[今回の配付資料]
[今回の議論に関わる背景的知識]
1.Economy of scale(規模の経済) vs Economy of scope(範囲の経済)
(1)Economy of scale(規模の経済)— 「同一製品の大量生産」による製造単価の低減(研究開発費用などの固定費に関する、一製品単位当たりの負担減少)という経済的効果
ファミコン(1983年販売開始、6,191万台)、初代PS(1994年販売開始、1億249万台)、PS2(2000年販売開始、1億5,540万台)など大量販売されるゲーム専用機
(2)Economy of scope(範囲の経済)— 「同一要素の多種類の領域・範囲での利用」による新製品開発コストの低減という経済効果
アーケードゲーム機用に開発したソフトの家庭用ゲーム専用機への移植、PCなどの既存製品で利用されていたCPUやGPUのゲーム専用機における利用
2.ゲーム機市場の製品セグメント構成
業務用TVビデオゲーム機(アーケードゲーム機) — 1972年のアタリ社
PONGなど
家庭用TVビデオゲーム機(据置型) — 1972年のマグナボックス社
Odysseyなど
製品イノベーションにおける製品設計として、「新世代製品に対して旧世代製品に対する互換性維持を実現するのか?それとも非互換とするのか?」という技術的選択が製品間競争のあり方を大きく規定している。
「互換性を維持することのメリット/デメリット」は、「互換性を維持しないことのメリット/デメリット」とちょうど裏返しの関係にある。
ゲーム機の製品イノベーションにおける互換性維持に関して任天堂は20世紀中は据置型TVゲーム専用機と携帯型ゲーム専用機とでは異なる技術戦略を取っていた。
(1) ゲーム専用機の製品イノベーションにおける「互換性」分析のための視点(その1)— 「共時」的互換性 vs 「通時」的互換性
a.「共時」的互換性 — 同世代製品間での互換性
「同世代に属する異なる製品の間で互いに互換性があるのか?ないのか?」
「同世代製品と互換性を持たせるのか?持たせないのか?」
b.「通時」的互換性 — 世代を超えた互換性
「新世代製品は旧世代製品と互換性があるのか?ないのか?」
「新世代製品に旧世代製品との互換性を持たせるのか?持たせないのか?」
(2) ゲーム専用機の製品イノベーションにおける「互換性」分析のための二つの視点(その2)
a.「ユーザー」視点から見た互換性
「旧世代製品のソフトウェア製品や周辺機器製品が、新世代のハードウェア製品でも利用可能なのかどうか?」
b.「メーカー」視点から見た互換性
「旧世代のハードウェア製品、ソフトウェア製品、周辺機器製品に関わる研究開発能力・開発ソフト・開発装置・製造設備が、新世代の製品開発や製品製造でも利用可能なのかどうか?」