情報公共論 2013.06.11

[先週の授業内容]

情報公共論 2013.06.04

[配布資料]
第1審・東京地方裁判所平成19年(ワ)第5765号、第2審・知的財産高等裁判所平成20年(ネ)第10059号ではまねきTV側の勝訴であったが、最高裁判所平成21年(受)第653号の判決で逆転敗訴した。最高裁判所は、一審、二審判決を破棄し、まねきTVがテレビ局の送信可能化権、公衆送信権といった著作権および著作隣接権を侵害しているとした上で、損害額算定などのために知的財産高等裁判所に審理を差し戻した。

2.創作性の法的規定に関する日本での議論
[今週の授業内容]
1.テレビ放送を具体的事例とした公共経済学的議論の復習
2.知的財産権(知的所有権)—特許権、著作権、意匠権、商標権など
3.特許権と著作権による保護要件の差異 —- 「新しい発明」と「新しい創作」の違い

特許権 — 「発明」に関する権利 — 「発明者」に権利付与
著作権 — 「創作」に関する権利 — 「創作者」に権利付与

ただし職務で創作した著作物に関しては、所属企業(所属組織)に著作権が帰属する。発明に関してもそれと同じように職務による発明の特許権を所属企業(所属組織)に帰属させることが可能である。

新しい発明として特許権を取得できるためには、「先発明」主義では先に発明者がいないことが、「先願」主義では先に特許申請者がいないことが条件になる。
 アメリカは特許権に関して、「先発明」主義を採用していたが、最近では「先願」主義に移行している。これは、国際的動向に合わせるためでもあるが、「先発明」主義では企業活動に大きなリスクがあるためでもある。「先願」主義的取り扱いでは、特許権取得のために申請が必要不可欠となる。

なおアメリカは著作権取得のためにも、著作権取得の意思表明が必要であった。そうしたこともあり、アメリカでは米国著作権局への著作権登録が現在も盛んである。もちろん現在では著作権取得の意思表明も著作権登録もなしで著作権を取得できるが、新しい著作として著作権を取得できるためには一定の条件を満たす必要がある。次週はそうした条件について考察する。

[さらに進んで調べるための参考資料]
職務発明
「発明と対価(上)報奨工夫、訴訟防ぐ――ホンダ、エプソン(法務)」『日本経済新聞』2013年05月20日朝刊
「発明と対価(下)研究者の処遇、焦点に――現行法に見直し機運」『日本経済新聞』2013年05月27日朝刊
「特許審査――発明の新規性・有用性を判断(きょうのことば)」『日本経済新聞』2013年06月03日朝刊
「企業の訴訟リスク軽減、職務発明、知財政策の方針決定」『日本経済新聞』2013年06月07日朝刊

[次週の授業内容]

情報公共論 2013.06.18

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