教養演習A 2015.05.26

[次回の授業内容]教養演習A 2015.06.02
 
[今回の授業内容]
1.前回までの授業内容の再確認
(1) seeds-oriented vs needs-oriented
 
(2) 社会的普及に成功しなかった新製品開発の典型的失敗例
  1. 超音速旅客機コンコルド
  2. テクノスーパーライナー
  3. ソニーのDATウォークマン
 
(3) seeds-oriented innovationに取り組む企業が存在する理由に関する考察
理由1
明確なMarket needsすなわちdemandが存在する新製品開発に対しては数多くの企業が熱心に取り組むため、多数のライバルの間での熾烈な競争によるレッドオーシャン的問題が発生することになる。
それとは逆に、Market needsすなわちdemandが存在するのかしないのかが不明確な新製品開発に取り組む場合には、ライバルが存在しないブルーオーシャン的市場環境を享受できる可能性がある。

理由2
特許権・著作権などといった知的財産権によって法的に保護されている技術的seedsを自社が有しているなど、競合他社が模倣困難なseedsを自社で持っている場合には、そうしたseedsを活かす新製品開発の追求が有益である。

2.discovery, invention, innovationの区別
(1) discoveryとinventionの区別
量子力学および半導体現象という科学的「発見」
半導体ダイオード、半導体トランジスタなどを多数集積したLSIという技術的「発明」
 
(2) inventionとinnovationの区別に関わる二つの論点
ポイント1 「発明そのもの」と「発明されたモノの社会的普及、市場的成功」とは区別すべきである
発明に成功しても、発明品が社会的に普及しないことは良くある — 超音速旅客機、テクノスーパーライナー、ソニーのDATウォークマン
 
ポイント2  個別的発明だけでは社会的に有用ではないことが良くある。複数の発明が組み合わさって初めて社会的に有用となる。
エジソンの時代には電球の発明だけでは電球の社会的普及=市場的成功はできなかった。エジソンは電球を「発明」するだけでなく、「火力発電所」を自分で造って電気を製造し、製造した電気を「送電線」によって送電し、電球による電気照明を利用する顧客に届ける必要があった。
 そのため「送電技術」「ソケット」「電気メーター」に関する「発明」もおこなうことで初めて電球を社会的に有意味なモノとすることができた。

[考察すべき問い]
  1. inventionとinnovationの区別の必要性を示す具体的事例として、自分が興味深いと思うモノを探し出しなさい。
  2. 電気照明に関する19世紀のイノベーションはseeds-orientedな側面とneeds-orientedな側面の二つを併せ持っている。seeds-orientedな側面とneeds-orientedな側面の二つを併せ持つイノベーションには他にどのような事例があるのかを説明しなさい。
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