[前回の授業内容]情報公共論2016.05.31
[次回の授業内容]情報公共論2016.06.14
イノベーション視点から見た公共的情報財
1.イノベーションのseedsとしての公共的情報財
a.新しいproductを生み出すためのresourceとしての先行の公共的情報財
Public domainの著作物[書籍, 論文、softwareなど],Open Contents, Open Source Software
b.新しいproductを普及させるための補完財としての公共的情報財
- カラーテレビという製品イノベーションの社会的普及に貢献したNHKのカラー放送TV番組(ハードウェアとしてのTVに対する必須補完財としてのソフトウェアとしてのTV番組)
- 4Kテレビという製品イノベーションの社会的普及への貢献が期待されているNHKの4K放送TV番組(ハードウェアとしての4K TVに対する必須補完財としてのソフトウェアとしての4K放送TV番組)
c.新しいproductを生み出すためのTechnologyという新規の公共的情報財の開発
2. テレビ製品のイノベーション
3.テレビ製品のイノベーションに対するNHKの貢献
テレビ製品のイノベーションに関して、広告収入に依存している民放では果たせない役割をNHKは果たしている。
[関連参考情報]
[理解しておこう]
ポイント1 カラー放送開始は1960年であったが、カラーTVの世帯普及率は1966年でも0.3%と低かった。

日本のカラー放送が開始されたのは1960年9月10日である。これは、アメリカ、キューバに次いで世界で3番目であった。しかしながらカラーTVの世帯普及率は放送開始から6年後の1966年でも0.3%と低かった。
白黒TVからカラーTVへの製品イノベーションの社会的普及のためには、カラーTV放送番組が必要不可欠である。しかし白黒TVが一般的でカラーTVの社会的普及率がそのように低い1960年代の時期(特にその前半期)には、カラーTVの視聴者が少ないためカラーTV放送番組を制作してカラーTV用CMを流すことのメリットは民放にはまったくなかった。カラーTV放送を行うためには、撮影装置・放送設備のカラー化対応など多額の投資が必要であるが、ほとんどの家庭が白黒TVしかない時期にはカラーTV放送によるCM収入増は期待できない。
[関連参考情報]
ポイント2 4Kテレビの215年の世帯普及率は1.9%。また、地上波デジタル放送番組の一般的解像度は1440×1080(約156万画素)である。4K(3840×2160、約830万画素)どころか、2K(1920×1080、約200万画素)のフルハイビジョン放送も一般的ではない。」
2015年の日本国内における薄型TVの出荷台数は512万台であるが、その内で4K対応TVは12.3%の63万台である。4KTVの年間出荷比率は以前よりおかなり増大はしたが、4Kテレビの世帯普及率は、2015年末で約1.9%度である。このように4Kテレビの世帯普及率がまだ低いため「民放の中には設備投資や制作コストがかかる4K放送の本格参入に二の足を踏む局もある。」と言われている。
[関連参考情報]
- 「あなたの環境で4Kテレビは本当に必要ですか?」ノマサラ日記、2015.01.05 ライフハック
- 田嶌ななみ(2016)「4Kテレビ、ひそかに盛り上がり始めたワケ、ソニーは、テレビ事業で11期ぶりに黒字化」2016年01月10日
- 「4Kテレビ好調でも「民放チャンネル新設」が盛り上がらない訳」NEWSポストセブン、2016.03.29 07:00
- 2015年民生用電子機器国内出荷統計
- スカパーJSAT株式会社(2016)「4Kに関する調査2016」2016年6月2日付News Release
- 「4K放送「スカパー! 4K」加入数は2,500件。’14年度決算 — ’15年はオンデマンドも強化。総加入者は2年連続純減」AV Watch, 2015/5/14