情報化社会におけるイノベーションと公共性

1.公共性
a. 「社会全体の利益を追求すること」「多くの人々に有益であること」(公益的公共性)vs 「個人的利益(のみ)を追求すること」「特定個人(のみ)に有益であること」
「公共」的利益の追求と「私」的利益の追求が一般的に両立しないわけではない。個人的動機として「私」的利益の追求が主であったとしても、「広く社会全体に貢献する」こともある
ex. ノーベル賞追求と社会貢献
 
b. Freeriderの利用を積極的に認めるpublic goods(公共財、公共的サービス) vs Freeriderの利用を排除するprivate goods(私的財としての商品)
単純化して言えば、

public goods ⇒ 無料(代金を支払わないor支払えないFreeriderを排除しない)

private goods ⇒ 有料(代金を支払わないor支払えないFreeriderを排除する)

上記は「必要」条件について述べたもので、「十分」条件ではない。

public goodsは、上記のnon-excludabilityという条件とともに、「多数の人が同時に利用可能であること」という「消費の非競合性」という条件を満たす必要がある。
private goddsは、上記のexcludabilityという条件とともに、「ある利用者が利用すると他社の利用ができない」という「消費の競合性」という条件を満たす必要がある。
 
2.Google, Facebook, DeNA, KDDIなどの私的企業がなぜOSSを重視するのか?利用するのか?
Organization of Computer Systems:§ 2: ISA, Machine Language, and Number Systems のFigure 2.1

OSSであれば、下記の条件を満たす必要がある。

(1) ソースコードの公開
  1. 学習・教育のための社会的基盤としてのソースコード公開 — 優れた先行のソースコードを読むことや模倣することによって、書道教育や絵画教育における「模写」、彫刻教育における「模刻」などと同じような教育的効果を得ることができる
  2. カスタマイズ・改良・バグ取りなどプログラムのproduct innovationのための社会的基盤としてのソースコード公開 — ソースコードの公開は下記に挙げた「ソースコードの修正の自由」を担保するための必要条件である
(2) ソースコードの修正の自由
  1. ソースコードの「カスタマイズ」的修正 — 公開されたソースコードを業務目的に合うように修正すること
  2. ソースコードの「改良」的修正 — キーボード入力だけでなくマウス入力や音声認識入力などにも対応できるという新機能を追加したり、より多様なデータ(固定長データだけでなく不定長データも同時に取り扱えるようにする、文字データだけでなく、音声データ、静止画像データ、動画データなども扱えるようにする)を統合的にうまく取り扱えるようにしたり、最終的な実行速度を高めたりなど、公開されたソースコードの修正によりプログラムソフトに新機能を付け加えたり、性能向上を実現したりすること
  3. ソースコードの「バグ取り」的修正 — ソースコードの公開により多くの眼によるバグ部分の特定が可能となり、ソースコード内のバグ(間違い)を修正すること
(3) ソースコードの配布・再配布の自由
 
3.ソフトウェア系情報財(コンテンツやプログラム)は無料提供しやすいのに、ハードウェア系情報財はなぜ無料提供しにくいのか?
総費用=固定費用+可変費用、限界費用の問題
 
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