http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3003A_Q3A031C1CR8000/
同判決に対しては一部から強い批判があったが、それとまったく対立する判決が同じ東京高裁で別の裁判長によって出された。すなわち、下記の記事にあるように、NHKが受信者に受信料の支払いを求めた訴訟に対する東京高裁の2013年12月18日の控訴審判決において下田文男裁判長は、「NHKの契約申し込みと、受信者の承諾の意思が一致しなければ受信契約は成立しない」という判断を示したのである。
http://www.j-cast.com/2013/12/25192852.html
J-CASTの同記事に書かれているように、裁判官によってこのように判断が分かれるということは、NHKの受信契約の現在のあり方に関して再検討が必要なことを示している。すなわち、J-CASTの同記事に紹介されているように、受信料を支払わない受信者に対しては放送にスクランブルをかけるなどの手段で見れないようにすれば良いのではないかという意見や、「NHKの放送を見ながらも受信料を払う人と拒否する人がいるのは不公平なのは事実。他方、さまざまなメディアが存在し受け手側の選択肢も拡大している。それだけに、「NHKを見たくない人でもテレビを設置しているだけで課金されるというシステムそのものを議論し、新たな徴収、課金方法を検討すべき」(放送関係者)時期にさしかかっているといえそうだ。」という意見もある。
こうした意見に対してどう答えるべきであろうか?
NHK放送がnon-excludableである理由に関して、「free riderを排除しようにも排除できないからである」という答案があったが、それは正しくはない。アナログ地上波放送のシステムでは技術的に困難であったが、B-CASカードによる認証システムを標準で備えているデジタル放送のシステムでは少なくとも技術的には可能である。WOWOWなどがおこなっているように、スクランブル放送とし、「視聴料」を払っている人だけが見ることができるようにすることはできる。
NHKに対する受信料支払いが確認されないと、受信料支払いを促すメッセージがテレビ画面に表示される、ということは、受信料を支払った人のTVとそうではないTVの区別に関する情報をNHKがもっていることを示している。それゆえそうした情報を利用することで、「受信料」を支払っていないTVでNHK放送を見せないようにすることは技術的に可能なのである。
受信料と視聴料の差異を見落としている答案がいくつかあった。
受信料は、土地や住宅の「所有」者にかかる固定資産税と似ている。土地を利用しているだけの借地人や、住宅を借りているだけの「利用」者には固定資産税の納税義務はない。
すなわち固定資産税の支払義務は「所有」者にあり、「利用」者にはない。それと同じように、NHKの受信料の支払義務はTV受信機の「所有」者にあり、「利用」者にはないのである。
[出典]NHK「「衛星デジタル放送におけるメッセージ運用方法の変更」に対するご意見とNHKの考え方」
http://www.nhk.or.jp/eigyo/iken_cas/pdf/ikenkouhyo.pdfのp.3/16