソフトを使うように促すことはやっている。自由なソフトの共有は、子供にお互いが協力することを教える。学校は「ソフトは全部ここにある。コピーしてもっていこう」と言うべきだ。
 子供が成長して、13歳や15歳になって、コンピュータがどうやって動くのかに興味を持った時も、(ソースコードが非公開で専有的な)プロプライエタリ・ソフトでは学べない。全部秘密になっている。自由なソフトなら学ぶことができ、良いプログラマになる。日本にはたくさんのプログラマがいるが、凄腕のプログラマは少ない。これは、プログラミングを学ぶことがただの仕事になっているからだ。本当に良いプログラミングをするには、コンピュータと遊ぶこと、ソフトと遊ぶことだ。コンピュータ・ゲームのことではなく、ソフトを変更することを理解して遊ぶこと。日本語の勉強と同じで、プログラムをたくさん読むことがよい学習となる。学校は、自由なソフトを使って、そういう機会を子供へ提供すべきだ。
「フリーソフトは“自由なソフト”と呼ぼう–リチャード・ストールマン氏」2003年4月21日
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/243/243177.html

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