技術戦略論2014.11.21

[前回の授業内容]技術戦略論2014.11.14
[次回の授業内容]技術戦略論2014.11.28
[今週の授業内容]
1.補完財によるバンドワゴン効果に起因する、同世代製品間競争における競争優位
汎用的補完財 vs 専用的補完財
同世代の競合製品のどれでも利用できる汎用的補完財は、製品間競争における競争優位に関してneutralである。
例えば、1970年代後半期に登場したカセットテープ型ビデオデッキ(日本ではVideo Tape Recorderの略としてのVTRという表記が一般的であるが、英語圏ではオープンリール型との区別してVideocassette Recorderの略としてのVCRという表記が一般的である)

に対するアナログ地上波テレビ放送という補完財は、どの技術的方式のVTR製品でも同じように利用できる汎用的補完財として、製品間の競争関係に影響を与えなかった。

 ただしこれは、テレビ放送の機能・性能に対してVHSもβも同じにように対応できたためである。VHSやβ以前に存在したモノクロ形式での録画しかできないVTR製品はカラーテレビ放送という補完財を十分には利用できないため、競争劣位に立たされた。
 
ex.1 VTR機器本体に対する専用的補完財としてのレンタル・ビデオソフト —- VHS専用ビデオ・ソフトおよびベータ専用ビデオ・ソフト
ex.2 ゲーム専用機本体に対する専用的補完財としてのゲーム・ソフト — ファミコン専用ソフト、PS専用ソフトほか
 
2.補完財によるバンドワゴン効果に起因する、新製品開発におけるトレード・オフ関係
新製品開発においては、「新世代機における旧世代機との互換性維持重視」と「新世代機における旧世代機からの飛躍的な性能向上」がトレード・オフ関係にある。
 
3.ハード製品本体に対する補完財として競争優位関係に影響を与えるのは、専用的ソフトウェア以外にも、「本体ハード製品に関わる知識、開発ツール、生産設備、開発作業や製造作業における熟練」、「専用的ソフトウェア製品に関わる知識、開発ツール、生産設備、開発作業や製造作業における熟練」がある。
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技術戦略論2014.10.17

[前回の授業内容] 技術戦略論2013.10.03
[次回の授業内容] 技術戦略論2013.10.24
[今週の授業内容]
1.Productの構成諸要素
Productを分解し、どのようなモノから構成されているのかを考えてみると、下記のように分類することができる。
1) Material(素材)
2) Parts(部品)
3) Module(モジュール)

それゆえProductに関するイノベーションも、下記の3つに分けて考察することができる。
1) Materialに関するイノベーションに起因するProduct Innovation
2) Partsに関するイノベーションに起因するProduct Innovation
3) Moduleに関するイノベーションに起因するProduct Innovationに

2.素材に関するイノベーションによるProduct Innovationでの競争優位の確保]
東レは、ヒートテックという素材に関するイノベーションと同時に、アパレル産業における「原糸メーカー」「糸商社」「テキスタイルメーカー」「生地商社」「縫製会社」「卸商社」「アパレル」「問屋」「小売り」という分業体制のあり方に関するビジネス・イノベーションにも取り組み、「製糸」「織布・編立」「染色」「縫製」という生産プロセスすべてを自社で一気通貫でおこなうようにしている。
3.生産のあり方に関する歴史的変化
少品種少量生産

多品種少量生産

変種変量生産

[多品種少量生産に関する参考資料]
「ものづくり、製造装置も自作、パイプ部品の武州工業、国内こだわりコスト抑制」『日経産業新聞』2014年10月17日

<考察してみよう>
この記事は、製造装置に関するuser-oriented innovationの事例として読むことができる。それはどう意味かを考えてみよう。

関連キーワード:1個流し、セル生産システム

<うまく説明できるようにしておこう>
少品種大量生産ではeconomy of scale(規模の経済効果)の利用による「利益の最大化」という戦略が有効であることをうまく説明できるようにしておこう。
 

4.シャープの液晶技術と製品展開
A.key technologyによる競争優位性の確保・維持という目的

B.key technologyによる戦略的なProduct開発

電卓(Electric Calculator)
  ↓
モノクロ液晶ディスプレイ型ポータブルTV
電子辞書
モノクロ液晶ディスプレイ型日本語ワープロ専用機
モノクロ液晶ディスプレイ型ノートPC
 

 

[参考文献]

 

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技術戦略論2014.10.03

[前回の授業内容]技術戦略論2014.09.26
[次回の授業内容]技術戦略論2014.10.17
[今週の授業内容]
Technology vs Product
product(製品)の production(生産)プロセス
 
Product Concept(製品コンセプト)
  ↓
Product Design(製品デザイン・製品設計)
  ↓
Manufacturing(製品製造)
 
[今週のポイント]
Product Concept(製品コンセプト)、Product Design(製品デザイン・製品設計)、Manufacturing(製品製造)に関する理論的理解と具体的事例
ex.「自動車」というProductに関する製品イノベーション
「環境に優しい自動車」というProduct Conceptに基づく多様なProduct Designの展開

  1. 「燃料電池」車(一次電池=燃料電池型電気自動車)
  2. 「電気自動車」車(二次電池=充電池型電気自動車)(その1)
    —- 従来型電気自動車 —-
  3. 「電気自動車」車(二次電池=充電池型電気自動車)(その2)
    —- インホイールモーター(In-wheel motor)型電気自動車 —-
  4. 「ガソリン・エンジン」自動車の改善型イノベーション
  5. 「ディーゼル・エンジン」自動車の改善型イノベーション
[次週の授業内容]
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技術戦略論2014.09.26

今週の授業内容 — 授業ガイダンス — 今期の授業予定内容
1.技術戦略を理解するための前提的知識・前提的視点
(1)なぜ技術と経営なのか? --- 技術(Technlogoy)視点と経営(Busiess)視点の区別と連関
(2)なぜ歴史的事例を取り上げるのか? --- before(過去)とafter(未来)を通じてのNeuerung理解、共時的視点と通時的視点の総合としてのNeuerungプロセス理解
 イノベーションは何かを変える革新(Neuerung)行為としてbeforeとafterの両方を論じること、そしてどのような環境のもとで、どのようなプロセスでbefore(過去)からafter(未来)が生み出されたのかを論じることが必要不可欠である。
そしてそうしたプロセスを技術的視点から理解することを通じて、イノベーションに対してどのようにイノベーティブに積極的に対応するかを論じるのが技術戦略論である。
1) 技術- 技術システム- 製品 - 製品システム
2) モノとコトが織りなす複合的階層システム
3) 技術的仕組み vs 社会的仕組み
 
2.技術戦略を理解するための基本的理論
(1)先駆者(firsrt-mover)/後発者(follower)の区別基準の多様性
基準1 — 市場参入時期を基準とする先駆者 vs 後発者
基準2 — 技術開発時期を基準とする先駆者 vs 後発者
[技術的先駆者/技術的後発者に関する表象(1) —- 発明者 vs 模倣者]
 
 
(2)leader(リーダー、先導者)/follower(後発者、追随者、模倣者)の区別基準の多様性
基準1 — 市場シェアを基準とするleader vs follower
基準2 — 技術力および技術開発力を基準とするleader vs follower
[技術的先駆者/技術的後発者に関する表象(2) — 技術的 leadership 戦略 vs 技術的 followership 戦略]
 
 
(3)クリステンセンの Value Network 論
 
 
(4)藤本隆宏の「製品アーキテクチャ/工程アーキテクチャ/ビジネス・アーキテクチャ」論 — 設計論的視点からのイノベーション把握
 
A.「形相」論的視点からの議論
ただし「質料」論的視点からの議論も重要、しかも古代的・アリストテレス的な単なる受動的な「質料」論ではなく、現代的な能動的な「物質」論的視点からの議論が必要
「設計」とは相対的に自立したものとしての「物質」・・・「設計」通りには機能しない。「消費」者は自らのNecessity/Usefulnessを全面的に認識・理解しているわけではない。
非統合的存在・分裂した存在としての「消費者」
 
 
B.「迂回」生産論、道具=技術の多重的媒介性の理解の必要性
「道具(技術)を使って、能動的にモノを生産する動物」から「道具(技術)を使って能動的に創造された新たな道具(技術)を使って、てモノを生産する動物」への飛躍(道具を使う動物 vs 道具を創る動物)
 
3.技術戦略に関わるケーススタディ(予定事例)
  1. 家庭用ゲーム専用機関連企業(任天堂・セガ・ソニーなど)の技術戦略
  2. PC関連(インテル・マイクロソフト・アップル・IBM・NEC・富士通など)の技術戦略
  3. 情報通信関連企業(NTT・ソフトバンクなど)の技術戦略
  4. 総合家電メーカー(ソニー・パナソニックなど)の技術戦略
 
[次週の授業内容]
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保護中: [参考事例]Googleとロボット

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情報公共論2014.07.22

[前回の授業内容]情報公共論 2014.07.15
 
[配付資料]
[関連資料]
[論点1] プログラムに関する「Free Software」運動派と「Proprietary software」推進派の対立に対応した、新しい調整的試みとしての「オープンソースソフトウェア」運動
 
1. 「アンチコモンズの悲劇」vs「コモンズの悲劇」という対立的問題や、「市場の失敗」vs「政府の失敗」という対立的問題と同様の対立としての、「Free Software」運動派vs「Proprietary software」推進派
 
2. 「Free Software」運動派においては「ソフトウェアの自由」実現のための≪手段≫であった「ソースコードの公開」を、運動の≪基本的スローガン≫として位置付けた「オープンソースソフトウェア」運動 — 公共マーケティング的分析に基づく戦略的決定
 
[論点2]ソースコード「公開」の意味
1. 社会的チェックのため — 食品の原材料・原産地表示(公開)と同様の機能
食品において原材料や原産地を表示(公開)するということは、食品の供給者が食品の原材料をきちんとチェックしようとしていることを示すものである。 —- 生協の対応を見よ
自分でチェックできなくても、誰かがチェックできる
問題発生後のすみやかな対応が可能 —- 何か問題が発生した場合に、問題点の特定を可能とするには、情報のオープン性が前提となる。

2. 社会的な知の共有 — 料理のレシピの公開と同様の機能
(1) ソフトの生産性向上 — モジュール化されたソフトでは、ソフトの再利用がより容易になる
(2) ソフト技術を学ぼうとする者に対する教材としての機能 — 優れたソフトウェアのソースコードを「まねる」=「学ぶ」ことによる学習

[論点3]ボランティアに支えられたソフトとしてのFree Software — 「自由なソフトの開発者は何から生活費を得ればよいのですか。」という問に対するストールマンの回答
「ほとんどの自由なソフトの開発者はボランティアでやってる。50万人以上の開発者がいるが、ほとんどは別の仕事を持っているだろう。よくは知らないが・・・多分、システム管理者やカスタム・ソフトの開発や、もしかするとコンピュータとは全く関係のない仕事かもしれない。自由なソフトの開発者がたくさんいる限りシステムは動くし、何も問題はない。
 逆に聞きたいが、なぜ、自由なソフトの開発者は自由なソフトから生活費を得ねばならないと心配するのか。おそらく、一般の人はソフト開発者はお金をもらわないとソフトを開発しないと考えているのだと思う。だから、自由なソフトの開発者も自由なソフトの開発からお金をもらわないとソフトを開発してくれないのでは、と思ってしまうのだろう。これは飛行機が飛ぶことを信じないようなものだ。
 もちろん、自由なソフトの開発で生計を立てることができれば、自由なソフトはもっと増えるし、それはいいことだ。だから、多くの人が、自由なソフトのプロジェクトを財政的に支えてくれることが重要だ。」
「フリーソフトは“自由なソフト”と呼ぼう–リチャード・ストールマン氏」2003年4月21日
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/243/243177.html
 
 
[論点4]「自由なソフトならコンピュータの仕組みが学べる」— 「FSFは自由なソフトを広めることが目的ですが、教育的な活動を行う予定はありますか。」という質問に対するストールマンの回答
フリーソフトウェア財団(Free Software Foundation, Inc.,略称 FSF)が学校での活動に直接参加することはやっていない。時間がないし、他の多くの人々が従事している。ただ、学校で自由なソフトを使うように促すことはやっている。自由なソフトの共有は、子供にお互いが協力することを教える。学校は「ソフトは全部ここにある。コピーしてもっていこう」と言うべきだ。
 子供が成長して、13歳や15歳になって、コンピュータがどうやって動くのかに興味を持った時も、(ソースコードが非公開で専有的な)プロプライエタリ・ソフトでは学べない。全部秘密になっている。自由なソフトなら学ぶことができ、良いプログラマになる。日本にはたくさんのプログラマがいるが、凄腕のプログラマは少ない。これは、プログラミングを学ぶことがただの仕事になっているからだ。本当に良いプログラミングをするには、コンピュータと遊ぶこと、ソフトと遊ぶことだ。コンピュータ・ゲームのことではなく、ソフトを変更することを理解して遊ぶこと。日本語の勉強と同じで、プログラムをたくさん読むことがよい学習となる。学校は、自由なソフトを使って、そういう機会を子供へ提供すべきだ。
「フリーソフトは“自由なソフト”と呼ぼう–リチャード・ストールマン氏」2003年4月21日
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/243/243177.html

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教養演習 2014.07.16

先週に引き続き、ゲーム機に関する統計データに基づくグラフ作成の練習をおこなうとともに、その結果を利用して下記のようなパワーポイントのファイル作成の練習をおこなった。
PS3_vs_Wii

次週の課題は、自分で統計データを加工して、それに関する考察を加えたパワーポイントを作成しておくことである。

[参考にしたサイト]

1.ソニー「ヒストリカル・データ」
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/historical.html

2.任天堂「株主・投資家向け情報 > IRライブラリー > ヒストリカルデータ 」の中の「連結販売実績数量推移表」(2014年3月31日時点)
http://www.nintendo.co.jp/ir/library/historical_data/index.html”
http://www.nintendo.co.jp/ir/library/historical_data/xls/consolidated_sales1403.xls

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情報公共論2014.07.15

[前回の授業内容]情報公共論 2014.07.08
[次回の授業内容]情報公共論 2014.07.22
 
[配付資料]
[授業のポイント]
1.プログラムに関する「Free Software」運動派 vs 「Proprietary software」推進派
 
2.「Free Software」運動の基本的理念 — 利用、改変、コピー(個人的複製および他者への再配布)に関する≪ソフトウェアの自由≫の擁護、ソフトウェアという情報材の純粋公共財化
 
3.≪ソフトウェアの自由≫を実現するための基本的必要条件としての「ソースコードの公開」
 
4.「Proprietary software」推進派の基本的主張 — 営利企業の活動維持のためにはソフトウェアという情報材の私有財化が必要である
 
[関連資料]
Free Software Foundation関連WEBページ

1.日本語版wiki「フリーソフトウェア財団」
http://ja.wikipedia.org/wiki/フリーソフトウェア財団

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経営技術論2014.07.11

[前回の授業内容]経営技術論2014.06.20
[次回の授業内容]経営技術論2014.07.18

[授業配付資料]

[授業関連資料]
「古い技術に基づく製品を、新しい技術で利用可能とするイノベーション」としてのレーザー・ターンテーブル

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教養演習 2014.07.09

下記サイトのデータを使用して、ソニーのゲーム機、および、ソフト売上に関するグラフを作成した。
ソニー「ヒストリカル・データ」
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/historical.html

またデータの加工により、下記のように販売開始年から売上台数の変化のグラフを作成した。

Sony-hard2014
来週は、任天堂に関して、同様の作業をおこなうとともに、任天堂のゲーム機とソニーのゲーム機の比較をおこなう。

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ゲーム機関連統計データ

ソニー「ヒストリカルデータ」
トップ>ソニーについて>投資家情報>IR資料室>ヒストリカルデータ
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/historical.html

任天堂「販売データ」
http://www.nintendo.co.jp/ir/sales/index.html

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情報公共論2014.07.08

[前回の授業内容]情報公共論 2014.07.01
[次回の授業内容]情報公共論 2014.07.15
 
[配付資料]
[関連WEB]
1.Apple Computer, Inc. vs. Microsoft Corporation, 35 F.3d 1435 (9th Cir. 1994)
 
2.Apple vs Samsung

http://www.venus.dti.ne.jp/~inoue-m/cr_000210Sony.htm

井上雅夫「プログラムの著作権」
http://www.venus.dti.ne.jp/~inoue-m/cr_copyrights.htm

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経営技術論2014.07.04

[前回の授業内容]経営技術論2014.06.27
[次回の授業内容]経営技術論2014.07.11

[授業配付資料]
1.ポストCD技術(その1)— 20世紀末の『朝日新聞』『週刊アエラ』の記事に見るSACD, DVD-audio
1999年5月 SONY:SACD
1999年 DVD-audio

(1) 「録音 音楽性満たしてこその技術(音楽の風景)」『朝日新聞』1999年02月25日夕刊
(2) 「CD後争いへ各社、秋に発売 次代音楽媒体DVD」『朝日新聞』1999年05月14日朝刊
(3) 「次世代オーディオ、秋の陣 先行ソニー、追う松下」『朝日新聞』1999年07月29日朝刊(大阪版)
(4) 「時代を変えるか次世代CD 聞こえない音を聴く」『週刊 アエラ』1999年06月21日号
(5) 「DVDオーディオ発売、対応分かれる業界(ニュースX線)」『朝日新聞』2000年02月04日朝刊
(6) 「進化するデジタル再生音 光変換で余分な高周波を除去」『朝日新聞』2000年05月29日夕刊
(7) 「次世代オーディオ 「聞こえない音」に秘密?(技あり) 」『朝日新聞』2000年08月14日夕刊
(8) 「音楽CDのコピー阻止 パソコン対策、新機能 ネットでの流通対抗」『朝日新聞』2001年12月31日朝刊

2.ポストCD技術(その2)— 高音質CD
2007年11月 ユニバーサルミュージック、日本ビクター:スーパー・ハイ・マテリアルCD(SHM-CD)
2008年 9月 メモリーテック:ハイクオリティCD(HQCD)
2008年12月 ソニー:ブルースペックCD

(1)広岡延隆(2009)「高音質CD - ラジカセでも違い実感」『日経ビジネス』2009年6月1日号, pp.104-106




 
[授業関連資料]

授業中に紹介しませんでしたが、DVD Audioの技術的性能、DVD Audioが普及しなかった理由に関する資料としては下記のようなものがあります。

DVD audioは、アナログ信号をデジタルデータに変換する方式はCDと同じくPCM(Pulse Code Modulation)方式であるが、量子化ビット数がCDの16bitから24bitに、再生可能周波数の上限がCDの20kHzまでから96kHzに、ダイナミックレンジが96dBから144dBへと引き上げられている(24bit、96kHzのサンプリングで6ch録音が可能。なお2ch録音では24bit、192kHzのサンプリングでの録音も可能)。
そのためデータの最大転送レートもCDの1.4Mbpsから9.6Mbpsに引き上げられている。

なおSACD(super audio CD)は、PCM方式ではなく、DSD(Direct Stream Digital)方式を採用している点でDVD audioと技術的に差異化している。すなわち量子化ビット数は1bitとする代わりに、サンプリング周波数をCDの44.1kHzからその64倍の2.8224MHzに上げている。ただしダイナミックレンジは120dBとDVD audioよりも低い。

著者は下記のようにCDの音質はCDの前世代技術であるアナログレコードよりも「明らかに劣る」ため、次世代CD技術に期待していた。
「DVDオーディオに興味を持つ理由はそもそもCDフォーマットに不足を感じているからで、音質だけでいうとCDフォーマットはアナログレコードに比べても、明らかに劣ると感じるからです。CDの音はどうしても中高音が硬くかんじられ、中低音の厚みも足りない様に感じます。」

CDの音が振動周波数がかなり高い領域や、音量レベルがかなり低い領域で問題となることに関する技術的詳細は、http://blog.audiodesign.jp/?eid=211162にある。

しかしSACDと同じく、DVD Audioも一般的には普及しなかった。

普及しなかった理由に関して、上記WEB記事は、DVD Audioの高性能性を生かせないハード(DVD-Aプレーヤーからデジタル出力する際は自動的に48kHzにダウンサンプリングされてしまう)の存在というハードウェア的理由、および、DVD Audioの高性能を考慮していないDVD Audioソフトの存在というソフトウェア的理由という二つの視点から考察をおこなっている。

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客観的事実の非-著作物性

 本判決においては、市場調査によって得られたデータは「事実若しくはデータ」であるだけでなく、「集積された客観的データ自体が思想性を帯びることはない」としてその著作物性が否定されている。
このことは、客観的な事実やデータを「公共的情報財」として位置づけたものと理解することができる。

原告:株式会社アイアールシー
被告:総合技研株式会社

本裁判は、アイアールシーが出版した『自動車部品二〇〇品目の生産流通調査』1996年版や『カーエレクトロニクス部品の生産流通調査』第三版に記載されている「自動車部品に関するマーケットリサーチにより得たデータ」を、総合技研が「そのまま盗用し、あるいはデータの数値をわずかだけ改変する」などして『主要自動車部品二五〇品目の国内における納入マトリックスの現状分析』1999年版という書籍を出版したことがアイアールシーの「著作権及び著作者人格権を侵害し又は一般不法行為を構成するとして、著作権法一一二条一項に基づき侵害行為の差止め等を求めるとともに、著作権法一一四条二項、民法七〇九条に基づき損害賠償を求めた」裁判である。

本裁判における原告の主張
原告書籍は、わが国の自動車メーカーの自動車部品の主要な部品別調達状況に関する調査、研究の結果を縦断的・横断的にまとめて表現した書籍であり、わが国のみならず世界においても他に類を見ない書籍である本件データにはすべて原告が独自に取材、調査し、それを総合的に判断し研究した結果である数値が記載されているところ、右数値は原告の思想を創作的に表現したものであるから、同部分が著作権法上の著作物であることは明らかである。
 
本裁判における被告の主張
ある著作が著作物といえるためには、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法二条一項一号)であることが必要であり、その作品自体に思想又は感情が創作的に表現されていなければならない。
 素材としての事実やデータは、それを認識する者の思想や感情に左右されない客観的な事象であり創作性を欠くものであるから、それが知的活動の結果として発見ないし取得されたものであったとしても、それ自体が著作物性を持つとはいえない。
原告書籍は、自動車部品メーカー及びカーエレクトロニクス部品メーカー等の会社名、納入先の自動車メーカー別の自動車部品の調達量及び納入量、シェア割合等の調達状況や相互関係をまとめたものであるが、会社名、調達量及び納入量、シェア割合等は事実若しくはデータであり、それを表現したものは思想又は感情を創作的に表現したものではない。
したがって、本件データは著作権法上の著作物には該当しない。

 
本裁判の判決結果(1) — 著作物性の否定

著作権法の保護を受ける著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(著作権法二条一項一号)。したがって、ある著作物が著作権法の保護を受けるためには、その著作物は「思想又は感情」が表現されたものでなければならない。
 しかしながら、本件データは、自動車部品メーカー及びカーエレクトロニクス部品メーカー等の会社名、納入先の自動車メーカー別の自動車部品の調達量及び納入量、シェア割合等の調達状況や相互関係のデータをまとめたものであって、そこに記載された各データは、客観的な事実ないし事象そのものであり、思想又は感情が表現されたものではないことは明らかである。
 原告は、本件データは原告が独自に取材、調査し、それを総合的に判断し研究した結果であり、そこには原告の思想が創作的に表現されていると主張する。しかし、原告が主張していることは、原告の一定の理念あるいは思想のもとに本件データの集積行為が行われたということにすぎないのであって、集積された客観的データ自体が思想性を帯びることはないから、原告の右主張は失当というべきである。
 よって、本件データは著作物性を有しない。
 
本裁判の判決結果(2) — 「客観的な情報(ないしデータ)」に対する排他的=独占的権利付与に対する慎重な取り扱いの必要性>一般不法行為法における要保護利益の否定
データ自体は、仮にその集積行為に多額の費用、時間及び人員を費やしたものであったとしても著作権法の保護の対象となるわけではない。しかしながら、このような情報の集積行為及びそれによって得られた情報の全てが法的に保護すべき価値を有しないというわけではなく、このような情報が特別法により保護される場合(不正競争防止法二条一項四号ないし九号)は存するし、一定の場合には、民法七〇九条によって保護されることがないとはいえない。
しかしながら、本来何人であっても接することができ、あるいは利用することができる客観的な情報(ないしデータ)について、特定の者に排他的な権利を付与することはそれ以外の者が当該情報を利用する機会を奪い、その活動を制約するものであるから、前記のような特別の法の規定がないものについて一般規定である民法七〇九条による保護を与えることは慎重でなければならない。

これらのデータは、原告が主張するとおり、自動車部品の流通業界においては有用性が高いものであると認められるから、原告書籍が発刊された平成七年又は平成八年当時においては一定の財産的経済的価値を有し、保護され得たと解する余地がある。しかしながら、原告書籍が発刊された後においては、右データはだれもが利用可能な状態に置かれたことになるから、発刊直後に原告書籍をデッドコピーした書籍を発行するといった行為を除いて、そのような状態に置かれた右データを利用する行為が直ちに不法行為を構成するということはできない。
 

客観的事実の非-著作物性 はコメントを受け付けていません

経営技術論2014.06.27

[前回の授業内容]経営技術論2014.06.20
[次回の授業内容]経営技術論2014.07.04

[授業配付資料]
21世紀初頭におけるポスト・ブラウン管TVをめぐる多様なProduct designの登場 —- 液晶、プラズマ、有機EL、SED、FED

「「有機EL」テレビ登場へ— 11型 年内に発売、厚み わずか3ミリ、価格など課題に」『日本経済新聞』2007年6月17日朝刊
「SEDテレビ 発売再延期 — 米社と特許訴訟長期化、事業家一段と厳しく、巨額投資 コスト減競う、焦点は有機ELへ」

「技術発達のS字カーブ曲線」論的視点から見た製品イノベーション
20世紀初頭の電気自動車2013
 
[授業ポイント]「理論」-「構造」-「現象」
1.dominant design論という理論が想定する現象的構造
(1)イノベーションに関するライフサイクル論的構造

Marketに関するライフサイクル論的構造を規定する要因としての、イノベーションに関するライフサイクル論的構造
Market:「誕生」期-「発展」期-「衰退」期
||
Innovation:「誕生」期-「社会的普及」期-「固定」期
(流動期)   (移行期)

「誕生」期(流動期):多様なproduct designが生み出される。どのproduct designがMarketでdominantとなるかは不明

事例:19世紀後半期におけるキーボード配列や自動車に関するproduct design

「社会的普及」期(移行期):MarketにおけるdominantなProduct designの確定期(dominant designの形成期)
「固定」期:Marketでdominantなものとして確立したproduct designは変化せず、「固定」的である

(2)Innovationの流動期(Marketの形成期)における多種多様な製品design の出現を示すものとしての、自動停止装置およびポスト・ブラウン管V

前回の応用的復習—自動停止装置に関する技術的方式の多様性に関する前回配付資料の確認
21st-century-TV-Market

(3)「多種多様な製品designを持つ製品の間での製品間競争における規定要因」vs「同一の製品designを持つ製品の間での製品間競争における規定要因」

「多種多様な製品designを持つ製品の間での製品間競争における規定要因」
a.機能(function) — 「どのような機能を持っているのか?」ということに関する製品間競争
b.機能(function) — 「どの程度の性能を持っているのか?」ということに関する製品間競争

productに関するinnovation(product innovation)による競争

「同一の製品designを持つ製品の間での製品間競争における規定要因」
c.価格(price) — 「どの程度の価格なのか?」ということに関する製品間競争

production processに関するinnovation(process innovation)による競争
ex.フォード生産システムからトヨタ生産システムへというprocess innovation

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教養演習A 7/2の課題

7月2日は6/25に提出されたエクセル・ファイルのグラフに示されたPC市場の変化に関する考察をおこないなさい。

全体的な動向変化に関する考察でも、部分的な変化(例えば、国内出荷台数が1992年の177万台から順調に増加し続け、1996年には約4倍の719万台にまで増加したこと)に関する考察でも構わないので、自分が特徴的と思う変化をどれか一つ取り上げてその変化の理由を考察しなさい。

なお今回は授業中に指定したメールアドレス宛に事前にファイルを提出して下さい。

教養演習A 7/2の課題 はコメントを受け付けていません

経営技術論2014.06.20

[前回の授業内容]経営技術論2014.06.06
[次回の授業内容]経営技術論2014.06.27

[授業配付資料]
2) 市場形成期における製品タイプの多種多様性を示す最近の新聞記事
a.「「着ける端末」台湾が追撃、メディアテック、開発支援ツール、エイサー、腕時計型発売へ」『日本経済新聞』2014年6月5日朝刊
b.「自動ブレーキ、性能に差 対歩行者、作動はカメラ式だけ」『朝日新聞』2014年6月18日朝刊
 
[授業中に参照した新規資料]
[授業のポイント]
1.自転車に関する製品イノベーションについての二つの理解

(1)製品に関わる基本的なTechnlogy(技術的seeds)は古くから存在していたにも関わらず、実際の製品化がかなり遅れた事例としての自転車
車輪や回転ハンドル(回転ペダル)という技術的要素は古代から存在していたが、それらの技術的要素を組み合わせた製品としての自転車の登場は19世紀であった。
 
(2)初期には多種多様なタイプの製品が登場することを示す典型的事例としての自転車
車輪や回転ハンドル(回転ペダル)という技術的要素は古代から存在していたが、それらの技術的要素を組み合わせた製品としての自転車の登場は19世紀であった。

 

2.市場形成初期における製品の多様性を示す事例

(1) 自転車の19世紀におけるproduct designの多様性
 
(2) ブラウン管テレビ(CRTテレビ)に代わる次世代テレビへの製品イノベーション
次世代ブラウン管テレビとしての、多種多様なテレビ(社内開発レベルを含む)

(バックライト型表示装置)
1.液晶テレビ

(自発光型表示装置)
2.プラズマテレビ — パナソニック
3.有機EL(Organic Electro-Luminescence)テレビ — ソニー
4.FED(電界放出型ディスプレイ:Field Emission Display)テレビ — ソニー
5.SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ型テレビ:surface-conduction electron-emitter display)テレビ — キヤノン、東芝
 

3.アッタ-バックのdominant design論

(1)市場形成初期における製品の多様性
 
(2)dominant designの形成

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2014.06.25教養演習A 6.25の課題

6月25日は下記に挙げたword文書に指定された課題を共同でも構わないのでやってください。すなわち、課題1のみを共同でやっても構いません。もちろん課題1と課題2を共同でやっても構いません。

2014-06-25work

2014.06.25教養演習A 6.25の課題 はコメントを受け付けていません

情報公共論2014.07.01

[前回の授業内容]情報公共論 2014.06.24
[次回の授業内容]情報公共論 2014.07.08
 
[配付資料]
著作権法の保護対象となるためには、「思想又は感情」が表現された著作物でなければならない。
自動車部品メーカー及びカーエレクトロニクス部品メーカー等の会社名、納入先の自動車メーカー別の自動車部品の調達量及び納入量、シェア割合等の調達状況や相互関係のデータをまとめたものであって、そこに記載された各データは、客観的な事実ないし事象そのものであり、思想又は感情が表現されたものではないことは明らかである。
 原告は、本件データは原告が独自に取材、調査し、それを総合的に判断し研究した結果であり、そこには原告の思想が創作的に表現されていると主張する。しかし、原告が主張していることは、原告の一定の理念あるいは思想のもとに本件データの集積行為が行われたということにすぎないのであって、集積された客観的データ自体が思想性を帯びることはないから、原告の右主張は失当というべきである。
 よって、本件データは著作物性を有しない。ものでなければならない。
 しかしながら、本件データは、自動車部品メーカー及びカーエレクトロニクス部品メーカー等の会社名、納入先の自動車メーカー別の自動車部品の調達量及び納入量、シェア割合等の調達状況や相互関係のデータをまとめたものであって、そこに記載された各データは、客観的な事実ないし事象そのものであり、思想又は感情が表現されたものではないことは明らかである。
 原告は、本件データは原告が独自に取材、調査し、それを総合的に判断し研究した結果であり、そこには原告の思想が創作的に表現されていると主張する。しかし、原告が主張していることは、原告の一定の理念あるいは思想のもとに本件データの集積行為が行われたということにすぎないのであって、集積された客観的データ自体が思想性を帯びることはないから、原告の右主張は失当というべきである。
 よって、本件データは著作物性を有しない。
 
3.文化庁著作権課(2013)「著作権法の基本的な枠組みについて(オープンデータ関連) 」2013年1月24日の1.「政府が保有するデータ」
著作物は、「思想又は感情」を表現したものであるから、単なる事実やデータは、それ自体としては、著作物としての保護対象にはならず、例え当該データ等を得るために高度の知識や多大な労力、資金を必要としたとしても、著作物としての保護対象にはならない。
 
 
「オープンデータ(Open Data)とは、特定のデータが、一切の著作権、特許などの制御メカニズムの制限なしで、全ての人が望むように利用・再掲載できるような形で入手できるべきであるというアイデアである。オープンデータ運動のゴールは、オープンソース、オープンコンテント、オープンアクセスなどの、他の「オープン」運動と似ている。オープンデータを支える哲学は古くから確立されているが(マートン・テーゼのように)、「オープンデータ」という言葉自体は、インターネットやワールドワイドウェブの興隆、特に、Data.govのようなオープンデータガバメントイニシアティブによって、近年一般的になってきた。」

[考えてみよう]単なる事実やデータは、それ自体としては、著作物としての保護対象にはならない。それにも関わらず、オープンデータ運動がなぜ運動として必要なのかを考察してみよう。

[6/17配付資料の見出し]

 

1. 創作性の定義 — 「思想又は感情を創作的に表現したもの」 に関わる諸解釈・・・・1
 
2. 原告の著作物適格性問題・・・・2

(1) 「個性」説・・・・3
 
(2) 「独立創作」説(非模倣説、非依存説)・・・・3
a.「独立創作」説に基づく主張・・・・3
著作物性に関するファンシーツダ対オムニツダ事件第一審(1988)における原告人の主張・・・・3
b.「独立創作」説の関連判例・・・・3
著作物性に関するファンシーツダ対オムニツダ事件第一審(1988)における判決・・・・3
 
(3) 「表現の選択の幅」説・・・・4
a.「表現の選択の幅」説の主張・・・・4
システムサイエンス事件における1審原告=2審抗告人の主張—1審判決への批判[「表現の幅」説に立つことは同一であるが、表現の幅がないとする事実認定に関して異議を唱えている。]・・・・4
「表現の選択の幅」説の関連判決・・・・4
大阪地判昭54・2・23判タ387号145頁(冷蔵倉庫設計図事件)および東京高判昭60・11・14無体裁集17巻3号544頁(アメリカ語要語集事件) —- 中山信弘(2007)『著作権法』有斐閣,p.54の注56・・・・4
システムサイエンス事件に関する東京地裁の判断(1989)(東京地裁平成元年3月31日決定・判例時報1322号p.141,著作権関係判例集Ⅷp.116) [「表現の幅」説に立ち、表現の幅がないという事実認定をおこなっている。]・・・・4
関連判例・・・・5
システムサイエンス事件に関する東京高裁の判決(平成元年6月20日決定・判例時報1322号p.138,著作権関係判例集Ⅷp.126,著作権判例百選く第2版〉p.58)[1審と同じく、「表現の幅」説に立ち、「本来的に同様の組み合わせにならざるを得ない」など表現の幅がないという事実認定をおこなっている。]・・・・5
 
(4) 「アイデア等の平凡な表現」に創作性が認められないとする見解・・・・5

a. 「アイデア等の平凡な表現」に創作性が認められないとする説の主張・・・・5
金井重彦(2007)『デジタル・コンテンツ著作権の基礎知識』pp.23-26・・・・5
b.「アイデア等の平凡な表現」に創作性が認められないとする関連判決・・・・6
「『ラストメッセージin最終号』事件」(1995)平成7年12月18日東京地方裁判所(平成6(ワ)9532) — 休廃刊雑誌の最終号における挨拶文の著作物性・・・・6
山本隆司(1990)「著作権法における「創作性」の概念とマージ理論」(『NBL』456号、1990、p.27)において「アイデア等の平凡な表現」に創作性が認めていない判決として挙げられている判決・・・・6
中山信弘(2007)『著作権法』有斐閣,p.50・・・・7
 

(5) 「独創性と創造性の二重性」説(創造的独立創作性説、普遍的二重性説)・・・・8
a. 創造性のない著作は著作物ではない —- 「個性の発露としての創造性が必要である」とする主張・・・・8
 
(6) 「ダブルスタンダード」説 — プログラム著作物に対する特殊的取り扱い・・・・8

a.「ダブルスタンダード」説に基づく主張 — プログラム著作物に対する著作権法における創造性の要件 — 特許法における「進歩性」の要件に相当するものがプログラム著作物に対しては必要とされる・・・・8
中山信弘(1988)「ソフトウェアの法的保護:侵害を中心として」『法曹時報』40巻9号、p.26における問題提起 —「著作物として、プログラムは文学や絵画とは異なる」とする主張・・・・8
コンピュータ・プログラムの特殊性を考慮し、創造性のレベルを理由として著作物性を否認する」主張 — ファンシーツダ対オムニツダ事件第一審(1988)における被告人の主張・・・・8
「システムサイエンス」事件(東京高裁平成元年6月20日決定・判例時報1322号p.138)の判決に関するダブル・スタンダード説的解釈・・・・9

b.ダブルスタンダード説>関連事例>「取るに足らないようなプログラムには独占権を与えない、著作権を与えないという判決」としての、ドイツ最高裁の1985年判決 – インカッソプログラム(Inkassoprogramm)事件・・・・10
e. ダブルスタンダード説>関連事例>英国著作権法におけるoriginal 規定— 伝統的には「独自の技能と努力(『独創性』)」(independent skill and effort (、originality、)、しかし1988年創設のデータベース権に関しては創作的(creative)であることも必要となった。・・・・11
 

3. 著作に創造性が必要とする主張に関連する事例>応用美術に必要とされる創作性の高度性・・・・12
 
4. 文献資料・・・・14
中山信弘(2007)『著作権法』有斐閣,pp.49-68・・・・14
(1) 従来の創作性概念・・・・14
(2) 新しい創作性概念・・・・15
(3) 思想と表現の混同(マージャーmerger)・ありふれた表現・・・・17

 

[今回の授業内容のポイント]
A.創作性がない著作物 vs 創作性がある著作物 — 客観的事実や調査データに創作性はあるのか?

著作権法の第十条の2「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」とは、「いわゆる人事往来、死亡記事、火事、交通事故に関する日々のニュース等単に事実をら列したにすぎない記事」を指すものであり、一般の報道記事や報道写真はそれに該当しない、としている。
というのも一般の報道記事や報道写真は下記のように「記者の個性を反映した表現」を含むからである。

「解説記事はもちろん、一般のニュース記事も、通常はその事実を伝える記者の価値判断、視点を伴っており、また、背景説明や、取材の過程で見聞した事実を取捨選択し、記者の個性を反映した表現で書かれています。」
 
なお下記のように、故人にどのような業績があったのかに触れた死亡記事や、事故の背景や周辺の様子などを記述した交通事故の記事には「記者ごとの特徴」が反映されているので、創作性があり、法的保護の対象となるとしている。
 
「「だれが、いつ、どこで、どんな死因で、死去した。何歳だった」というだけの死亡記事や、「いつ、どこで、だれの車が、だれそれの車と衝突し、だれそれは重傷」といった簡単な交通事故の記事は、公式に発表された事実関係だけを記述しただけですから、だれが書いても、あるいはどの新聞社が記事にしても、記事の書き方にはほとんど差がありません。
しかし、死亡記事であっても、故人がどんな人で、どのような業績があったのかに触れたり故人を追悼する気持ちを出そうとしたものや、交通事故でも事故の背景や周辺の様子などを記述していれば、単なる事実の伝達を超え、記者ごとの特徴を反映した記事になります。

なお本記事の毎日新聞社「ニュース記事には、著作権が働いています」という文書は、下記の日本新聞協会編集委員会(1997)「ネットワーク上の著作権について ―― 新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に」1997年11月という文書の一部と同一であるが、そのことに関する表記がない。
著作権を取り上げている記事にも関わらずそうであるのはあまり適切とは思えない。

 

2.東京地裁(1992)「コムライン事件判決」平成4年(ワ)第2085号

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/0764EDAE64F0FC0949256A7600272B95.pdf
http://www.law.co.jp/cases/comline.htm

五1 被告は、被告文章は、各種の取材源から著作権の及ばない生の事実だけを取り上げている、ただ産業経済等の専門的な情報の伝達を行っているのであるから、これらの情報の性質上、表現方法には自ずと限界があり、同じ事実を報道すれば結果的に表現が共通してくる部分が多くなることは避けられない旨主張する。
 成立に争いのない甲第二九号証及び弁論の全趣旨によれば、事実を報道する新聞記事の作成の経過は、報道すべき主題を発見し、それに対応する取材源を探知して、そこから記事の内容となる素材を収集した上で、収集した素材の中から記事に盛り込む事実を選択し、一定の構成に配列し、組み立てて、適切な文体、修辞で表現するというものであると認められる。
 ところで、右のような報道すべき主題の発見、取材源の探知、素材の収集は著作権による保護の対象ではないから、それがいかに苦心して発見、探知、収集されたものであっても、既に報道された新聞記事によってその記事が主題とした事項や取材源を知り、その取材源から同様の素材を収集し、その結果、元の記事と同様の事実を含む記事が作成されたとしても、元の記事の著作権を侵害するものとはいえない。
 しかし、被告文章が原告記事に依拠した以外に、どのような取材源から取材したのかについては、弁論の全趣旨によって真正に成立したものと認められる乙第一三号証、乙第二二号証によれば、被告においては一般に各種日刊新聞、各通信社から入電するニュース、企業の発表するプレス・リリース、プレス・リリース発行社への資料請求、会社への電話取材等に基づいて記事を作成していたが、情報源が一つの場合もあったことが認められるのみで、具体的に、被告文章について原告記事以外に情報源があったものとは認めるに足りる証拠はない。被告は、被告文章中の「Contact」欄に電話番号又はファックス番号の記載のあるものは被告の記者が会社に確認した場合に記載したものである旨主張するが、これにそう証拠はない。むしろ、被告文章は原告記事に依拠したものと認められることは四12に認定したとおりである。
 被告の主張は採用できない。
2 被告は、客観的な事実が同じである以上、被告文章が原告記事と似たような表現になることはやむを得ないとも主張する。
 しかしながら客観的な事実を素材とする新聞記事であっても、収集した素材の中からの記事に盛り込む事項の選択と、その配列、組み立て、その文章表現の技法は多様な選択、構成、表現が可能であり、新聞記事の著作者は、収集した素材の中から、一定の観点と判断基準に基づいて、記事の盛り込む事項を選択し、構成、表現するのであり、著作物といいうる程の内容を含む記事であれば直接の文章表現上は客観的報道であっても、選択された素材の内容、量、構成等により、少なくともその記事の主題についての、著作者の賞賛、好意、批判、断罪、情報価値等に対する評価等の思想、感情が表現されているものというべきである。
 そのような記事の主要な部分を含み、その記事の表現している思想、感情と主要な部分において同一の思想、感情を表現している要約は、元の記事の翻案に当たるものである。

B.客観的な事実やデータの非著作物性 ・・・ 客観的な事実やデータという情報の公共性
 
C.新しい著作物の創造のための基盤としての公共的情報財

・客観的な事実やデータ
・先行の著作物の中の「アイデア」
・古典的著作物の中の「表現」 —- ex.シェイクスピアの著作
 
[今回の授業の関連資料]
3.文化庁「地震のデータは著作物ですか。地震のデータをまとめて表にしたものはどうですか。」『著作権なるほど質問箱』
情報公共論2014.07.01 はコメントを受け付けていません

情報公共論2014.06.24

[前回の授業内容]情報公共論 2014.06.17
[次回の授業内容]情報公共論 2014.07.01
 
[配付資料]
1a 特許法 第2条

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34HO121.html

http://www.jpo.go.jp/seido/s_tokkyo/chizai04.htm

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/A863301A6076633749256A77000EC3BE.pdf

[今回の授業内容のポイント]
1.「public – private」論および「open-closed」論
closedな利用を可能にするものとしての、知的財産権。誰でもオープンに利用できるという意味での「公共」的利用を阻止できる法的権利が、知的財産権である。
知的財産権は、private sectorに属する組織・個人だけでなく、public sectorに属する組織・個人も持つ。
 
2.「独りで創ること」としての独創性=originality論
辞書的定義も含め、日常的用語法では「独創性」「独創的」という単語には、「独りで創ること」「創作のoriginが自分にあること」というoriginality以外の意味が含まれている。すなわち創造性(creativity)や新規性・新奇性(novelty)という要素を含む意味合いで用いられている。
しかし情報公共論の授業では、originalityの意味で独創性という単語を用いるので注意すること。

originalityのある研究による結果であっても、同一の対象に対する同一の手続き(同一のやり方)でなされた実験研究によって生み出される成果は同一のものになる。originalityがある複数の研究が同一の成果を生み出す。
客観的で正当な実験研究という創造的行為の結果は、コピペ行為のないまったくのoriginalな研究であるにも関わらず、まったく同一になる。逆に、まったく同一の結果が生み出されなければ科学的におかしいということになる。(科学的実験の必須的要件としての、再現可能性)

3.著作権は表現(expression)に対する知的財産権であるのに対して、特許権はアイデア・思想に対する知的財産権である
表現(expression)に対する法的保護の要件は、originalityだけである。creativityのない表現(expression)であっても、noveltyのない表現(expression)であっても、法的には著作権という権利が作成と同時に与えられる。

これに対して、特許権は、申請主義による法的権利であり、originalityだけでなく、creativityやnoveltyが必要とされる。
 

4.研究業績にも、originalityだけでなく、creativityやnoveltyが必要とされる。
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情報公共論2014.06.17

[前回の授業内容]情報公共論 2014.06.10
[次回の授業内容]情報公共論 2014.06.24
 
[配付資料]
1.創作性の法的規定に関する日本での議論
2.創作性をめぐる米国での議論
 
4.長谷川笙子(2013)『昆虫交尾図鑑』(飛鳥新社)所収のイラストと元写真
[今回の授業内容のポイント]
1.創作行為に関する二つの見解
(1)「無からの創造」的創作行為 —- 「一次著作物」の創作行為
(2)「From copy to creation」的創作行為 —- 「二次著作物」の創作行為
先行の著作物を前提とする創作行為
先行著作物をseedsとして利用した創作行為
ex.本歌取り、写真をトレースした漫画のカット、写真をもとにしたイラスト
 
2.創作性
デットコピー(単なるコピペ)にはまったくoriginalityがない、すなわち、創作性がまったくないので、二次的著作物として法的保護の対象とはならない。
創作性がない著作物は法的保護の対象にはならない。
客観的な事実やデータに関する記述(個別表現それ自体に創作性がない著作物)
アイウエオ順やアルファベット順に氏名・住所・電話番号を記載した電話帳(編集という行為の中にも創作性がない著作物)

著作権法の第十条の2「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。」

 

3.Originality, Novelty, Creativity(独創性、新奇性、創造性)
Originality — 「著作のoriginが他者ではなく自らにあること」「独りで創り出すこと」としての独創性

「originalityはあるけれども、noveltyがないものが存在する」

同一の事実やデータなど同一の素材をseedsとして創造行為がなされた場合には、同一の成果が生み出されることになる

科学における「同時」発見、技術における「同時」発明
 
[関連資料]
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経営技術論2014.06.06

[前回の授業内容]経営技術論2014.05.30
[次回の授業内容]経営技術論2014.06.20

[授業配付資料]
[授業参考資料]
  1. 「記者歴29カ月の技術再発見」『日経バイト』2004年9月号,p.109
    「日本語入力にはさまざまな方式があるが,1977年当時神田氏が注目した入力方式は三つあった。漢字一文字につきカタカナ2文字を対応させて入力するカナ2タッチ入力(連想式),文字の数だけキーを並べて目的の文字を選んでいくペンタッチ入力,プログラムで仮名を漢字に変換するかな漢字変換である。最初の二つはカタカナの割り当てや文字の場所を覚えなければ効率が上がらず,専門のオペレータでなければ使いこなせなかった。「自分で使ってみたところ,かな漢字変換方式以外は使えないと感じた。当時考えられていたかな漢字変換システムは,一度仮名をすべて打ち込んでから変換するバッチ処理だったので誤変換が多くて怪しいと思われていた。だがこれを短い区切りで対話的に変換できるようにすれば将来性があると思った」。
     日本語入力に適したキーボードも考えた。一般的にはQWERTY配列に仮名を割り当てたJISカナキーボードでカナを入力するか,アルファベットを使ってローマ字入力するものと考えられていた。神田氏はこのような既存の方法にとらわれず,本当に良いと思われる入力方法を探った。「キー入力時の指の使い方を調べてみたら,親指以外の4本のうちどれか2本で同時に打つのは難しかった。親指とどれかの指であれば同時に打っても自然だった」。文字を配置したキーが10文字×3列で30個,右の親指と左の親指それぞれでシフトキーを押すモードとシフトキーを押さないモードの3通りがあるので90文字分を割り当てられた。これを「親指シフトキーボード」と名づけた。

  2. 俵万智(2003)「OASYSからMacへ-短歌の配列を決めるのに 便利そうと思ったのが、 始めるきっかけでした」『日経パソコン』2003年7月21日号,p.244
    最初は、富士通の親指シフト方式キーボードを利用。電子メールの開始をきっかけにQwerty配列式キーボードに転向。

  3. 増田忠(2003)「いちから始めるタッチタイピング 【第6回】一文字一打の快感を味わう!」『日経パソコン』2003年3月17日号,pp.220-221
    本稿では下記のように、日本語ワープロ専用機の時代には、日本語入力に関して技術的により高性能なキーボード配列が数多く「発明」されたにも関わらず、人々はなぜ「入力方式に対してだけ、どうしてこんなに保守的なのか!」ということを問題にしている。

     パソコンやワープロ専用機が売り出されてから、非能率な日本語入力の状況に対して「日本を救おう!」と頑張る方が数多く現れました。筆者が参加していた情報処理学会のヒューマンインタフェース研究会でも、毎回のように入力方式の研究が発表された時代がありました。今は、PDAや携帯電話の分野が似た状況になっています。
     多くの入力方式が提案されたにもかかわらず、パソコンはQWERTY配列によるローマ字入力、携帯はマルチタッピング入力(例えば「う」を入力するのに「1」キーを3回押す)の天下です。この状況はなかなか変わりそうにありません。
     入力方式開発者たちは「せっかく日本語入力の非生産性を救おうと研究開発をしたのに、だれも注目しない」と怒っています。
    ハードやソフトは必要以上に進化し、変わり続け、そのたびにユーザーは唯々諾々と受け入れています。なのに、入力方式に対してだけ、どうしてこんなに保守的なのか! 研究開発の意味がない! このままでは、高齢化が進む入力方式開発者たちが浮かばれない!

    富士通が高見山関を起用して親指シフトキーボードを、NECが林真理子さんを起用してM式キーボードを派手に宣伝していた時代がありました(右上の図)。どちらも大企業ですから、膨大な資金を投じて独自の入力方式を開発し、日本語入力に苦しむ日本人を救おうとしたのでしょう。もっとも本当に苦しんでいたとの報告はありませんでしたが…。
    一方、ローマ字入力には旗を振る教祖が存在しませんでした。教祖がいると、大衆側には好き嫌いが出ます。大衆は教祖のいないローマ字入力への帰依を深めていきました。
     タッチタイピングに無関心であれば、入力方式に関心が持てるわけがありません。そこを、開発者たちは読み違えていたのだと思います。タッチタイピングができるパソコンユーザーは10%内外というのが業界筋の一致した意見です。

  4. 「(日曜ナントカ学2)仮名入力「携帯化」の予感 パソコンのキーボード」『朝日新聞』2008年4月27日朝刊
    現代でも文筆業者や司法関係者など、長い文章を書くことの多い「プロ」には親指シフト方式配列キーボードの利用者が多いことを紹介した新聞記事。ただし楽天リサーチによれば、パソコンで文章を書く人の84%がQwerty配列キーボードでローマ字入力をしている。

  5. 八幡勇一(2004)「八幡勇一のキーボード論 後編 使い勝手改善に向け増えるべき選択肢」『日経バイト』2004年4月号,pp93-98
    様々なキーボード配列を紹介
    「八幡勇一(2004)「八幡勇一のキーボード論 【前編】 キー配列に凝縮されたコンピュータの歴史」『日経バイト』2004年3月号,pp85~90も参考になる。ただし同記事における「タイピング・スピードが高速になると印字ヘッドが交差してしまうという機械部分の問題から,あまりタイピング速度が上がらないQWERTY配列に収束していったと言われている。」という部分に関しては、安岡孝一(2005)「QWERTY配列再考」『情報管理』Vol.48 No.2,pp.115-118安岡孝一;安岡素子(2008)『キーボード配列QWERTYの謎』NTT出版などに書かれているように、間違っていると言われている。

  6. 文字入力のみに特化したプロの入力方法 — 「漢字を1字ずつ、2つのキーの組み合わせで入力する」方式を採用し、1時間に約4000文字を入力する。
    日経パソコン編集部(2000)「快適なキー入力の第一歩は 正しいホームポジションから」『日経パソコン』2000年06月12日号

    膨大な量の入力を短時間にこなすデータエントリー会社は、古くからの伝統的な入力方法を採用するところも多い、と言われる。
    「プロの世界 -- かな漢使わず漢字を直接入力
     (官公庁や損保などから入力業務を請け負っている中堅の独立系データエントリー会社、富士情報の場合は)入力はタッチタイピングだが、日本語入力ソフトは使わない。漢字を1字ずつ、2つのキーの組み合わせで入力するのだ。2キーによる漢字入力にはいくつかの流派・方式があるが、同社が採用しているのは「KIS連想法」。例えば「羊」という漢字を入力するなら、羊はめぇーと鳴くからかなで[メ][エ]と入力する。漢字ごとにキーの組み合わせを覚える必要があるので、習得にはかなりの期間を要する。同社のオペレーターは3カ月程度の基礎訓練期間に約3000文字の漢字を覚えるが、一人前のオペレーターになるまで1年程度はかかるという。入力速度はオペレーターの技量にもよるが、1時間に約4000文字だ。

  7. 日本語ワープロ専用機に先行するマシンとしての和文タイプライター
    図のように漢字1文字1文字が記された盤面から、入力したい文字を探して一文字ずつ打ち込んで行く方式。

    1024px-Japanese_typewriter_SH-280
    [出典]「和文タイプライター」『フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)』

    関連参考Web>kyo_oomiya「和文タイプライター  昔のワープロ?」http://www.geocities.jp/kyo_oomiya/jpntype.html

    「和文タイプライターは事務員さんあこがれの事務機で、社長さんに頼んで買ってもらったのはいいがいざ、使ってみると、活字を探すのが大変で、しかも、修正がきかないので、最後の一字を間違えたら新しい用紙で最初からやり直し、となり、こんな事なら手書きの方が早い、ということで折角の機械も埃をかぶっている、ということもよくあったようです

     

  8. 数字キー配列
    電卓・パソコン用キーボードの10キーに見られる数字キー配列では1、2、3が下部にあるが、電話機の数字キー配列では1、2、3が上部にある。
    電卓やパソコン用10キーボードに見られる数字配列の歴史的起源は、現在の電卓やパソコンの10キー配列の歴史的起源は、1913年にグスタフ・デイビッド・サンドストランド(Gustaf David Sundstrand)が発明した手動の歯車式卓上計算機(アメリカ特許第1198487号,1914年出願)である、と言われている。またサンドストランドの歯車式計算機で0と1の数字が近い位置に配列されているのは機械の構造に由来する技術的理由によるものである、と言われている。
     電卓における10キー配列と、電話機における10キー配列は異なっている。
    電卓の10キー配列は、手回しによる歯車式計算機や加算機における10キー配列を踏襲したものである。これも歴史的な経路依存性の事例と考えられる。
    電話機における10キー配列は、歴史的には歯車式計算機や加算機における10キー配列の発明後に登場したのであるが、入力速度や打ち間違え率を考慮して現在のような配列になったと言われている。ただこちらも、数字キーと文字キーの組み合わせに関する先行のダイヤル式電話機の経路依存性に規定されているものとして理解することができる。

[授業関連資料]
オフィス用複合機向けのソフトウェアキーボードとして、アルファベットキーボード配列としてはQWERTY配列を推奨するとともに、かな入力として50音順キーボード配列を挙げている。また50音順キーボードに関しては「「左からの縦書き」を基本とする」としている。左からの縦書きを採用した理由は、画面表示が「左からの横書き」となること、および、先行のマシンが「左からの縦書き」であることの二つであるとして下記のように書いている。

  「左からの縦書き」とした理由は、表示エリアに左から横書き入力となるため操作性として違和感の無い左からの配列とした。また公共性が高い駅の切符自動販売機や、主要銀行及び郵便局のATM(現金自動預け入れ払い機)などを調査した結果、左からの50音順キーボード配列が採用されており、それらも参考とした。
 
小学校時代には「右からの縦書き」で学習することを根拠として、紀伊國屋書店の書籍在庫検索端末「KINOナビ」のタッチパネルが「左からの縦書き」であることを問題視しているブログ。
 
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情報公共論2014.06.10

[前回の授業内容]情報公共論 2014.06.03
[次回の授業内容]情報公共論 2014.06.17
 
[配付資料]
2.アニメ映画・ディズニー(2001)「アトランティス」とTVアニメ・ガイナックス(1990)「ナディア」の類似性の高さに関連する記事
3.竹熊健太郎(2008) 「「漫画トレースもお互い様だが……」 竹熊健太郎氏が語る、現場と著作権法のズレ」」ITメディアニュース
5.nagayanhouse(2012)「江口寿史が「花沢健吾」「浅野いにお」的な背景を批判」2012年04月14日
[今回の授業内容のポイント]
「新たな創造という善き目的によって許されるコピペ」と「新たな創造という善き目的であっても許されないコピペ」に関するスペクトル分布的あり方 — グレーゾーンの存在とその範囲に関する社会的合意の歴史的変遷

新しい著作物の創作行為における一次創作性と二次創作性
a.最低限度以上の一次創作性の必要性—「単なる剽窃」は不可、新たなoriginalityの必要性
b.先行著作物に対する正当なseeds的利用 —- 著作権者の許諾 or 無断利用可能性

 

漫画における一次創作性と二次創作性
トレースした場合における「許されない模倣」 vs 「許される模倣」
二次創作性
 

 

[関連資料]
2.アニメ映画・ディズニー(2001)「アトランティス」とTVアニメ・ガイナックス(1990)「ナディア」の類似性の高さに関連する記事
3.TVアニメ・ガイナックス(1990)「ふしぎの海のナディア」に関連する日本語記事
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経営技術論2014.05.30

[前回の授業内容]経営技術論2014.05.23
[次回の授業内容]経営技術論2014.06.06

[授業配付資料]
[授業内容]
マン・マシン・システム(man‐machine system)視点から見たイノベーションの展開構造
VTRとレンタルビデオ、テレビ受信機とテレビ放送、CDとCDプレイヤーなどのように、ある製品と別な製品が構成する製品間システム視点からイノベーションを考察することが必要であるように、人間と機械(装置)が織りなすシステム的関係という視点からイノベーションを考察することも必要である。

そのためにまず第一に、タイプライター、ワープロ専用機、PC、携帯電話機、スマートフォン、タブレットなどの文字入力のためのキーボード装置のキー配列というインターフェイスに関するイノベーションの歴史を取り上げることとする。

市場で支配的なProduct designよりも工学的性能に優れたキーボード配列が20世紀にいくつか「発明」されたが、QWERTY配列に取って代わることはできていない。

このように工学的性能の向上を実現したProduct Innovationであるにも関わらず、市場におけるdemandという点で成功を収めることができなかった例はいくつかある。

  1. 超音速旅客機「コンコルド」、高速船「テクノスーパーライナー」 — ランニングコストに関する競争劣位性に起因する失敗
  2. G4 FAX — 製品システムとしての競争劣位性(バンドワゴン効果に起因する競争劣位性)に起因する失敗
 
日本語入力用キーボード配列としての「親指シフト配列」キーボードの優秀性
かな入力方式としての「親指シフト配列」キーボード vs ローマ字入力方式としての「QWERTY配列」キーボード
「かな入力」方式では1ストロークでかなを入力できるが、「ローマ字入力」方式では母音以外のかなは2ストロークでの入力が必要となる。
「親指シフト配列」では日本語文章におけるかな文字の頻出度を考慮して配置が決められているのに対して、QWERTY配列におけるアルファベットの文字配置はそうではない。


かな入力方式としての「親指シフト配列」キーボード、「JIS配列」キーボード、「新JIS配列」キーボード
キーボードの仕様比較表













親指シフト配列JIS配列新JIS配列
かな配置の段数3段4段3段
かな文字用
キー総数
304832
シフトキーの位置
(使用する指)
中央
(親指)
両サイド
(小指)
両サイド
(小指)
打鍵に
必要な
キー
ストロ
ーク数
清音1ストローク1ストローク1または2ストローク
濁音1ストローク2ストローク2または3ストローク
半濁音1ストローク2ストローク2または3ストローク
拗音・促音1ストローク2ストローク1または2ストローク
句読点1ストローク2ストローク1ストローク
数字かなモードのまま入力可能英数モードへの切替が必要かなモードのまま入力可能

[出典]「親指シフトの魅力 再発見2 (キーボードを科学する)」『ワープロファン』富士通、No.76、1997年(引用に際して一部の表記を変更した)
www.fmworld.net/oasysworld/cat/dgt04.html
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教養演習A 2014.05.28

[本日の授業内容]
CPU視点から見たゲーム専用機およびPCの技術革新のあり方
1.CPUのビット数に関する技術革新に関して、32ビットCPU世代まではPCがゲーム専用機に先行した。しかし64ビットCPU化に関しては、任天堂のN64(1996)が先行した。
PC用64ビットCPUに関しては、AMDのOpteron(2003)/Athlon64(2004)と遅れた。PC用CPU市場でトップのインテルはPC用64ビットCPUの市場投入がAMDよりもさらに遅れて2006年となった。
(なおインテル最初の64ビットCPU製品のブランド名はCore2である。Coreシリーズは32ビットCPUである。)

2.ゲーム専用機用CPUに関して、PC用CPUと同種のCPUを採用するやり方と、PC用CPUとは異なるCPUを採用するやり方がある。
 

方法1.PC用CPUの採用事例

事例1.8ビットCPUの6502—任天堂のファミコン(1983)ほか
任天堂のファミコン(1983)は、アップルのApple I(1976)/Apple II(1977)やコモドールのPET2001(1977)などの8bit PCで採用されていたCPUであった。
 なおNECのPCエンジン(1987)というゲーム機も6502系CPUを採用している。

事例2.8ビットCPUのZ80—セガのSG-1000(1983)や任天堂のゲームボーイ(1989)/ゲームボーイカラー(1998)など

セガのSG-1000(1983)[任天堂のファミコン(1983)と同時期にセガが発売した競合機種]、携帯型ゲーム専用機の任天堂のゲームボーイ(1989)/ゲームボーイカラー(1998)が採用していたCPUは、ザイログが1976年に発表したZ80という8bit PC用CPUである。
 

事例3.16ビットCPUの68000—セガのメガドライブ(1988)ほか

セガのメガドライブ(1988)が採用していたCPUは、GUI OSを世界最初期に採用したアップルのLisa(1983)/Macintosh(1984)などの16bit PCで採用されていた16ビットCPUであった。

事例4.32ビットCPUのPentium III—マイクロソフトの初代XBOX(2001)

マイクロソフトの初代XBOX(2001)が採用していたCPUは、インテルが1999年に発表した16ビットPC用CPUのPentiumIIIであった。

事例5.x86-64アーキテクチャの64ビットCPUであるAMDのJaguarアーキテクチャCPU—マイクロソフトのXBOX ONE(2013)およびソニーのPS4(2013)

マイクロソフトのXBOX ONE(2013)およびソニーのPS4(2013)が採用しているAMDのJaguarアーキテクチャの64ビットCPUは、x86アーキテクチャに属するCPUであるが、x86アーキテクチャとはインテルの8086、80186、80286、80386、80486、Pentiumシリーズ、CoreシリーズといったPC用CPUで採用されているアーキテクチャである。

方法2.PC用CPUとは異なるCPUの採用事例

事例6.MIPSの32ビットCPUであるR3000—ソニーの初代PS(1994)
事例7.MIPSの64ビットCPUであるR4300—任天堂のN64(1996)
事例8.MIPSの64ビットCPUであるR5900—ソニーのPS2(2000)
事例9.IBMの64ビットCPUであるPowerPC G3—任天堂のGamecube(2001)、Wii(2006)
事例10.IBMの64ビットCPUであるPowerPC G5—マイクロソフトのXBOX360(2005)、ソニーのPS3(2006)

 

[次回の発表課題]
下記の課題のいずれか一つを取り上げて、レポートしなさい。
課題1.PC用CPUの64ビット化はなぜゲーム専用機よりも遅れたのか?

課題2.PC用CPUの64ビット化に関して、PC用CPU市場シェアトップのインテルがAMDよりも遅れたのはなぜか?

課題3.GPUに関しては既に128ビット化がなされているにも関わらず、PC用CPUやゲーム専用機用CPUの128ビット化はなぜ現時点でなされていないのか?

課題4.なぜファミコン(1983)などのゲーム専用機はPC用CPUの再利用という技術的選択をおこなったのか?

課題5.なぜソニーのPSや任天堂のN64などのゲーム専用機はPC用CPUとは異なるCPUの採用という技術的選択をおこなったのか?

課題6.なぜソニーのPS4やマイクロソフトのXBOX Oneといったゲーム専用機は再びPC用CPUの採用という技術的選択をおこなったのか?

課題7.コンピュータ処理の対象としては、文字データ、数値データ、画像データなどがある。コンピュータにおける文字データのプログラム処理と、数値データや画像データのプログラム処理に関しては最適な処理法が異なっている。すなわちデータの特性により、データ処理には整数演算処理と浮動小数点演算処理という二種類の処理法がある。
 PCとゲーム専用機では主たるコンピュータ処理の対象用途が異なるため、前述の差異に対応して、PC用CPUとゲーム専用機用CPUでは重視するCPU性能が異なることになる。そのことをわかりやすく説明しなさい。
 例えば、「スパコン並の性能を持つ」とまで言われたCPUを持つゲーム専用機であっても、PCとして利用することはあまり適切ではないということなどを説明しなさい。
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情報公共論2014.06.03

[前回の授業内容]情報公共論 2014.05.27
[次回の授業内容]情報公共論 2014.06.10
 
[配布資料]
  1. 中村通子(2014)「(ニュースがわかる!)問題になっている論文の不正ってなに?」朝日新聞digital, 2014年3月15日05時00分
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11030103.html

  2. 朝日新聞(2013)「コピペ・捏造、論文にあらず 各大学、不正防止策に本腰」朝日新聞digital、2013年12月20日05時00分
    http://digital.asahi.com/articles/DA2S10889325.html

  3. 丹治吉順(2014)「転載バトル続くネットの中 引用はこうやれ!」朝日新聞dgital, 2014年4月18日18時53分
    http://digital.asahi.com/articles/ASG4J71NSG4JUEHF01G.html

  4. 朝日新聞(2014)「盗作の考現学 蔓延するパクリツイート・コピペ論文… 「評価されたい」手軽に実現」『朝日新聞』2014年5月6日朝刊
    http://www.asahi.com/articles/ASG521PCHG52UCVL001.html

  5. 東京国立博物館(2005)「模写・模造と日本美術―うつす・まなぶ・つたえる―」東京国立博物館2005年7月20日プレスリリースの抜粋
    http://www.tnm.go.jp/jp/misc/press/docs/20050720mosha_release.pdf

  6. 東京藝術大学 美術学部・美術研究科 絵画科日本画専攻のカリキュラム
    http://www.geidai.ac.jp/art/painting.html

  7. 「長谷川潔:模写から創造へ」横浜美術館コレクション展 第2期 2007年7月11日-12月9日
    http://www.yaf.or.jp/yma/exhibition/2007/collection/2/exhibition5.html

  8. 藤倉健雄(2005)「パントマイムにおける模写的表現・・・イメージの再構築について」『バイオメカニズム学会誌』Vol. 29, No. 3, pp.133-138からの抜粋
    http://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/29/3/133/_pdf/-char/ja/

  9. 模写から創造への一例としての似顔絵 — 山藤章二(2005)『カラー版 似顔絵』岩波新書ほか
    http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4004306752/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=465392&s=books
    http://www2.odn.ne.jp/room551/sanma.html
    http://nigaoe.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2009/05/21/008.jpg

[今週の授業内容]
(1)「著作者の権利」vs「公共の利益」— 私的著作物の「private」性 vs 「public」性
「著作者の権利」という視点からは著作物の無断利用は許されるべきではないが、「公共の利益」という視点からは著作物の無断利用を一定の条件の下で許すべきである。
① 「私的使用」,「付随対象著作物の利用」等
 ア 私的使用のためのコピー(複製)(第30条)
 イ 付随対象著作物としてのコピー(複製)・翻案(第30条の2第1項)
 ウ 付随対象著作物の利用(第30条の2第2項)
 エ 検討の過程における利用(第30条の3)
 オ 技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用(第30条の4)
② 「教育」関係
 ア 「教育機関」でのコピー(複製)(第35条第1項)
 イ 「教育機関」での公衆送信(第35条第2項)
 ウ 「検定教科書」等への掲載(第33 条)
 エ 「拡大教科書」や「デジタル録音図書」等の作成のためのコピー(複製)(第33条の2)
 オ 「学校教育番組」の放送やそのためのコピー(複製)(第34条)
 カ 「試験問題」としてのコピー(複製)(第36条)
 キ 「試験問題」としての公衆送信(第36条)
③「図書館」関係
 ア 「図書館」等でのコピー(複製)(第31条第1項)
 イ 国立国会図書館の所蔵資料の電子化(第31条第2項)
 ウ 国立国会図書館からの図書館資料のインターネット送信(第31条第3項前段)
 エ 国立国会図書館からインターネット送信された図書館資料のコピー(複製)(第31条第3項後段)
 オ 国立国会図書館によるインターネット資料やオンライン資料の収集のためのコピー(複製)(第42条の4第1項)
 カ 国立国会図書館へのインターネット資料やオンライン資料の提供のためのコピー(複製)(第42条の4第2項)
④ 「福祉」関係
 ア 「点訳」のためのコピー(複製)(第37条第1項)
 イ 「点訳データ」の蓄積・送信(第37条第2項)
 ウ 視覚障害者等向けの「録音図書」等の製作(第37条第3項)
 エ 聴覚障害者等向けの「字幕」の作成等(第37条の2第1号)
 オ 聴覚障害者等向け貸出し用の「字幕入り映像」等の作成(第37条の2第2号)
⑤ 「報道」関係等
 ア 「時事の事件」の報道のための利用(第41条)
 イ 「国等の機関での公開演説」等の報道のための利用(第40条第2項)
 ウ 「情報公開法」等に基づく「開示」等のための利用(第42条の2)
 エ 「公文書管理法」等に基づく保存のための利用(第42条の3第1項)
 オ 「公文書管理法」等に基づく利用のための利用(第42条の3第2項)
⑥ 「立法」「司法」「行政」関係
 ア 「立法」「司法」「行政」のための内部資料としてのコピー(複製)(第42条第1項)
 イ「特許審査」,「薬事に関する事項」などの行政手続のためのコピー(複製)(第42条第2項)
⑦ 「非営利・無料」の場合の「上演」「演奏」「上映」「口述」「貸与」等関係
 ア 「非営利・無料」の場合の「上演」「演奏」「上映」「口述」(第38条第1項)
 イ 「非営利・無料」の場合の「本などの貸与」(第38条第4項)
 ウ 「非営利・無料」の場合の「ビデオなどの貸与」(第38条第5項)
 エ 「非営利・無料」の場合の「放送番組等の伝達」(第38条第3項)
 オ 「非営利・無料」の場合の「放送番組の有線放送」(第38条第2項)
⑧ 「引用」「転載」関係
 ア 「引用」(第32条第1項)
 イ 「行政の広報資料」等の転載(第32条第2項)
 ウ 「新聞の論説」等の転載(第39条)
 エ 「政治上の演説」「裁判での陳述」の利用(第40条第1項)
⑨ 「美術品」「写真」「建築」関係
 ア 「美術品」等のオリジナルの所有者による「展示」(第45条)
 イ 屋外設置の「美術品」「建築物」の利用(第46条)
 ウ 美術展の「小冊子」の製作(第47条)
 エ インターネット販売等での美術品等の画像掲載(第47条の2)
⑩ 「コンピュータ・ネットワーク」関係
 ア プログラムの所有者によるコピー(複製)など(第47条の3)
 イ 機器の「保守」・「修理」・「交換」の際の一時的なコピー(複製)(第47条の4)
 ウ 「ネットワークの送信障害の防止」等のためのコピー(複製)(第47条の5)
 エ 「情報検索サービス」の実施のためのコピー(複製)など(第47条の6)
 オ 「情報解析」のためのコピー(複製)など(第47条の7)
 カ コンピュータ等を用いた著作物の利用に伴うコピー(複製)(第47条の8)
 キ 情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のためのコピー(複製)(第47条の9)
⑪ 「放送局」「有線放送局」関係
「放送局」や「有線放送局」の一時的なコピー(録音・録画)(第44条)
 
(2)「コピペ」vs「創造」—- 新たな創造を生み出すためのコピペ(From Copy to Creation)
事例1)手塚治虫の「ジャングル大帝」(漫画連載開始1950, TVアニメ1965) vs ディズニーの「ライオンキング」(アニメ映画1994)
事例2) 日本のガイナックスのTVアニメ「ふしぎの海のナディア」(1990) vs ディズニーのアニメ映画「アトランティス 失われた帝国」(2001)
[さらに進んで調べるための参考資料・データ]
[次週の授業内容]

情報公共論 2014.06.10

情報公共論2014.06.03 はコメントを受け付けていません

情報公共論2014.05.27

[前回の授業内容]情報公共論 2014.05.20
[次回の授業内容]情報公共論 2014.06.03
 
[配布資料]
[今週の授業内容]
1.コピペに関する法的問題および倫理的問題
O氏は自身の博士論文のpp.1-20において、NIH(National Institute of Health)の下記WEBページからの不適切なコピペをおこなっている、という趣旨の指摘がなされている。
授業では「http://difff.jp/dev/obokata_copypaste.htmlに示されているようなコピペが不適切であるのはなぜなのか?」という問題を論じた。
 
法律的問題としては、下記のような点で不適切である。
1) 氏名表示権および同一性保持権などといった著作者人格権の侵害
2) 法的に適切な引用として認めれる条件の侵害
 
倫理的問題としては、著作物性(authorship)などとの関連でその不適切性が問題となる。
科学者は”publish or perish”という社会的環境下で科学活動をおこなっており、論文などの業績に評価されている。そうした評価の前提として、評価対象となる論文は自らが執筆したものであることが求められる。
そしてその際に、自らが著作者として当該論文を執筆したこと、すなわち、自らの著作物性(authorship)が他者に明確に分かるように執筆することが要求されている。
そのため論文の中で他者の著作物を利用する場合には、自己の著作物である部分と、他者の著作物である部分とを明確に分けて示すことが法的にだけでなく社会倫理的にも強く求められている。
 
2.原則として法的に禁止されている「無断利用」 vs 例外的に許されている「無断利用」
 著作権という権利で保護された著作物は、知的財産である。それゆえ他者の知的財産である著作物を著作権者に無断で利用することは法的には原則として許されていない。
 ただし他者の著作物を無断で利用する行為すべてが社会的に許されないというわけではない。公益増進という観点から、一定の条件を満たせば、他者の著作物を無断かつ無償で利用することが社会的に許されている。
 このことに関して、文化庁長官官房著作権課(2013)『著作権テキスト 平成25年度』は「8.著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合」の冒頭で次のように書いている。
「「土地所有権」について「土地収用法」という法律があったり,「言論の自由」が保障されていても「名誉毀損」が許されないように,一般に「権利」というものは絶対的なものではなく,「公共の福祉」や「他人の別の権利」との関係で,「制限」や「例外」が設けられる場合があります。/著作権の場合も,著作権法の中に(条約によって許される範囲内で)「権利制限規定」と呼ばれる「例外規定」が数多く置かれ,一定の場合には,例外的に権利者の了解を得ずに著作物等を無断で利用できることとされています。/・・・教育や福祉など,「公益」のための仕事をしている方々は,こうした例外規定の適用を受ける場面が多くなります。ところで,通常「公益」を実現するための「費用」は国民全体の負担(税金)でまかなわれますが,著作権の制限の場合はその「費用」を「権利者個人」に負わせています。このことを十分に認識しておく必要があります。「いいことをしているのだから,無断で利用できて当然」などと思ってはなりません。」p.59

 

3.社会的に許されない「コピペ」 vs 社会的に許されている「コピペ」
 他者の著作物を「コピペ」して自らの著作物の中で無断利用することは原則としては許されないが、下記のような条件を満たせば例外的に無断利用が許されている。
1 すでに公表されている著作物であること
2 「公正な慣行」に合致すること
3 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
4 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
5 カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
6 引用を行う「必然性」があること
7 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
[出典]文化庁長官官房著作権課(2013)『著作権テキスト 平成25年度』, p.77

 

[さらに進んで調べるための参考資料・データ]
[次週の授業内容]

情報公共論 2014.06.03

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経営技術論2014.05.23

[前回の授業内容]経営技術論2014.05.16
[次回の授業内容]経営技術論2014.05.30

[後で問題とする前回の授業の論点]
TechnologyとProductの相対的区別が意味する論点

1)「Productに関するDesign」(製品設計)という視点から見た、「製品の新機能や性能向上をどのようなTechnologyを用いるのか?」といった技術的決定問題
ハイブリッド自動車化による燃費向上という技術的決定
燃費性能の向上を自動車のハイブリッド化という技術的コンセプトで追求することとし、ガソリンエンジン技術、発電技術、電動モーター技術、電力回生ブレーキ技術の統合

ガソリンエンジン技術の改良による燃費向上という技術的決定 

2)「Product Processに関するDesign」(工程設計)という視点から見た、「製品生産に際してどのようなTechnologyを用いるのか?」といった技術的決定問題

[授業配付資料]

 

[今回の授業の論点]
製品のシステム性という視点から見たイノベーション

1) 同一製品セグメントに属する製品相互の間でのシステム性 — ネットワーク外部性に関わるバンドワゴン効果
G1 FAX, G2 FAXとG3 FAXとで社会的普及度が異なること
 
2) 異なる製品セグメントに属する製品相互の間でのシステム性 — 補完財に関わるバンドワゴン効果
G4 FAXの製品性能はそれ単体としてはG3 FAXよりも優れていた。しかしそれにも関わらず、G4 FAXはほとんど社会的に普及しなかった。
G1 FAX, G2 FAX, G3 FAX — 電話回線 
G4 FAX — ISDN回線

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教養演習2014.05.21

[本日の授業内容]
指定課題についての発表

課題1-Wii-U

課題2-PS4

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情報公共論2014.05.20

[前回の授業内容]情報公共論 2014.04.29
[次回の授業内容]情報公共論 2014.05.27
 
[前回の小テストに関するコメント]

/答案の記述について/

問題文の内容の理解に関して、教員の想定外の「理解」に基づく答案が多かったので、少し厳しい採点となった。
なお「NHKが徴収しているのは、テレビ放送を受信する設備に対する受信料であって、テレビ放送の視聴サービスに対する対価としての視聴料ではない」ことを理解している答案は予想よりも多かった。すなわち、受信契約締結の法的義務は、「放送受信設備の設置」にともなって発生するものであり、「視聴サービスの利用」にともなって発生するものではないこと、それゆえ「NHKの放送をまったく視聴していない」としても、そのことを受信料拒否の理由にすることは法的には不適切な行為であることを理解している答案は予想よりも多かった。

/問題文の意図について/

前回の小テストで問題としていたのは、NHKの放送ビジネスに対するそうした法的義務の倫理的妥当性の根拠である。すなわち、「放送法による受信料の法的義務規定はどのような意味において社会的正義にかなっているのか?」「NHK受信料という法的義務を強制することの倫理的根拠は何なのか?」という問いに対する答えを期待していた。しかし法的義務の倫理的妥当性を適切に説明している答案はほとんどなかった
すなわち、「NHK放送をまったく視聴していない」人々からも、「NHKが受信料を強制的に徴収することの社会的合理性はどこにあるのか?」に関して具体的に説明している答案はほとんどなかった。

そこで今回の授業では、「NHKが受信料を強制的に徴収することの社会的合理性」に関する批判的考察をおこなうこととした。

[今回の授業内容およびプラスアルファ]
1.NHKの政治的中立性と受信料を関連づける議論

今回の授業では取り上げなかったが、NHKの受信料の正当化論として一般的になされている議論の一つは、下記の1に挙げた「NHKの政治的中立性を保つためには視聴料ではなく、受信料という形態が必要である」という議論である。
 
資料1>NHK受信料をめぐる2010年6月29日東京高裁の判決
[出典]http://web.archive.org/web/20130119005420/http://www.tsukuru.co.jp/nhk_hanketsu.pdf
「放送事業が・・・国営企業又は公営企業のみで経営されると,国から独立して番組等を作成する放送番組の編集の自由,ひいては表現の自由との関係で問題を生じるおそれがある」

資料2>朝日新聞「用語解説:公共放送」『朝日新聞』2014年1月29日朝刊
[出典]http://www.asahi.com/topics/word/受信料.html
朝日新聞の本用語解説では「政府からの独立性や政治的な中立性を確保するため、受信料や寄付などで運営される」ものとして公共放送を定義している。
 
資料3>「「受信料で運営、政治的中立性保つため」 あす、「NHKと民主主義」シンポ/徳島県」『朝日新聞』2014年5月17日徳島地方版
NHK会長の籾井勝人、NHK経営委員の百田尚樹氏や長谷川三千子氏らの言動などによって、NHKの政治的中立性への社会的信頼が大きく揺らいでいる。このことに関して、『朝日新聞』2014年5月17日の徳島地方版に掲載された記事「「受信料で運営、政治的中立性保つため」 あす、「NHKと民主主義」シンポ/徳島県」は、徳島大学の饗場和彦教授の下記のような発言を紹介している。

「放送法が視聴者に支払いを義務づけた受信料でNHKが運営されているのは、政府からの独立性や政治的中立性を確保するためだ。公共放送の機能を果たさず、政府の広報機関に成り下がるのであれば、受信料を払う合理性はない」
 
[上記の問題に関してさらに進んで考えて見よう]
上記の1の議論に関連して下記のような問題を考察して見よう。
問a.裁判官の「政治」的中立性の担保の議論においては裁判業務を支える資金の出所が直接的には問題とはされないにも関わらず、なぜNHKの放送業務の場合にはそうしたことが問題となるのか?

問b.行政官僚の「政治」的中立性の担保の議論においては行政業務を支える資金の出所が直接的には問題とはされないにも関わらず、なぜNHKの放送業務の場合にはそうしたことが問題となるのか?

問c.放送法の第4条では、放送事業者に対して「一  公安及び善良な風俗を害しないこと。、二  政治的に公平であること。、三  報道は事実をまげないですること。、四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という4つの法的義務を課している。したがって政治的中立性はNHKだけでなく、民間放送事業者にも等しく課せられた法的義務である。
したがって「政治的中立性の確保」という目的の実現のためであれば、NHKだけではなく、民間放送局にも受信料を配分すべきではないのか?
言い換えれば、政治的中立性の確保ということだけから、受信料をNHKだけに独占的に配分することは正当化できないのではないか?

2.NHKの放送事業のユニバーサル性を根拠とする議論

NHKの受信料の正当化論として一般的になされている第二の議論としては、「ユニバーサルサービス(universal service)の提供のためには受信料によって支えられた公共放送が必要である」というものがある。すなわち、「東京や大阪などの大都市だけでなく、人口過疎地でもあまねく放送サービスを提供するためには、CM料金収入に依存しない公共放送局が必要である」というものである。こうした議論は、下記の資料4や資料5に見ることができる。
 5月20日の小テストでは、資料4や資料5のような議論に対して、インターネットの社会的普及という視点からの批判を取り上げた。すなわち資料4のような議論は、「テレビ放送に関するユニバーサルサービスの提供が困難であった地上波アナログ放送時代では妥当するが、衛星放送やインターネット「放送」などの新しい技術的手段が登場した現代ではあまり適切ではない」という批判を取り上げた。
「ユニバーサルサービス」論によるNHK擁護論に対する批判としては、授業や小テストで論じたように、「放送」番組を提供する技術的手段としては、電波塔(放送塔)によるテレビ電波送信という従来的手段だけでなく、衛星電波やインターネット通信といった新しい技術的手段が利用可能である、というものがある。
放送衛星(Broadcasting Satelite)を利用するBS放送や通信衛星(Communication Satelite)を利用するCS放送は、一つの衛星で日本全国に番組放送が可能であるから、全国に同一の番組を届けるという点ではテレビ電波を利用する地上波デジタル放送よりも、かなり効率的な技術的手段である。
またインターネットは、電子メール、ホームページ閲覧(WEBページ閲覧)とともに、ニコニコ動画やYoutubeなど動画配信も可能な「汎用」的な通信手段として、もっと効率的な技術的手段である。インターネット「放送」であれば、ブラジルなど日本から遠く離れた海外でも自由に日本の放送番組を視聴することができるから、視聴者にとっては優れた技術的手段である。

資料4>NHK受信料をめぐる2010年6月29日東京高裁の判決
[出典]http://web.archive.org/web/20130119005420/http://www.tsukuru.co.jp/nhk_hanketsu.pdf
「民営企業でのみ経営されると,放送事業が都市部に集中傾斜して,営利性の乏しいそれ以外の地域は顧みられなくなるおそれがある」
 
資料5>放送法 第15条
[出典]http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html
「協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送(国内放送である基幹放送をいう。以下同じ。)を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び協会国際衛星放送を行うことを目的とする。」

資料6>放送法 第15条

3.良質かつ良心的な番組の提供を可能にするための財源としての受信料
放送法の第15条における「豊かで、かつ、良い放送番組」という文言

 

4.放送に関するイノベーションのための財源としての受信料
放送法の第15条における「放送及びその受信の進歩発達に必要な業務」という文言
NHK「8Kスーパーハイビジョン」
http://www.nhk.or.jp/8k/
NHK「8Kスーパーハイビジョンとは?」
http://www.nhk.or.jp/8k/tech/index.html

NHK「2014 FIFA ワールドカップ ブラジル」 8Kスーパーハイビジョンパブリックビューイング(国内4会場)」
https://pid.nhk.or.jp/event/PPG0244003/index.html
ザテレビジョンWEB(2014)「ワールドカップは臨場感抜群の8Kで! NHKがライブパブリックビューイングを実施!!」2014年5月19日
http://news.thetv.jp/article/46855/

 

[配布資料]

 

[さらに進んで調べるための参考資料・データ]
1.「放送の公共性」関連

http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2006_11/061103.pdf

www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0516.pdf
(3)渡辺武達(1995)「メディアの公共性と公益性」『評論・社会科学』(同志社大学人文学会)52, pp.81-198
(4)放送の公共性に関する調査研究会(1990)『放送の公共性に関する調査研究会報告書』郵政省放送行政局, 115pp

2.日本民間放送連盟(2011)「NHK受信料制度等専門調査会報告書に対する見解」

3.「放送と通信の融合」関連
(1)吉野次郎(2006)「アクセルとブレーキを同時に踏むテレビ局」2006年4月3日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060330/100905/
(2) 吉野次郎(2006)「アクセルとブレーキを同時に踏むテレビ局」2006年4月10日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060406/101086/
(3)吉野次郎(2006)「新東京タワー建設を急げ ネットとのインフラ大競争待ったなし(前編)」連載<ネット狂時代、テレビ局の憂鬱— どうなる?「通信」と「放送」の融合>第3回、日経ビジネスオンライン、2006年4月17日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060414/101330/
(4)吉野次郎(2006)「新東京タワー建設を急げ ネットとのインフラ大競争待ったなし(後編)」連載<ネット狂時代、テレビ局の憂鬱— どうなる?「通信」と「放送」の融合>第4回、日経ビジネスオンライン、2006年4月24日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060420/101522/
(5)吉野次郎(2006)「芸能界とテレビの蜜月に変化あり— 有力コンテンツがネットにも触手」【第5回】2006年5月1日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060426/101724/
(6) 吉野次郎(2006)「経産省が後押しする —- 下請け番組制作会社の逆襲」第6回、2006年5月8日(月)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060507/101923/
(7) 吉野次郎(2006)「ネット進出より“おいしい” —- キー局と地方局の関係、コンテンツ再利用にも系列をフル活用」第7回
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060512/102117/
(8) 吉野次郎(2006)「通信・放送の大改革、NHK焼け太りでどこへ向かう? — 受信料収入減を埋めるネット進出にお墨付き」第8回、2006年6月8日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20060607/103826/
(9) 吉野次郎(2006)「NHK受信料義務化で民放の「くだらない番組」が増える?」第9回、2006年12月14日
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20061211/115388/
 
[次回の授業内容]情報公共論 2014.05.27
 
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経営技術論2014.05.16

[前回の授業内容]経営技術論2014.05.09
[次回の授業内容]経営技術論2014.05.23

[授業の論点]
1.TechnologyとProductの相対的区別
「経営技術論」的視点からは、TechnologyとProductの区別を示すものとして、これらのWebページの記述を理解することができる。

VTR技術
ここでVTR技術と呼んでいるTechnologyをより分析的に記述すると、「動画像データを磁気テープにアナログ形式データとして記録させる」という機能の実現に関わる「諸」技術ということになる。具体的には、アナログ形式の動画データを磁気的に記録させる作業のための)ビデオテープ技術、および、(書き込み作業および読み出し作業のための)磁気ヘッド技術、ビデオテープの走行系メカニズム技術などがコア技術である。

VTR製品
ソニーは古くからVTR技術という<Technology>に基づくビデオテープレコーダー(Video Tape Recorder, VTR)製品という<Product>の開発に取り組んできており、1958年には国産初のビデオテーレコーダー試作第1号機(Ampex方式4ヘッド、テープ幅2インチ)を完成させている。
そしてソニーにおけるVTR製品というProductの開発と並行し、富士フイルムはVTR製品に必要不可欠なビデオテープ製品というProductの開発に従事し、1959年には「国産初の放送用ビデオテープ」を製造している。
VTR製品は、そのビデオテープの収納方式により、オープンリール型とカセット型に大別できる。カセット型ビデオテープを利用するVTR製品は、アメリカではVCR(ビデオカセットレコーダー, Video Cassette Recorder, VCR)製品と呼ばれている。
 日本におけるVCR製品としては、U規格VTR(1969年発表、1971年発売開始)、松下寿電子工業のVX方式VTR(1975年発売開始)、ソニーのβ(1975年発売開始)/βII(1977年発売開始)/8ミリビデオ(1985年発売開始)、ビクターのVHS(1976年発売開始)など多種多様な製品が存在する。
 
fig_511150_03

 

2.一つのTechnologyが多種多様なProductに「利用」される
一つのTechnologyが多種多様なProductに「利用」されているということは、数多くの新製品開発に先立ってTechnologyが存在すること、および、既存のTechnologyの活用を目的としたTechnology-oriented Innovationが存在することを示唆している。

/次回以降の授業との関連/
諸Technologyを利用して、「Productにどのような機能を持たせるのか?」「それぞれの機能の性能をどの程度にするのか?」が製品設計(Product design)の問題である。
 

3.同一のTechnologyを利用した異なるProductの具体例
ビデオテープ技術

 

[授業配付資料]

復習+α>1.必要性や有用性に基づく新製品開発や新サービス開発の連鎖的展開


ポイント1>「どのような必要性・有用性を対象とするのか?」、「関連事業として何を想定するのか?」で、どのようなProductの開発を目指すのかが異なる。またTechnologyの利用法が異なる。
ポイント2>上記の結果として、同一のTechnologyに基づくProduct Developmentにおいても、互換性のない異なるProductになる場合もある。Technologyの利用の仕方・方向性によって異なるProductになってしまう。
ポイント3>Product Developmentの方向性の規定要因としての、企業における基本的value(価値観)・value system(価値体系) —- 「軽薄短小」化の「画期的新製品の提供」をおこなうfirst-moverとしてadvantageの獲得を目指すSONY vs 「水道哲学」というvalueに基づき「良質な低価格品の提供」をおこなう松下電器=パナソニック
ポイント4>バンドワゴン効果

[関連参考サイト]

http://www.fujifilm.com/products/recording_media/technology_milestones/

磁気テープに関するこうした「技術」開発は、明確なnecessity/usefulnessに基づく「技術」開発ではあるが、明確なdemandに基づく「技術」開発とは言いがたいのではないか?
 
本Webページでは技術に関して、長期的に事業活動・事業展開を支えるのに必要な基本的技術を<基盤技術>とし、事業活動・事業展開において他社との差異化の実現を可能とする中核的技術を<コア技術>と呼んでいる。
基盤技術とは、当社事業を支える基礎であり、顧客ニーズに応えることができる技術力を指しています。一方で、商品差別化の源泉となる競争優位性があり、新たな価値を共に創る、「共創」の核となり得る技術をコア技術と定義しています。」
 

 

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教養演習A 2014.05.14

[本日の授業内容]
PCに関するテクニック
Wordにおける「見出し設定」機能を利用したレポート作成用メモ
レポート作成用テンプレートファイル

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経営技術論2014.05.09

[前回の授業内容]経営技術論2014.05.02
[次回の授業内容]経営技術論2014.05.16

[授業配付資料]
— Productに関するTechnology-Function-Performance論、および、Cost-Benefit論からの考察 —-
3.「原発無人ロボ、東電「いらぬ」 JCO事故後、30億円で開発→結局廃棄 」『朝日新聞』2011年05月14日夕刊
4.「業界慢心、ロボ頓挫 「原発で事故起きる?」 原子力災害用の遠隔操作ロボット 」『朝日新聞』2011年05月14日夕刊
5.「原発特殊任務、軍事ロボ出番 米ハイテク3社、支援へ動き 福島原発事故 」『朝日新聞』2011年04月01日朝刊
 
[授業内容]
1.一般的なニーズ概念の多義性に関するコトラー的理解と経営技術論的理解

コトラー的理解
[1)needs, 2)wants, 3)demand]
   VS
経営技術論的理解
[1a)客観的存在としてのnecessity/usefulnessそのもの,1b)necessity/usefulnessに関する主観的認識,
 2)wants, 3)demand]

 

2.一般的なニーズ概念の多義性に関する経営技術論的理解の「必要性/有用性」を示す事例としての「原発作業用ロボット」

放射線量が高く人間が作業するには適しない場所で動作可能な「原発作業用ロボット」は原発事故が起きた場合には実際に「必要」となったし、そうしたロボットがあれば二次災害防止や事故処理のためにも「有用」であった。
下記の参考資料などに示されているように、「原発作業用ロボット」のそうしたnecessityおよびusefulnessに関して、日本の官僚は理解・認識し、Product開発・製造のための予算措置を取っていた。「原発作業用ロボット」のnecessityおよびusefulnessに関する主観的認識に対応したTechnologyやProductの先行的開発は日本で実際になされていたのである。
しかしそうしたProductに対する電力会社側のwantsやdemandは存在しなかった。

原発で事故が起こった場合には、放射線量が高い場所で作業できるロボットが有用である。万一の原発事故に対応可能なロボットの社会的必要性は、1979年3月のスリーマイル島原発事故、1986年4月のチェルノブイリ原発事故などもあり、認識されていた。
実際に日本でも原発事故対応ロボットの開発は1980年代からおこなわれていた。1983-1991年に実施された「極限作業ロボット開発計画」では、通産省を中心に東芝、三菱重工業、日立製作所など8社が参加し、約70億円の予算で1台のロボットを開発・製造している。また1999年に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故の発生後には、日本の通産省が原発事故への対応を想定したロボットの開発費として30億円の補正予算を計上し、日立製作所、三菱重工業、東芝など4社が遠隔操作ロボットを2001年に計6台製造したが、電力会社は「原発では事故は起きないのでロボットはいらない」としてそれらを欲しなかったため、2006年3月には廃棄処分にされている。
週刊アエラの取材に対して、日本ロボット学会の川村貞夫会長(立命館大教授)は「技術的には、今回のような(福島第一原発)事故現場で稼働するロボットを国内で作ることは可能でしょう。問題は、電力会社などが莫大な費用をかけるかどうかです」と語っている。
そうしたこともあり、2011年3月の福島第一原発事故に際しては、原子炉建屋内の撮影や放射線量などの測定のために米国製ロボットが採用されている。

[参考資料]
  1. 「原発特殊任務、軍事ロボ出番 米ハイテク3社、支援へ動き 福島原発事故 」『朝日新聞』2011年04月01日朝刊
  2. 「原発無人ロボ、東電「いらぬ」 JCO事故後、30億円で開発→結局廃棄 」『朝日新聞』2011年05月14日夕刊
  3. 「業界慢心、ロボ頓挫 「原発で事故起きる?」 原子力災害用の遠隔操作ロボット 」『朝日新聞』2011年05月14日夕刊
  4. 「国産ロボット解体の訳 - 110億円投じて開発したのに」『週刊 アエラ』2011年05月02日

 

3.必要性・有用性視点から見た新製品開発の事例としての家庭用VTR


A.VTR 製品に関わる必要性・有用性
ユーザーによる撮影
1.子供の運動会の撮影
2.子供の演芸会の撮影
3.結婚式の撮影

テレビ番組の録画
4.TVの野球中継の録画
5.TVの映画番組の録画

録画済みビデオの再生
6.市販ビデオを購入しての再生
7.市販ビデオを借りての再生(レンタルビデオの再生)
8.他人が録画したビデオを借りての再生

B.VTR製品の有用性を高める関連事業
1.映画会社による映画コンテンツを利用した製品としてのビデオの製造・販売事業
2.テレビ局によるテレビコンテンツを利用した製品としてのビデオの製造・販売事業
3.映画会社やテレビ局の市販ビデオを利用したレンタル・サービス事業

C.VTR製品開発事例を理解するためのポイント
ポイント1>想定対象とする必要性・有用性の差異
「どのような必要性・有用性を第一の想定対象とするのか?」の違いで、どのようなProductの開発を目指すのかが異なる。またTechnologyをどのように利用するのかが異なる。
 
ポイント2>想定対象とする関連製品事業の差異
SONYのVTR製品(=βI)の製品開発コンセプトとビクターのVTR製品(=VHS)の製品開発コンセプトの差異は、両社のテレビ製品の技術的競争力=技術的性能の差異や、放送局用製品に関する競争力の差異とも関連していると考えられる。
すなわちTVのコア技術としてのトリニトロン技術で放送局用モニター製品や家庭用テレビ製品に関して強い技術的競争優位性を持っているSONYは、TV製品に関するそうした技術的競争力を生かすという視点から放送局用ビデオカメラ製品、放送局用VTR製品、家庭用ビデオカメラ製品、家庭用VTR製品に関する技術的イノベーションを推進している。
そうした製品事業の総合的展開という視点からSONYの製品開発戦略や技術開発戦略を理解する必要がある。
 SONYのPS3の開発コンセプトと、任天堂のWiiの開発コンセプトの差異もこうした視点から理解することができる。
 
ポイント3>同一Technologyに基づくProductの多種多様性 — Technologyの共通性 vs Productの異質性
上記のような想定対象の差異の結果として、同一のTechnologyに基づくProduct Developmentにおいても、企業によって異なるProductが生産されることになる。すなわち想定対象の差異に起因するTechnologyの利用の仕方・方向性の差異によって異なるProductになってしまう。
 その結果として、同一のTechnologyに基づく同一製品セグメントの製品であっても、互いに互換性のないproductが生み出される場合もある。
 
ポイント4>Value-Process-Resource視点からの理解
Product Developmentの方向性の規定要因としての、企業における基本的value(価値観)・value system(価値体系)の差異が、Productの技術的特性を規定している。
「軽薄短小」化の「画期的新製品の提供」をおこなうfirst-moverとしてadvantageの獲得を目指すSONY vs 「水道哲学」というvalueに基づき「良質な低価格品の提供」をおこなう松下電器=パナソニック

ポイント5>製品本体の製品競争力に対する関連製品の影響
バンドワゴン効果-VTR製品の年別生産台数に関する1980年代以降の差異の理由

経営技術論2014.05.09 はコメントを受け付けていません

教養演習A 2014.05.07

[本日の授業内容]
ゲーム専用機における互換性
ゲーム専用機における互換性
PCの法定耐用年数

PCに関するテクニック
CTRLキー+Fキー 「検索」
Wordにおける「見出し設定」機能の意味

[次回の予定]
1.互換性維持によるバンドワゴン効果の利用

旧世代機との互換性維持による消費者側のメリット
旧世代機との互換性維持によるゲーム機開発企業(ゲーム機メーカー)側のメリット
旧世代機との互換性維持によるゲームソフト開発企業(ゲームソフトメーカー)側のメリット — ソフト開発に対するメリット

課題2.WindowsXPが企業で長く使い続けられている理由を説明しなさい。

教養演習A 2014.05.07 はコメントを受け付けていません

保護中: 情報公共論2014.05.13 小テスト問題

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保護中: 情報公共論2014.05.13 小テスト問題 はコメントを受け付けていません

経営技術論2014.05.02

[前回の授業内容]経営技術論2014.04.25
[次回の授業内容]経営技術論2014.05.09

[授業配付資料]

  1. 「化学の底力でイノベーション 先端材料で新しい時代を開拓:東レ」『日経ものづくり』2014年05月号(特集1:製造業 次の一手)、pp.40-43
  2. 日本経済新聞(2013)「世界シェア調査、日本勢、得意分野で明暗、炭素繊維、東レが首位堅持」『日本経済新聞』2013年7月1日朝刊

[今回の授業内容および授業後の補足]
1.前回の授業内容の復習プラスアルファの議論
(1) necessityの充足やusefulnessの実現に関わるProductの要素としての、Functionおよびperformance
「ターゲット顧客のnecessityを充足するには、あるいは、ターゲット顧客にとって実際にusefulであるようにするためには、Productはどのようなfunctionを持っていることが必要なのか?またそのfunctionに関してどの程度以上のperformanceが必要なのか?どの程度以上のperformanceは必要としてないのか?」というアプローチ法にもとづく議論を今回はおこなっている。
ex. 多機能携帯端末としてのスマホという製品は、「通話」機能、「カメラ」機能、「メール」機能、「フルブラウザー」機能などを持っていることが必要とされている。そして現代では「カメラ」機能に関して画素数が数百万画素以上という性能が必要である。

     ↓

(2) functionの実現やperformanceの達成に関わる主要要素としてのTechnology
上記のようなアプローチ法からは、「Productに必要とされるfunctionの実現やperformanceの達成には、どのようなTechnologyが必要なのか?」というTechnology視点からの議論が必要となる。
 
2.「必要性/有用性」という概念的規定
(1) 製品カテゴリーの構成・分類に関わる「抽象」的規定としての「必要性/有用性」
ex.1 水分摂取の必要性/有用性に対応した製品カテゴリーとしての「水」製品、「飲料」製品
ex.2 カロリー摂取・栄養摂取の必要性/有用性に対応した製品カテゴリーとしての「食品」製品

水分、カロリー、栄養というのは、企業が製造・販売している特定の具体的なproductを指すものではなく、企業が製造・販売しているproductがどのような製品カテゴリーに属するのかを規定している抽象的規定である。
水分補給という機能を持った製品が「水」製品である。「カロリー」補給や「栄養」補給という機能を持った製品が「食品」製品である。

ex.3 病気治療の必要性/有用性に対応した製品カテゴリーとしての「医薬品」製品
病気を医学的視点から治療する機能を持った製品が「医薬品」製品である。
  

(2)「一つの機能」に対応する「複数の製品カテゴリー」
一つの機能に対して、一つの製品カテゴリー(あるいは一つの製品市場)が対応するというわけでは必ずしもなく、複数の製品カテゴリーが対応する。

ex.1 水分摂取という必要性を充足する機能を持った製品は、多種多様に存在する。

現代社会では水分摂取の必要性を満たすモノとして多種多様な製品が存在する。価格.comで調べれば解るように、「水」という製品カテゴリーに属する製品として多種多様な製品が販売されている。

さらにまた水分補給という機能は、「水道水」、「ミネラルウォーター」、「ブランド水(名水、銘水)」などの「水」製品カテゴリーに属する製品だけでなく、「野菜ジュース」、「お茶」、「コーヒー」、「ビール」など「飲料」製品カテゴリーに属する多種多様な製品も持っている。
 

ex.2 カロリー摂取・栄養摂取という必要性を充足する機能を持った食べ物・料理は、多種多様に存在する。

「洋食」「和食」「インド料理」「中華料理」「エスニック料理」などの多様な料理カテゴリー
インスタント食品、ファーストフード、お菓子など

 
ex.3 生活習慣病という病気に対する対処法は複数のアプローチが存在する。

医学的視点からは「医薬品」製品がまず第一に想定される(あるいは病院は「医薬品」製品による治療を提供している)が、健康科学的視点からは運動や食事が想定される(あるいは健康科学的視点からは「スポーツジムでの適切な運動」や「カロリーや栄養にきちんと配慮した食事」による対応が重要である)。
    ↓
生活習慣病をなおす必要性・有用性に対しては、「医薬品」製品市場、「スポーツ」市場、「トクホ(特定保健用食品)」市場など複数の製品市場・サービス市場が対応する。
 
 
(3)「機能」(Function)と「性能」(Performance) —- Technologyによって主に規定される二要素
必要性の充足に関わる理論的規定としての機能(Function)
有用性の程度に関わる理論的規定としての性能(Performance)
 
 
 
3.「wants」という概念的規定は「具体」的規定である
(1) wants の対象となるのはProduct(製品)である
Productに関しては、下記のことに注意する必要がある。
1> Productが「複数の機能を持つ」ことに注意する必要がある。Productによってどのような機能を持つかが異なる。(医薬品であれば、副作用という機能の有無がProductの競争力を左右する。副作用を持たない薬の方が良い。薬に関して良い品質のProductとは、ターゲットとなる機能以外の機能を持たないことである。)
2> 同一の機能を持つProductに関して、性能が異なるProductが販売されている。すなわち、Productごとに必ずしも性能は同一ではない。
  
(2) Product development(製品開発)における焦点としての、「機能」設計、「性能」設計、「素材」選択、「構造」設計などの技術的決定
New Product(新製品)に

「どのような「機能」を持たせるのか?」、
「どの程度の「性能」を持たせるのか?」、
「どのようなmaterialでそのことを実現するのか?」
「どのようなpartsでそのことを実現するのか?」
「どのようなmoduleでそのことを実現するのか?」

といった経営技術論的決定がProduct design(製品設計)の問題である。

経営技術論2014.05.02 はコメントを受け付けていません

教養演習A 2014.04.30

[本日の授業内容]
PCおよびゲーム専用機に関する基礎知識(3) —- 新製品出荷の頻度に関するPCとゲーム専用機の差異

PCは頻繁に新製品が出荷されるのに、ゲーム専用機のモデルチェンジは数年間に1回である。CPUおよびGPUの基本的スペックに関して、PCでは頻繁に「性能」向上がなされるのに対して、ゲーム専用機では基本的には「性能」は同一のままである。

「規模の経済」効果との関連
「経験曲線」効果との関連での説明 —- 性能ではなく、製造の単価の引き下げ

[次回の課題]
課題1.任天堂は前世代機との互換性確保に関して、「GAMECUBEまでの据置型ゲーム専用機」と、「3DSまでの携帯型ゲーム機」では、前代製品との互換性確保に関して大きな違いがある。任天堂が据置型ゲーム専用機と携帯型ゲーム専用機で互換性確保に関して異なる戦略を採用した理由を推測しなさい。
 
課題2.WindowsXPが企業で長く使い続けられている理由を説明しなさい。

教養演習A 2014.04.30 はコメントを受け付けていません

情報公共論2014.05.13

[前回の授業内容]情報公共論 2014.04.29
[次回の授業内容]情報公共論 2014.05.20
 
[NHKの受信料契約の義務性に関して]
日経の下記記事にあるように、東京高裁の難波孝一裁判長はNHKの受信契約に関して「受信者が受信契約に応じる意思を示さなくても、NHK側が契約締結を申し入れて2週間たてば契約が成立する」という判決を2013年10月30日に出した。

同判決に対しては一部から強い批判があったが、それとまったく対立する判決が同じ東京高裁で別の裁判長によって出された。すなわち、下記の記事にあるように、NHKが受信者に受信料の支払いを求めた訴訟に対する東京高裁の2013年12月18日の控訴審判決において下田文男裁判長は、「NHKの契約申し込みと、受信者の承諾の意思が一致しなければ受信契約は成立しない」という判断を示したのである。

J-CASTの同記事に書かれているように、裁判官によってこのように判断が分かれるということは、NHKの受信契約の現在のあり方に関して再検討が必要なことを示している。すなわち、J-CASTの同記事に紹介されているように、受信料を支払わない受信者に対しては放送にスクランブルをかけるなどの手段で見れないようにすれば良いのではないかという意見や、「NHKの放送を見ながらも受信料を払う人と拒否する人がいるのは不公平なのは事実。他方、さまざまなメディアが存在し受け手側の選択肢も拡大している。それだけに、「NHKを見たくない人でもテレビを設置しているだけで課金されるというシステムそのものを議論し、新たな徴収、課金方法を検討すべき」(放送関係者)時期にさしかかっているといえそうだ。」という意見もある。

こうした意見に対してどう答えるべきであろうか?

[前回の小テストの答案に関するコメント]
non-rivalrousとnon-excludableを混同している答案がいくつかあった。
NHK放送がnon-excludableである理由に関して、「free riderを排除しようにも排除できないからである」という答案があったが、それは正しくはない。アナログ地上波放送のシステムでは技術的に困難であったが、B-CASカードによる認証システムを標準で備えているデジタル放送のシステムでは少なくとも技術的には可能である。WOWOWなどがおこなっているように、スクランブル放送とし、「視聴料」を払っている人だけが見ることができるようにすることはできる。
NHKに対する受信料支払いが確認されないと、受信料支払いを促すメッセージがテレビ画面に表示される、ということは、受信料を支払った人のTVとそうではないTVの区別に関する情報をNHKがもっていることを示している。それゆえそうした情報を利用することで、「受信料」を支払っていないTVでNHK放送を見せないようにすることは技術的に可能なのである。

受信料と視聴料の差異を見落としている答案がいくつかあった。

受信料は、土地や住宅の「所有」者にかかる固定資産税と似ている。土地を利用しているだけの借地人や、住宅を借りているだけの「利用」者には固定資産税の納税義務はない。

すなわち固定資産税の支払義務は「所有」者にあり、「利用」者にはない。それと同じように、NHKの受信料の支払義務はTV受信機の「所有」者にあり、「利用」者にはないのである。

 

[配布資料]
[今週の授業内容]
1.NHK放送をexcludableにすることに関する論争点
NHKの主張
「NHKは公共放送の財源として受信料がふさわしいと考えています。「スクランブル」は限られた人だけが情報を入手できる仕組みであり、一見合理的に見えますが、全国どこでも放送を分け隔てなく視聴できるようにする、という公共放送の理念と矛盾し、問題があると考えています。「スクランブル」では、どうしても「よく見られる」番組に偏り、内容が画一化していく懸念があります。視聴者のみなさまにとって、番組視聴の選択肢が狭まり、健全な民主主義社会の発展のうえでも問題があると考えています。」
[出典]NHK「「衛星デジタル放送におけるメッセージ運用方法の変更」に対するご意見とNHKの考え方」
http://www.nhk.or.jp/eigyo/iken_cas/pdf/ikenkouhyo.pdfのp.3/16
[さらに進んで調べるための参考資料・データ]
「NHK受信契約には視聴者の承諾必要 東京高裁で異なる2つの判断、どうなる?」J-Castニュース、2013/12/25 19:28  
[次回の授業内容]情報公共論 2014.05.20
 
情報公共論2014.05.13 はコメントを受け付けていません

経営技術論2014.4.25

[前回の授業内容]経営技術論2014.04.18
[次回の授業内容]経営技術論2014.05.02

[授業配付資料]

(1) ニーズという単語の意味の曖昧性 — necessity/usefulness-wants-demand の区別の必要性
(2) necessity/usefulness とwants の区別
(3) wants とdemand の区別
(4) wants の対象ではあっても、demand の対象とはならなかった製品の具体的事例
ex.1 第二次世界大戦後に日本で初めて開発された旅客機であるYS11
ex.2 イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機コンコルド
ex.3 三井造船が事業主体となって開発を進めた「次世代」高速船・テクノスーパーライナー(TSL)
 
(1) ソニーの初期テープレコーダーの場合
a.顧客に対する教育を通じた製品販売
b.テープレコーダーの有用性に関する事後的研究
c.市場創造(Market Creation)としての、顧客における有用性認識の形成 — 製品の有用性の宣伝による、需要の形成・拡大
 
(2) 初代ウォークマン「TPS-L2」の場合
a.新聞記者向けの新製品発表会に対する新聞社の対応 — ウォークマンの有用性に対する社会的認知度の低さ
b.顧客に実際に体験してもらうことによるウォークマンの有用性に対する社会的認知の形成— 「この商品は、まず聴いてもらって良さを分かってもらわないと、話が始まらない」 —
c.ロジャースのイノベーション普及理論における「イノベーター」or「オピニオンリーダー」としての丸井の購買担当者
 
(3) メインフレーム・コンピュータ(大型計算機)の場合
a.メインフレーム・コンピュータの革新的有用性に関する社会的認知
b.メインフレーム・コンピュータの用途を教えることができる人材の新規採用、および、セールスマンと顧客に対する教育
 
(4) パーソナル・コンピュータの場合
a.エバンジェリスト(evangelist)の活用
b.ユーザー教育の場の設定
c.テレビ・ゲームの場合
 

[授業内容]

1. Product-Module-Parts-Materialの階層性
(1)moduleそれ自体も様々なsub-module、あるいは、様々なparts,materialから構成されている。
Material
←←←製造装置/製造技術
Parts
←←←製造装置/製造技術
Product

 

[参考資料]

  1. 柏尾南壮(2013)「iPhone 5sとiPhone 5cの“革新性”を分解して知る (1/3)」
    http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1310/16/news063.html

  2. EE Times Japan(2013)「iPhone 5s/5cのBOMコスト、差は10ドル」EE Times Japan、2013年09月25日
    http://eetimes.jp/ee/articles/1309/25/news068.html

  3. Andrew Rassweiler, Wayne Lam (2013) “Groundbreaking iPhone 5s Carries $199 BOM and Manufacturing Cost, IHS Teardown Reveals,”iSuppli Press Release September 25, 2013
    https://technology.ihs.com/451425/groundbreaking-iphone-5s-carries-199-bom-and-manufacturing-cost-ihs-teardown-reveals

  4. Andrew Rassweiler(2012) “Many iPhone 5 Components Change, But Most Suppliers Remain the Same, Teardown Reveals” iSuppli Press Release, September 25, 2012
    https://technology.ihs.com/411502/many-iphone-5-components-change-but-most-suppliers-remain-the-same-teardown-reveals

  5. 日経エレクトロニクス分解班(2013)「【PS4分解その4】大きな導光板を発見」日経テクノロジーOnline2013.11.15
    http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20131115/316568/

  6. 日経エレクトロニクス分解班(2013)「【PS4分解その5】シンプルなメイン基板」日経テクノロジーOnline2013.11.15
    http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20131115/316632/

  7. 日経エレクトロニクス分解班(2013)「【PS4分解その6】メイン基板上の部品を見てみる」日経テクノロジーOnline2013.11.15
    http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20131115/316636/

 
 

(2)様々なTechnologyから構成されているProductとしてのPC、スマートフォン、ゲーム専用機
TechnologyはProductの機能や性能の規定要因/制約要因であるが、同一のTechnologyを用いるにしても多様なProductが可能。
ガソリン自動車は、ガソリン・エンジンというTechnologyを共通に用いているが、多様な機能・性能を持った多様なProduct Designが存在する。
ガソリン・エンジンの排気量は機種によって大きな差がある。

スマートフォンは、液晶技術、電池技術を共通に用いているが、液晶ディスプレイの大きさやコントラスト比に差異が存在するし、電池の容量も差異がある。

2.「needs」(広義)に関するコトラー的分類
(1)「・・・を必要とする」「・・・が有用である」という狭義の needs[必要性・有用性]に関する認識— ProductのFunction,Performanceに対する認識
水分不足なので水分を補給する必要がある。
 のどが渇いているので、すぐに水を飲むことが健康維持のために有用である。
 栄養分不足なので栄養分を補給する必要がある。
 栄養分が不足しているので、すぐに栄養分を補給することが健康維持のために有用である。
 
(2) 「・・・を欲しい」というwants[欲求・衝動]— Productに対する欲求・衝動
激しい運動をして汗をかき、のどが渇いたので、何かスポーツ飲料を飲みたい。
今日はとても暑い日なので勤務終了後に冷たいビールをグイと飲みたい。
お腹が空いたので、食事をしたい。
 
(3) 「・・・を購入する」というdemand[需要]— Productに対する需要
お腹が空いたが、給料日前でお金が足りないので、夕食は吉野家で牛丼を食べることで我慢する。
給料日でお金にかなり余裕があるし、おいしい料理をたくさん食べたいので、きちんとしたレストランでフランス料理のフルコースを食べることにする。
 
3.コトラー的分類に対する経営技術論的視点からの用語修正
狭義のneedsという用語の代わりに、necessity/usefulnessという用語を用いることにする。また授業では強調してはいないが、コトラー的分類ではneedsを「認識」次元でのみ取り扱っているのに対して、経営技術論ではnecessity/usefulnessという客観的規定とそれに対する主観的認識とを区別する取り扱いをおこなう。
これはnecessity-oriented innovationやusefulness-oriented innovationにおいて、研究開発の開始時点ではまだ知られてはいないnecessityやusefulnessを解明・認識することから始まる場合もあるためである。特に「新しい病気」の発見(新しい病気メカニズムの発見)に基づいて、新しい治療薬を開発するような製品イノベーションでは、未だ認識されてはいないnecessityやusefulnessが対象となっているからである。
 

このことに関して、P&Gの「消費者起点が革新の原点:お客様を深く理解することが、すべてのイノベーションの出発点です。」というWEBページでは、下記のように、顧客が認識していないニーズの分析ということを挙げている。

「多角的な視点からお客様を理解するために、調査手法も多様です。インタビューやアンケートのほか、お客様の日々のお買い物や家事の様子を見せていただくこともあります。お客様ご自身も気づいていない真のニーズを知るためには、日々の暮らしや価値観を深く掘り下げ、プロの視点から必要なもの導き出す必要があるためです。」
[出典]http://jp.pg.com/innovations/consumer.jsp、2014年5月26日アクセス

 

4.「needs」概念の経営技術論的分析に対応したイノベーションのタイプ分類
needs-oriented innovationというような一般的用語で指し示されている現象は、経営技術論的にはかなり性格が異なる多種多様な形態のイノベーションを含んでいる。経営技術論的にはイノベーションのタイプ分類に関して、下記のような3分類を分ける必要がある。
× needs-oriented innovation

1) necessity-oriented innovation、usefulness-oriented innovation
2) wants-oriented innovation
3) demand-oriented innovation(Market-oriented innovation)

配付資料にある「第二次世界大戦後に日本で初めて開発された旅客機YS11」は、どちらかと言えば日本人技術者、日本の飛行機メーカー、飛行機分野での戦後復興を求める日本人(国内の飛行機産業の育成を図りたいと考えている政府関係者)など「自国製の飛行機が欲しい」というwantsに導かれた製品イノベーションとしてwants-oriented innovationであったが、さまざまな要因からビジネス的成功を収めることはできなかった。
「イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機コンコルド」や「三井造船が事業主体となって開発を進めた「次世代」高速船・テクノスーパーライナー(TSL)」は、輸送機関の速度向上による移動所要時間の短縮というusefulness向上を実現した技術的イノベーションとしてusefulness-oriented innovationであったが、製品の高性能性の実現にともなう高コスト性の結果としてビジネス的成功を収めることはできなかった。

授業中にusefulness-oriented innovationとして位置づけられる上記以外の事例として、「カセット・ウォークマン」、「曲げられるディスプレイ」「曲げられるCPU」などを挙げた。

「曲げられるディスプレイ」
週刊アスキー編集部(2013)「スマホ向け8コアCPU『Exynos5 octa』をサムスンが発表」週アスPLUS、2013/01/14
weekly.ascii.jp/elem/000/000/123/123716/?

「ディスプレーの分野では、サムスン電子サンノゼディスプレー研究所のブライアン・バクレー上席副社長がプレゼンを行なった。/観客が最も沸いたのが、サムスン電子が開発を進めているフレキシブル・ディスプレー『YOUM』を紹介したときだ。『フレキシブル』の名の通り、フィルム上で自由に形を曲げられるため、スマートフォンやタブレットに画期的なデザインをもたらせるという。/バークレー氏が紹介したのがディスプレーが本体正面だけでなく、曲がった状態で端末の側面まで伸びているというものだ。カバーをかぶせても、ふちの部分にディスプレーがあるため、メールの着信、テキストなどを確認できるようになっている。上映されたイメージビデオでは、画面を2つに折りたたんだものや、細長い棒状のものから丸まっているディスプレーが飛び出してくる、といったシーンが紹介された。
 

「「曲げられる無線回路の利点とは・・・」、半導体エネルギー研とTDKが語る」2005年12月13日
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/417/417768.html
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051212/111550/

 

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情報公共論 2014.04.29

[前回の授業内容]情報公共論 2014.04.22
[次回の授業内容]情報公共論 2014.05.13

 

[配布資料]
[今週の授業内容]
1.ミニテスト
問1 『広辞苑』第六版では「公有」に関して「国家または公共団体の所有」というように定義している。そしてなおかつ、『広辞苑』第六版では、公共団体とは、「国により一定の行政を行うことを存立目的とすると定められた法人。一般に、目的達成に必要な範囲で公権力の行使が認められ、国の特別の監督の下に立つ。地域的統治団体たる地方公共団体、社団的性格の公共組合、財団的性格の営造物法人(公社・公団・事業団の類)がある。行政法人。」と定義されている。こうした辞書定義の不十分性について、先週の授業内容に基づいて情報公共論的視点から論じなさい。

問2 NHKのテレビ放送(地上波デジタル放送、衛星放送)は、公共経済学的な意味におけるnon-excludabilityという性格を持つと言えるかどうかを論じなさい。
 

2.先週の復習プラスアルファ
public/privateの区分に関する複数のアプローチの一つとしての「所有」視点アプローチの問題
「誰かのモノ」に関するpublic vs private
個人、私企業など所有主体がprivateであることによる「私有」物
 vs
国・政府・地方自治体・独立行政法人・国立大学法人など所有主体がpublicであることによる「公有」物
ex.「国または地方公共団体が所有する公共の用に供されている海岸の土地」としての公共海岸[海岸法の第2条の2]
 

「誰のモノでもないモノ」に関するpublic vs private —- 私有物にできるモノとできないモノがある

「公水」vs「私水」

宮﨑淳(2010)「水資源は誰のモノ?-水法の観点から」
自らの所有地に湧き出ている水や、自らの所有地の井戸水としての地下水は私有物として取り扱われる(所有者以外は利用できない、「××の名水」の素材としての地下水)
海洋深層水(参考資料:酒匂敏次「海洋深層水利用研究の現状と未来」日経サイエンス
河川の水に対する利水権(「誰のモノでもないモノ」を一定範囲内で私的に利用できる権利)

河川法の第2条の第1項によれば、「河川は、公共用物であって、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行われなければならない」
 

ローマ法の考えでは水は「万民の共有物」である(それゆえ利用権は成立しても私的な所有権は成立しない)
日本の1890年制定の旧民法の財産編25条の条文「公共物とは何人の所有にも属することを得ずして総ての人の使用することを得るもの謂う 例えば空気、光線、流水、太洋のごとし」
 

「公海」vs「領海」
 

3.NHK放送の公共性に関する公共経済学的視点からのアプローチ
(1)放送電波に関する公共経済学的視点からの理解 — 放送電波の二重性(「供給者」視点と「視聴者」視点)
「供給者」視点 —- 事業の前提となるリソースのrivalrous性
「視聴者」視点 —- 視聴行為に関するnon-rivalrous性とnon-excluable性
 
(2)放送事業に関する公共経済学的視点からの理解 — 放送事業の二重性(「供給者」視点と「視聴者」視点)
Public goodsの定義から見たNHK放送番組コンテンツ

要件A.Non-rivalrous性(非-競合性)

放送電波は、「事業者」視点から見ると、rivalrous
    ↓
利用可能な電波は有限
有限な資源としての電波、携帯電話用電波のプラチナバンドとしての70MHz帯、900MHz帯
[参考資料]佐野正弘(2012)「もう1つのプラチナバンド“700MHz帯”の行方はいかに?」日経トレンディ2012年07月04日
    ↓
電波の利用は免許制で、免許を受けた私企業はある電波帯を独占的に利用できる
同一電波帯を同時に利用できる事業者は一社に限定される。同一の電波帯に二つの事業者が同時に放送することは混信を招くためダメである。
    ↓

電波利用料、電波オークション

放送電波は、「視聴者」視点から見ると、non-rivalrous
    ↓
何千万人が同時に見てもまったく競合は生じない
一方向的な伝達のための無線という技術的手段=放送電波の特殊性

要件B.Non-excludabe性(非-排除性)
NHKの「地上波デジタル放送」「衛星放送」
技術的には、「誰でも無料で視聴することができる」ように設計されているという意味でnon-excludable
WOWOWなどがそうしているように、B-CASカードの情報を利用することで、freeriderを排除するシステムにすることは技術的には可能である。しかしながら、NHKという「公共」放送局、および、日本テレビやフジテレビなどといった「民間」放送局は、地上波デジタル放送のすべて、および、衛星放送のほとんどにおいてfreeriderを排除しないシステムを採用している
法的には、「誰でも無料で視聴することができる」ような契約になっているという意味でnon-excludable

 

[さらに進んで調べるための参考資料・データ]
[次回の授業内容]情報公共論 2014.05.13
 
情報公共論 2014.04.29 はコメントを受け付けていません

情報公共論2014.04.22

[先週の授業内容]
[配布資料]
 
[今週の授業内容]
1.公共的情報財の定義 — 公共財と情報財の共通集合
a.公共財の具体例
b.情報財の具体例

b-1.ハードウェア(情報処理機器)
b-2.ソフトウェア

b-2-1. プログラム[OSプログラム、アプリケーション・プログラム]
b-2-2. コンテンツ
 
2.public に関する3つのアプローチ
(1) 「追求目的」視点から見たpublic vs private
「公共的目的の追求 vs 私的目的の追求」という枠組みにおけるpublicなモノの具体例
1.公共住宅(公営住宅)public housing
2.公共の福祉 public welfare
3.公安 public peace
4.公務 public affairs
5.公用 public use
6.公会堂 public hall
7.公園public park
8.公有ビーチpublic beach
9.公共建築物 public building
10.公道 public road
11.公衆浴場 public bath
 
(2) 「所有主体」視点から見たpublic vs private
公有(国家による国有、地方公共団体、公団、公庫、独立行政法人などによる公有)
私有(個人、私企業)
無主物、Public domain

公衆浴場(public bath)の所有書は個人である場合が多いので、「所有主体」視点から見ると、publicではなく、privateなのものとなる。

 

(3) 「公共経済学」視点から見たpublic vs private
non-excludable(非-排除的)
non-rivalrous(非-競合的)

 

[さらに進んで調べるための参考資料・データ]
http://www.wikimedia.org/
a.Wikimediaのミッション

“Wikimedia is a global movement whose mission is to bring free educational content to the world.” 
b.Wikimediaが提供している公共的情報コンテンツ

 

[次週の授業内容]
情報公共論2014.04.22 はコメントを受け付けていません

経営技術論2014.4.18

[前回の授業内容]経営技術論2014.04.11
[次回の授業内容]経営技術論2014.04.25

[授業配付資料]

[授業内容](一部、追加修正あり)

1. 競争優位の持続性を形成するものとしての、他社が模倣困難な経営資源

a. 先駆者(first-mover)の競争優位の実現を可能にした要因に模倣困難性が高ければ、競争優位が持続する。模倣困難性が低ければ、自社の優位性を導いた要因を他社が模倣できるため競争優位は持続しない。
ex.1 「対面取引」型証券取引から「ネット取引」型証券取引へのプロセス・イノベーションにおいて先行した松井証券の競争優位性は「口座数」から見る限りにおいて持続していない。
資料にあるように、口座数では、後発社のSBI証券や楽天証券が松井証券を抜いている。
SBI証券-2013年12月末時点資料-6SBI証券(2014)「決算説明資料ー2014年3月期第3四半期」p.6
http://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/irpress/kessanshiryou_140205.pdf

 
 
b. 他社に対する自社の優位性獲得を可能にした要因の模倣困難性を高める方法に関する経営技術論的アプローチにとしては、ポーターがTechnological leadership戦略と呼ぶ下記のような対応が存在する。

  1. 「特許権・著作権などの知的財産権によって他社の模倣を法的に許さない」
  2. 「技術開発力(技術開発能力)の高さでイノベーションを絶えずリードし模倣する他社の追随を許さない」

参考資料:ポーターにおける技術的リーダーシップ戦略vs技術的模倣者戦略
http://www.sanosemi.com/biztech/document/2014Porter-Technological_leadership.pdf
 
 

2. Product vs Module、Product vs Technology
(1)様々なmoduleから構成されているProductとしてのPC、スマートフォン、ゲーム専用機

(2)様々なTechnologyから構成されているProductとしてのPC、スマートフォン、ゲーム専用機
TechnologyはProductの機能や性能の規定要因/制約要因であるが、同一のTechnologyを用いるにしても多様なProductが可能。
ガソリン自動車は、ガソリン・エンジンというTechnologyを共通に用いているが、多様な機能・性能を持った多様なProduct Designが存在する。
ガソリン・エンジンの排気量は機種によって大きな差がある。

スマートフォンは、液晶技術、電池技術を共通に用いているが、液晶ディスプレイの大きさやコントラスト比に差異が存在するし、電池の容量も差異がある。

経営技術論2014.4.18 はコメントを受け付けていません

教養演習A-2014.04.23

4/23の課題
課題1 売上高に対する営業利益率(2005-2009)に関して、マイクロソフトが36%、インテルが22%になっている。マイクロソフトがインテルの1.6倍と高い理由を推測しなさい。

課題2 インテル、ソニー、パナソニックの研究開発費はほぼ同額である。マイクロソフトはそれらよりも4割ほど多い研究開発費を支出している。こうしたことが、「ソニー、パナソニック」と「インテル、マイクロソフト」の売上高に対する営業利益率(2005-2009)の違いに関係していると思われる。どのように関係していると思われるのかを説明しなさい。

課題3 売上高に対する研究開発費率がマイクロソフトは14.6%、インテルは15.2%と高いのに、デルは1.0%、アップルは3.2%と低い。
(1) なぜデルは売上高に対する研究開発費率が低いのか?またそうした低さがデルの企業としての競争力に関してどのような影響を与えているのか?
(2) なぜアップルは売上高に対する研究開発費率が低いのか?またそうした低さにも関わらず、アップルの企業としての競争力が高いのはなぜか?

4/23の授業説明
PC(Windowsマシン) アップルのiPhoe,iPad,iPod
OS マイクロソフト社 Windows OS アップル社 iOS
CPU インテル社 Coreシリーズ アップル社 A5,A6,A7

製造総費用=固定費用+可変費用
可変費用≒限界費用×総製造台数
製造総費用≒固定費用+限界費用×総製造台数
したがって
製造単価=製造総費用÷総製造台数
    ≒(固定費用+限界費用×総製造台数)÷総製造台数
    ≒固定費用÷総製造台数+限界費用

Mac OS Xは説明していない。

教養演習A-2014.04.23 はコメントを受け付けていません

経営技術論2014.4.11

[次回の授業内容]経営技術論2014.4.18

[授業配付資料]
b.2013年度経営技術論試験問題
参考資料1.「電気自動車、販売伸び悩む」『朝日新聞』2012年11月21日朝刊の一部抜粋
参考資料2.「電気自動車、低迷が揺るがす電池産業」『日経ビジネス』2013年02月11日号の一部抜粋
c.2013年度技術戦略論試験問題
表1>日本における産業分野別の売上高に対する研究開発費率および営業利益率の比較(2007年度から2011年度にかけての5カ年度平均)
研究開発費率1
表2>情報通信機械器具製造業における日米の代表的企業における売上高に対する研究開発費率および営業利益率の比較(2005年度-2009年度)
研究開発費率2
d.『日経流通新聞』2014年4月9日の本の紹介記事>桃田健史(2014)『アップル、グーグルが自動車産業を乗っ取る日』洋泉社
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-03-22
e.「車同士で通信事故防ぐ、実用化へ規格、自動運転に一役、官民、来年に実験」『日本経済新聞』2014年3月18日夕刊
f.『朝日新聞』2014年1月22日「グーグル、多角化急ぐ、ロボット・住宅・医療・車」
関連事項>「範囲の経済」効果と「多角化戦略」
g.「歯の治療器具を3D印刷」『日経産業新聞』2014年3月28日
h.「富士経済研究員石井優 - 照明器具、国内は縮小へ、世界は2020年にLED普及」『日経流通新聞』2014年3月28日

 

[授業のポイント]
1.授業の基本的視点
a.Innovation, Invention, Discovery
Business(ビジネス)--Innovation(革新)
         ↓↑
Technology(技術)--Invention(発明)、creation(創作)[注1]
         ↓↑
science(科学)--Discovery(発見)

[注1]研究開発(research and development)によるInvention(発明)、creation(創作)により、特許権、著作権などの知的財産権の取得が可能。[モノ(ハードウェア)に対しては特許権で、プログラム(ソフトウェア)に対しては著作権で法的に保護される。]
    ↓
知的財産権の取得により、「高い模倣困難性」の維持・実現が可能になる
    ↓
「市場の独占」、「高い営業利益率の確保」などが可能になる。
ex. マイクロソフト、インテル、アップル、ファナックなどの高い営業利益率

b.produceの名詞形 — producer, production, product
production — production processに関するinnovation(process innovation)によるadvantageの追求
  vs
product —— productに関するinnovation(product)によるadvantageの追求

c.differentiation戦略, cost leadership戦略, focus戦略(differentiation focus戦略, cost focus戦略)
 

 

経営技術論2014.4.11 はコメントを受け付けていません

「迂回生産」論 — 道具、機械

[授業内容に関わる背景的論点:迂回生産]
人類の歴史的進歩に関する「迂回生産論」的理解
necessity/usefulnessに基づく新技術開発や新製品開発の源泉の一つは、人類の歴史的進歩に関する下記のようなあり方の変遷にもある。

1.「道具を使う動物」
(天然に存在する道具を使って、製品を生産する動物)
   ↓
2.「道具を創る動物」
(天然には存在しない道具を創って、製品を生産する動物)
   ↓
3.「道具を使って道具を創る動物」
(天然には存在しない道具を使って、天然には存在しない道具を創って、製品を生産する動物)
(天然には存在しない道具を使って、天然には存在しない機械を創って、製品を生産する動物)
(天然には存在しない機械[工作機械]を使って、天然には存在しない機械を創って、製品を生産する動物)

 

[用語解説]
「迂回生産」『平凡社 世界大百科事典 第2版』
http://kotobank.jp/word/迂回生産

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技術戦略論2014.1.17

[前回の授業内容]技術戦略論2014.01.10

[授業配付資料]
9. 機能設計と構造設計
10. 製品設計アーキテクチャの基本的分類軸 — 「クローズド型vsオープン型」基準軸と「モジュラー型vsインテグラル型」基準軸による類型化 —- クローズド・インテグラル型、クローズド・モジュラー型、オープン・モジュラー型
a. 機能とモジュールの対応関係によるモジュラー型/インテグラル型の区別
b. 2×2マトリックス分類 – クローズ=インテグラル、クローズ=モジュラー、オープン=モジュラーの3類型
11. アーキテクチャのポートフォリオ戦略
[授業のポイント]
a.新製品開発プロセスについての復習
1.「市場」要因と「技術」要因
それぞれに、「既存」要素(既存市場=「現に存在する市場」、既存技術=「現時点で実用化されている技術」)と「潜在」要素(潜在市場=「現在は存在しないが、理論的可能性のある市場」、潜在技術=「将来的実用化に取り組んでいる技術」)が存在する

2.製品コンセプト
3.製品設計(機能設計と構造設計)

b.「closed/open」軸と「modular/integral」軸による3類型
「範囲の経済」効果、「規模の経済」効果、取引先に対する交渉力の高低に対する影響などにより、類型ごとにイノベーションによる収益性に差異がでる。

技術戦略論2014.1.17 はコメントを受け付けていません

技術戦略論 2014.01.10

[前回の授業内容]技術戦略論2013.12.20
[次回の授業内容]技術戦略論2014.1.17

[授業配付資料]
a.技術戦略論2013.12.20授業レジュメ

  1. 前提的発想 — 組立型製品の階層的構造視点から見た「製品設計」と「工程設計」
  2. 2014-01-10-product_design_process_desing
  3. 藤本隆宏の製品アーキテクチャ論における「消費のシミュレーションとしての製品開発」 — 製品開発プロセス、生産プロセス、消費プロセスの区別と相互連関
  4. 藤本隆宏,キム・B・クラーク(田村明比古訳,1993)『製品開発力』ダイヤモンド社,p.45
  5. 情報処理としての製品開発活動 — 「市場ニーズに関する情報」と「技術に関する情報」に基づく製品コンセプト創造1
  6. 藤本隆宏・安本雅典編(2000)『成功する製品開発』有斐閣,p.32
    藤本隆宏(1997)『生産システムの進化論』p.30
  7. 設計の連鎖-「製品コンセプト」→「機能設計」→「構造設計」→「工程設計」
  8. 藤本隆宏(2000)「効果的製品開発の論理 – 自動車産業を出発点として」藤本隆宏・安本雅典編『成功する製品開発』有斐閣,p.20
  9. 機能設計と構造設計
  10. 製品開発時における製品アーキテクチャの選択(2)—コスト重視 vs 性能重視
  11. 藤本隆宏(2002)「製品アーキテクチャの概念・測定・戦略に関するノート」経済産業研究所ディスカッションペーパー02-J-008, p.33
  12. インテグラル度/モジュラー度
  13. インテグラル型アーキテクチャ製品に必要な組織能力
[授業ポイント]
製品セグメントの階層性・複数性の歴史的変化
ex.1 汎用的な情報処理マシンの製品セグメント構成の、製品イノベーションによる歴史的変化
エレクトロニック・コンピュータ
(electronic computer, 電子計算機)
1960-70年代頃
上位市場 メインフレーム・コンピュータ
(mainframe computer, large-scale computer, 大型計算機)
下位市場 ミニ・コンピュータ(minicomputer,ミニコン)
1980-90年代頃
上位市場 メインフレーム・コンピュータ
中位市場 ミニ・コンピュータ
下位市場 パーソナル・コンピュータ
(PC, personal computer, microcomputer)
現代
最上位市場 メインフレーム・コンピュータ
中位市場 サーバー・コンピュータ
下位市場 PC
最下位市場 タブレット、スマートフォン
汎用的な情報処理マシンの製品セグメント構成の歴史的変化を主導したもの
  1. Material(素材)としての半導体に関するイノベーション
  2. partsやmoduleにおけるイノベーション — IC, SSI, MSI, LSI
  3. LSI型マイクロプロセッサの持続的性能向上

参考WEB
「集積回路 歴史 SSI、MSI、LSI」blog開発・設計から実装組立まで
http://tblog002.tou3.com/COB/%E9%9B%86%E7%A9%8D%E5%9B%9E%E8%B7%AF%20%E6%AD%B4%E5%8F%B2%20ssi%E3%80%81msi%E3%80%81lsi

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技術戦略論2013.12.20

[前回の授業内容]技術戦略論2013.12.13
[次回の授業内容]技術戦略論2013.1.10

[授業配付資料]
2.歌代豊(2003)「アーキテクチャ創造企業の可能性:スタンダード競争からアーキテクチャ競争へ」『NEXTING』4(10) pp.8-13
3.「2012年度後期 技術戦略論 試験問題」

[授業ポイント]
1.多機能化=汎用化による新しい製品セグメントの歴史的形成
ex.1 携帯電話からスマホへの製品イノベーション — 「通話専用」機から「汎用的情報処理」機への製品イノベーション
カメラモジュールによるカメラ機能の搭載
赤外線通信モジュールによる赤外線通信機能の搭載
FeliCaモジュールによるおサイフケータイ機能の搭載
フルセグモジュールによるフルセグTV放送の受信機能・録画機能の搭載

2.Prodct-Module-Parts-Material視点からの製品イノベーション理解
Material(素材)に関するイノベーションによる製品イノベーション
Moduleに関するイノベーションによる製品イノベーション

1.中核的モジュールを内製化して模倣困難性を高めることで、他社に対する差異化によって競争優位を確保する戦略
2.中核的モジュールを外部調達して「規模の経済」効果・「範囲の経済」効果の利用によって、低コスト化で競争優位を確保する戦略

3.営業利益率と研究開発費 —- Prodctを構成する主要Moduleに知的財産権取得の経営的意味

表1>日本における産業分野別の売上高に対する研究開発費および営業利益の割合比較(2007年度から2011年度にかけての5カ年度平均)
rd-profit1

表2>情報通信機械器具製造業における日米の代表的企業における売上高に対する研究開発費および営業利益の割合比較
rd-profit2

4.インテグラル化 vs モジュラー化、クローズド化 vs オープン化
(1) インテグラル(Integral)化 [「統合」化、「擦り合わせ」化] vs モジュラー(Modular)化[「組み合わせ」化]

(2) クローズド化 vs オープン化

(3) モジュラー(Modular)化とモジュール(Module)化の区別が重要

モジュール(module)の理念型としては、モジュラーなモジュール(Modular Module)とインテグラルなモジュール(Integral Module)の2種類がある。なお両タイプはあくまでも理念型であり、現実の製品はモジュラー度(あるいはインテグラル度)の違いによるスペクトルの中のどこかに位置づけられる。

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技術戦略論2013.12.13

[前回の授業内容]技術戦略論2013.12.6
[次回の授業内容]技術戦略論2013.12.20

[授業配付資料]
[授業ポイント]
1.製品セグメントの階層性・複数性に対する戦略的対応
「汎用」化 vs 「専用」化
Broad Target Narrow Target
PC、スマートフォン ゲーム専用機、ワープロ専用機
「低コスト」化 vs 「差異」化
Lower Cost Differentiation
下位市場 上位市場
2.「多機能」化による複数「製品セグメント」への対応に関わる技術的問題
「多機能」化に対応した製品において、複数機能の同時並行的利用を可能とする場合には、「単機能」的製品よりも高い技術的性能を必要とする
ex.1 スマートフォンのCPUに関する動作周波数の向上、マルチコア化 — それぞれのコアごとに別の機能処理を実行することによる高性能化
ex.2 iPhone5SにおけるCPUの64ビット化 — CPUが一度の動作で処理可能な情報量の増大による高性能化
ex.3 スマートフォンの画面の高解像度化・画面サイズ拡大 — 複数データの同時的表示を可能にするための高性能化

3.「多機能」化による複数「製品セグメント」への対応という形式における「汎用」化は製品競争環境の歴史的変化をもたらす
製品技術や生産技術の歴史的発展は、各市場セグメントで要求される製品性能の下限を引き上げると共に、各市場セグメントで有意味なものとして評価される製品性能の上限を引き上げる。そしてまた、以前の製造コスト制約の下では対応困難であった「多機能」化=「汎用」化を可能にする
1.製品の多機能化=汎用化による、専用製品(単機能製品)の競争優位の喪失
— 携帯電話の「多機能」化による携帯端末セグメントの形成、「ケータイ」による低価格カメラ専用機セグメントの衰退
ex.1 携帯電話に対するカメラ機能の付与による「汎用」化 —- 「使い捨てカメラ」(写ルンです)や「一体型コンパクト・デジカメ」といったカメラ「専用」機のadvantageの喪失

ex.2 携帯電話に対するゲーム機能の付与による「汎用」化 —- ゲーム「専用」機のadvantageの喪失?

2.下位市場製品向け技術による、より上位の製品市場への進出による「破壊」的イノベーション
ex.1 マイクロプロセッサ技術

[考察してみよう]
  1. 製品技術や生産技術の歴史的発展は、専用製品に対する汎用製品の相対的な高性能化・低価格化を可能とする。それはどのようなメカニズムによるものなのかを考えてみよう。
    その際には、ワープロ専用機という「専用機」とPCという「汎用機」の製品間競争などの具体的事例を取り上げて論じよう。
  2. メインフレーム・コンピュータは垂直統合型産業構造で、PCは水平分業型産業構造と言われてきたが、Appleだけでなく最近ではマイクロソフトもSurfaceのようなPC製品を出すなど、垂直統合化の動きが進んでいる。これはなぜであろうか?
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経営技術特論 2013.12.17

[前回の授業内容]
[今回の授業内容予定]
配布資料
1.藤本隆宏、大鹿隆(2005)「現場発の産業立地戦略— 「擦り合わせ型」を国内に、組織能力と相性、多能工の維持が必要不可欠」『日本経済新聞』2005年8月11日朝刊
3.コンピュータ製品における製品セグメント別の差異の歴史的存在形態

参考文献
授業内容
integral/modularおよびclosed/openという二つの基準軸
日本-自動車、工作機械-濃密なコミュニケーション、多能工型=>「擦り合わせ」型(integral型)-closed型
vs
米国-PC、マクドナルド-緻密なマニュアルの遵守、単能工型=>「組み合わせ」型(modular型)closed型、open型

伝統的産業分類 — 垂直統合/水平分業
vertical integration(垂直統合)
vs
horizontal division of labour(水平分業)

水平分業とその問題点に関わる事例 — 設計と製造の問題
モジュールの種別的分類 — modular module vs integral module
material(素材)
parts(部品)
module(モジュール)
product(製品)
「製品設計」vs「製品生産」
「製品設計」(product design)— 製品の機能や性能にかかわる技術的決定に起因する競争力の差異
vs
「製品生産」(production)— 製品の生産の在り方にかかわる技術的決定に起因する競争力の差異

BIOS

[次回の授業内容]
経営技術特論 2013.12.17 はコメントを受け付けていません

経営技術特論 2013.12.10

[前回の授業内容]
[今回の授業内容予定]
CPU視点から見た家庭用据置型TVゲーム専用機における製品イノベーションの歴史的構造
1.任天堂
2.ソニー
3.マイクロソフト
[次回の授業内容]
経営技術特論 2013.12.10 はコメントを受け付けていません

著作権の保護期間に関する論争

現在のところ、日本では著作権の保護期間が「著作者の死後50年」とされている。
これに対して最近は、アメリカなどと同じく70年に延長することを求める動きが強まっている。例えば、日本音楽著作権協会(JASRAC)は著作権の保護期間延長のために積極的である。本記事は、JASRAC会長で有名な作曲家の都倉俊一氏の主張をインタビュー形式で紹介したものである。
著作権の保護期間に関する論争 はコメントを受け付けていません

経営技術特論 2013.12.03

[前回の授業内容]
[今回の授業内容予定]
A.製品イノベーションの社会的普及に関わる多様なコスト概念
cf Total Cost of Ownership論(TCO論)

1.初期コスト(initial cost, 製品の開発・購入・導入にかかるコスト)
購入コスト
購入時の税金(消費税、自動車取得税[1968年創設、課税標準基準額50万円以上の自動車に対する5%の税金]など)
設置費用

2.ランニングコスト(製品の維持・修理・保守にかかるコスト)
ガソリン自動車を例に取ると、ガソリン代金、車検費用、修理費などがある。

3.廃棄コスト

4.スイッチング・コスト
ガソリン自動車から電気自動車への切り替えという製品イノベーションを例に取ると、充電スタンドの新設・充実ということがスイッチング・コストとして必要である。

B.製品イノベーションの社会的普及に関わる多様なコスト概念に基づく製品競争力の分析
キーボード配列

初期コスト 学習コスト
ランニングコスト 入力時間(1/入力速度)
スイッチングコスト
[次回の授業内容]
経営技術特論 2013.12.03 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.12.6

[前回の授業内容]
[授業配付資料]
[授業ポイント]
11.22授業に対する追加的説明>製品イノベーションにおけるドミナント・デザインの存続要因としての市場が求める製品性能の上限と下限
技術発達のS字曲線
ある特定の製品の性能は、①初期にはさほど向上しないが、②やがて一定コストを超えると急激な性能向上が始まり、③しばらくするとコストを投入してもほとんど性能が向上しない、ようになる。

市場でドミナントな製品デザインの変動 — 製品セグメントによる存続期間の多様性
同一の製品デザインがドミナントな製品デザインとして長期的に存続する場合もあれば、ドミナントな製品デザインが短期的に次々と変動する場合もある。自転車の製品デザインおよびキーボード配列の製品デザインは、長期的に存続し続けているドミナント・デザインの典型的事例である。携帯音楽機器の製品デザインは、ドミナントな製品デザインが短期的に次々と変動した典型的事例である。
ドミナント・デザインの存続期間のこうした差異を理論的に説明する一つの方法は、技術発達のS カーブと市場ニーズの上限という関係から考察することである。

[11/29配付資料]「技術発達のS字カーブ曲線」論的視点から見た製品イノベーション

製品イノベーション・プロセスの多様性
(1) Technology-oriented的製品イノベーション・プロセス
(2) Module-oriented的製品イノベーション・プロセス
(3) ニーズ=シーズ協働説(Theory of seeds-needs collaboration)的製品イノベーション・プロセス

[今回配布予定資料]製品イノベーションプロセスに関する理解

[次回の授業内容]
技術戦略論2013.12.6 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.11.29

[前回の授業内容]
[授業ポイント]
ゲーム専用機市場セグメントとPC市場セグメントにおけるCPUモジュールに関するdominant desingのあり方の比較
PS以降のゲーム専用機市場セグメントにおけるCPUモジュールのアーキテクチャの歴史的変遷

任天堂   ソニー   マイクロソフト  
Gamecube
(2001)
PS2
(2000)
XBOX
(2001)
IBM
Powerアーキテクチャ
MIPS
MIPSアーキテクチャ
Intel
x86アーキテクチャ
(Power PC G3) (MIPS R5900) (Intel PentiumIII)
   
同一アーキテクチャ
互換
  異質アーキテクチャ
非互換
  異質アーキテクチャ
非互換
   
Wii
(2006)
  PS3
(2006)
  XBOX360
(2005)
IBM
Powerアーキテクチャ
(Power PC G3) (Power PC G5)
   
同一アーキテクチャ
互換
  異質アーキテクチャ
非互換
  異質アーキテクチャ
非互換
   
Wii U
(2012)
  PS4
(2013)
  XBOXOne
(2013)
IBM
Powerアーキテクチャ
AMD
x86アーキテクチャ
(Power PC G3) (Jaguarアーキテクチャ)
Wii U, PS4, XBOX Oneに関する記事に関しては下記を参照のこと。

[次回の授業内容]
技術戦略論2013.11.29 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.11.22

[前回の授業内容]
[前回の授業ポイントの復習]
「差異化重視」戦略—スーファミ(1990) からN64(1996)への製品イノベーション
N64への製品イノベーション・プロセスにおける差異化

メガドライブ(1988)やスーファミ(1990)などの16ビットゲーム専用機世代に代わる新世代製品としてのソニーのPS(1994)やセガのセガサターン(1994)などの32ビットゲーム専用機の社会的普及が進む中で、任天堂はそれら32ビットゲーム専用機に対して「差異化重視」戦略に基づく製品イノベーションで競争優位の獲得を目指した。
すなわち、新世代機のN64(1996)で旧世代機のスーファミ(1990)のゲームソフトを動作させるという互換性維持を犠牲にして、新世代機の性能向上を追求した。CPUのbit数は旧世代機のスーファミ(1990)の16ビットから新世代機のN64では64ビットに大幅に上げるとともに、CPUの処理速度も約1MIPSから125DMIPSへと100倍以上も高速にし、性能向上による差異化で競争優位を確保しようとした。

「互換性維持重視」戦略—GAMECUBE(2001) からWii(2006)への製品イノベーション
Wiiへの製品イノベーション・プロセスにおける互換性維持
据置型ゲーム専用機に関する任天堂のそれ以前の製品イノベーションでは、新世代機で旧世代機のゲームソフトは動作しなかったが、Wiiという新世代機では旧世代機Gamecubeのゲームソフトが動作するようになっている。すなわち、Wii以前の製品イノベーションでは旧世代機との互換性が維持されてはいなかったが、Wiiへの製品イノベーションでは旧世代機との互換性維持がなされている。

Wiiへの製品イノベーション・プロセスにおける性能向上の度合いの相対的低さ
CPUのbit数は64ビットのままで変化がなく、CPUの処理速度も1125MIPSから2250MIPSへと2倍になっただけであり、性能向上による差異化で競争優位を確保しようとした製品イノベーションではない。

(これに対して、XBOX360は、CPUの処理速度を前世代機の約3.2倍にするとともに、CPUのbit数を32ビットから64ビットに変更するという大幅な性能向上を実現している。またPS3は、Wiiと同じくCPUのbit数は64ビットのままで変化していないが、CPUの処理速度は前世代機の約23.5倍となっており、かなり大幅な性能向上を実現している。)

[次回の授業内容]
技術戦略論2013.11.22 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.11.15

[前回の授業内容]
[今回の授業配布資料]
[次回の授業内容]
技術戦略論2013.11.15 はコメントを受け付けていません

経営技術特論 2013.11.19

[前回の授業内容]
[今回の授業内容予定]
これまでの授業内容の確認 —「CPUのビット数向上」という性能向上の意味

アドレス空間の大きさ(CPUが一度の動作で取り扱い可能な数

CPUの
ビット数
一度の動作で
取り扱い可能な
対象の数
一度の動作で
取り扱い可能な
対象の
の具体例
4ビット 24=16 数字(0~9)、アルファベット(A-Z,a-z)
8ビット 28=256 数字(0~9)、アルファベット(A-Z,a-z)、
ひらがな、かたかな
16ビット 216=65,536 数字(0~9)、アルファベット(A-Z,a-z)、
ひらがな、かたかな
漢字

CPUによるメモリアドレス指定に対応した記憶管理の単位を1KBとした場合に、CPUの一度の動作で指定可能なメモリ空間の大きさ

CPUの
ビット数
一度の動作で
取り扱い可能な
メモリ空間の大きさ
一度の動作で読込先や書込先が
指定可能な記憶装置の具体例
4ビット 24=16KB
8ビット 28=256KB
16ビット 216=65,536KB=64MB FD(1.4MB)、CD-ROM(640MB)
32ビット 232=4GB FD(1.4MB)、CD-ROM(640MB)、DVD(4.7GB)
64ビット 264=16EB(1TBの1600万倍) FD(1.4MB)、CD-ROM(640MB)、DVD(4.7GB)、ブルーレイ(片面25GB)

PCと比較したゲーム専用機の特徴
1.同一機種(同一プラットフォーム機種)の大量生産=大量販売
2.同一機種(同一プラットフォーム機種)の比較的長期期間にわたる利用
3.最初は既存モジュールの転用、やがて専用チップの新規開発による差異化へ

製品イノベーションにおける戦略的対応の分類(その1)
— 個別製品視点から見た製品イノベーションに関する4つの基本的な戦略的対応
1.「差異化」戦略
2.「低コスト化」戦略
3.「差異化集中」戦略
4.「コスト集中」戦略

製品イノベーションにおける戦略的対応の分類(その2)
— 製品システム視点から見た、非集中戦略的製品イノベーションに関する4つの戦略的対応

1.「差異化重視」戦略 — 互換性維持の放棄という「犠牲」のもとに、新機能実現や大幅な性能向上による差異化を重視
2.「互換性維持重視」戦略 — 新機能実現や大幅な性能向上による差異化の断念という「犠牲」のもとに、互換性維持を重視
3.「両立重視」戦略 — コスト増大という「犠牲」のもとに、差異化と互換性維持の両立を重視

4.「非差異化・非互換」戦略 — 互換性維持のためのコストも、新機能実現や大幅な性能向上による差異化のコストも負担しないが、とにかく「新しいもの」による製品イノベーション(単なるNeuerungとしてのイノベーション)

[次回の授業内容]
経営技術特論 2013.11.19 はコメントを受け付けていません

経営技術特論 2013.11.12

[前回の授業内容]
[今週の授業での配布予定資料]
[今週の授業内容]
A.イノベーションの技術的方向性 — 差異化 vs 低コスト化、集中化 vs 非集中化、差異化 and/or 互換性維持

<差異化 vs 低コスト化>視点
1.「製品レベルでの差異化」vs「製品レベルでの低コスト化」のトレードオフ関係

<集中化 vs 非集中化>視点
2.「製品レベルでの集中化」vs「製品レベルでの非集中化」のトレードオフ関係

    イノベーションの前後での、ターゲット顧客範囲の変化は、論理的には下記のように三つある。
    ターゲット顧客範囲の絞り込み=集中化(ex.ゲーム用途への限定)
    ターゲット顧客範囲の非絞り込み=非集中化(1) —- ターゲット顧客範囲の現状維持(ex.家庭用PC用途への限定)
    ターゲット顧客範囲の非絞り込み=非集中化(2) —- ターゲット顧客範囲の拡大(ex.家庭用PC用途に加えて、家庭用タブレットへの拡大– マイクロソフトのsurface)

<差異化 vs 互換性維持>視点
3.「モジュールレベルでのradical innovationによる差異化」vs「モジュールレベルでの互換性維持」のトレードオフ関係
4.「モジュールレベルでのradical innovationによる差異化」vs「製品レベルでの互換性維持」の両立可能性
                 ↓
B.製品イノベーションにおける戦略的対応の分類(その1)
1.「差異化重視」戦略
2.「互換性維持重視」戦略
3.「両立重視」戦略
4.「非差異化・非互換」戦略

「性能向上」重視戦略(「差別化」重視戦略)、「互換性維持」重視戦略(「バンドワゴン効果」重視戦略)vs 「両立」戦略
の具体的展開と、メリットデメリット
「両立」戦略が可能なのはゲーム専用機の特徴によるもの

[次回の授業内容]
経営技術特論 2013.11.12 はコメントを受け付けていません

経営技術特論 2013.11.5

[先回の授業内容]
[今回の授業内容]
「性能向上」重視戦略(「差別化」重視戦略)vs 「互換性維持」重視戦略(「バンドワゴン効果」重視戦略)

先週は、PC用CPUを例に取って、モトローラが前者の戦略を、インテルが後者の戦略を取ったことを説明した。
PC用CPUでは「差別化」と「互換性維持」の両立が困難であるが、ゲーム専用機という製品では「差別化」と「互換性維持」の両立が不可能ではない。(PCでも16ビット登場期には、NEC PC98-DOや富士通 FM-11 8bit/16bit両用機(7種類のOSが動作)Duoのようにそうした製品が存在した。)

「性能向上」重視戦略(「差別化」重視戦略)vs 「互換性維持」重視戦略(「バンドワゴン効果」重視戦略)vs 「両立」戦略
「両立」戦略が可能なのはゲーム専用機の特徴による

ゲーム専用機の特徴
1.同一機種(同一プラットフォーム機種)の大量生産=大量販売
2.同一機種(同一プラットフォーム機種)の比較的長期期間にわたる利用
3.最初は既存モジュールの転用、やがて専用チップの新規開発による差異化へ

技術的視点から見た差異化と低コスト化
A.差異化 —- 新規研究開発投資、新規設備投資といった固定費の必要性
1.新機能実現
2.大幅な性能向上の実現)

B.低コスト化 —- 既に研究開発済みのモジュールの転用(活用)、既存生産設備の転用(活用)
1.既存モジュールの転用(活用)
2.既存技術の転用(活用)

技術的説明
 MIPS=Million Instruction Per Second
1秒間に処理できる情報量=「1度の処理で取り扱える情報量」×「1秒間に処理できる回数」

CPU — 8,16,32,64
GPU — 8,16,32,64,128
(Graphic Processing Unit)
画像に関する指示命令をもとにGPUが画像データを生成
画像データを直にもつことは大変
DVD画質(約30万画素)でも、1ドット当たり3byte(24bit)のデータ量
 R、G、Bそれぞれに1byte(8bit)の情報量
 1画面で3byte/画素×30万画素=90万byte≒0.9MB
 1秒間に60画面なので1分間には3600画面
 したがって1分間の動画で非圧縮ならば
 0.9MB×3600=3240MB≒3GBものデータ量になる
 したがって画像データで持つのではなく、画像に関する指示命令データで持つようにする

Dhrystone – Wikipediaja.wikipedia.org/wiki/Dhrystone‎
Dhrystone(どらいすとーん)は、1984年に Reinhold P. Weicker が開発した合成ベンチマークプログラムであり、システム(整数)プログラミングの性能に注目したベンチマークである。Dhrystone は、SPECint として知られている CPU89 ベンチマークが現れる …

製品単価=総費用/総生産数
    =(可変費用+固定費用)/総生産数
    =可変費用/総生産数+固定費用/総生産数
    =限界費用+固定費用/総生産数

限界費用は、「経験曲線」効果(ex.カイゼン)で低減
固定費用/総生産数は、総生産数の増大による「規模の経済」効果で低減

マジコンについての質問あり

[今回の授業内容]
経営技術特論 2013.11.5 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.11.8

[前回の授業内容]
[前回の授業内容の復習 — CPUのビット数(CPUが一度に処理可能な情報量)に関する技術革新の持つ意味]

1.CPUが一度の動作で取り扱い可能な対象範囲に関する性能向上
現代のデジタル情報機器は一般に、バイナリー形式(2進法形式)で情報を取り扱う。すなわち、「0なのか、1なのか」を情報処理の基礎としてしている。そして「0なのか、1なのか」という情報の基礎単位を1ビットと呼んでいる。

CPUの
ビット数
一度の動作で
取り扱い可能な
対象の数
一度の動作で取り扱い可能な
対象範囲の具体例
4ビット 24=16 数字(0~9)、アルファベット(A-Z,a-z)
8ビット 28=256 数字(0~9)、アルファベット(A-Z,a-z)、
ひらがな、かたかな
16ビット 216=65,536 数字(0~9)、アルファベット(A-Z,a-z)、
ひらがな、かたかな
漢字
2.アドレス空間の大きさ(CPUが一度の動作で取り扱い可能な数)に関する性能向上
CPUによるメモリアドレス指定に対応した記憶管理の単位を1KBとした場合に、CPUの一度の動作で指定可能なメモリ空間の大きさは、CPUのビット数に関する技術革新によって下記のように性能向上がなされる。

CPUの
ビット数
一度の動作で
取り扱い可能な
メモリ空間の大きさ
対応する記憶装置の
の具体例
4ビット 24=16KB
8ビット 28=256KB
16ビット 216=65,536KB=64MB FD(1.4MB)、CD-ROM(640MB)
32ビット 232=4GB FD(1.4MB)、CD-ROM(640MB)、
DVD(4.7GB)
64ビット 264=16EB(1TBの1600万倍) FD(1.4MB)、CD-ROM(640MB)、
DVD(4.7GB)、ブルーレイ(片面25GB)

[参考となる技術的知識]
2の累乗計算値
24=16
28=256
216=26×210=64×1024=64K
232=22×210×210×210=64×1024×1024×1024=4G
264=22×210×210×210=64×1024×1024×1024=4G

1画面の情報量
標準的には、1画素当たりの「色」に関する情報量は、3バイト=24ビットである。(というのは、光の3原色である赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3色それぞれに関して、明るさを256段階に分けて指定するのが一般的である。256=28であるから、256段階で明るさを指定するのに必要な情報量は8ビット=1バイトである。それゆえ3色では3バイトの情報量になる。)
なお224=24×210×210=16×1024×1024=16,777,216であるので、24ビットの情報量で色を指定すると、全部で16,777,216色を指定できることになる。

1画面の色情報を指定するのに必要な情報量は、画面の画素数に応じて次のように大きくなる。
DVDなどの標準画質である約30万画素(640ドット×480ドット)の場合 — 900KB
フルハイビジョン画質である約200万画素(1920ドット×1080ドット)の場合 — 6,075KB≒約6MB

住所に関する郵便番号表示に必要な情報量
手紙やはがきなどの郵便物、および、宅配便の自動仕分けに郵便番号が利用されている。
郵便番号が5桁から7桁になったことの意味は、2桁分だけ郵便番号を増えることで、郵便番号で指定可能な住所の数が102=100倍になったことを意味する。
すなわち郵便番号が5桁の時には105=10万個であったのに、郵便番号が7桁である現在では107=1,000万個の住所分類が可能であることを意味する。それゆえ7桁の場合には、郵便番号の処理に107ビット≒9.5MB以上のアドレス空間を必要とすることになる。

[次回の授業内容]
技術戦略論2013.11.8 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.10.25

[前回の授業内容]
[10.25の授業内容における訂正]
ゲーム専用機でCD-ROMを標準サポートしたfirst-moverは、ソニーのプレイステーション(1994/12)ではなく、NECのPCエンジン (1987/10)用の周辺機器 CD-ROM2(シーディーロムロム、1988/12)である。

なおPCエンジンは、CPUがカスタム版の6502であり、ファミコンと同一タイプのCPUであるが、動作周波数はファミコンが1.79MHzであったのに対して、PCエンジンはその4倍の7.16MHzと4倍も高速であった。

[今週の授業内容および重要ポイント]
ゲーム専用機における製品イノベーションに関する技術戦略論的視点からの分析

1.技術発展による世代区分(1) — 「CPU」moduleから見た技術発展(その1)—CPUが一度に処理可能な情報量(CPUのビット数)の技術発展に基づく世代区分
世代区分 first-mover second-mover
「8ビット」ゲーム機
(1983/7)
任天堂:ファミコン
セガ:SG-1000
NEC:PCエンジン(1987/10)
「16ビット」ゲーム機
(1988/7)
セガ:メガドライブ 任天堂:スーファミ(1990/11)
「32ビット」ゲーム機
(1994)
SONY:PSほか多数
「64ビット」ゲーム機
(1996/6)
任天堂:N64 SONY:PS2(2000/3)

関連資料

2.技術発展による世代区分(2) — 「記憶装置」moduleから見た技術発展(その1)
世代区分 first-mover second-mover
ROMカートリッジ
(1983/7)
任天堂:ファミコン
Floppy Disk
(1986/2)
任天堂:ファミリーコンピュータディスクシステム
(Family Computer Disk System)
CD ROM
(1988)
NEC:PCエンジン CR-ROM2(1988/12) SONY:初代PS(1994/12)ほか
DVD
(2000/3)
ソニー:PS2(2000/3)
ブルーレイROM
(2006/11)
ソニー:PS3(2006/11)

関連資料

[次回の授業内容]
技術戦略論2013.10.25 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.10.18

[先週の授業内容]技術戦略論2013.10.11

[来週の授業内容]技術戦略論2013.10.25

[今週の授業内容]
1.「Product Technology/Production Technology」という技術の種別と、差異化戦略/コストリーダーシップ戦略との連関
ex.1 家庭用据置型ゲーム専用機の「価格」・「品質」に関わる競争優位と、「機能」「性能」に関わる競争優位
ex.2 自動車の「価格」・「品質」に関わる競争優位と、「機能」「性能」に関わる競争優位

2.固定費(fixed cost)としての研究開発費
製品の1単位当たりの製造コスト (研究開発・製品開発・製品製造
に関わる総費用)÷総製造台数
(固定費+変動費)÷総製造台数
固定費÷総製造台数+変動費÷総製造台数
平均可変費用(変動費÷総製造台数)の最小値が限界費用である。
単純化のために、平均可変費用(変動費÷総製造台数)が一定であるとすれば、平均可変費用=変動費÷総製造台数=限界費用と置き換えることができる。
 その場合には下記のような式が成立する。

製品の1単位当たりの製造コスト = 固定費÷総製造台数+限界費用

総製造台数が大きければ大きいほど、平均固定費用=固定費÷総製造台数はゼロに近づく。製品イノベーションや工程イノベーションを実現するための研究開発費は固定費の代表的なものである。

3.自動車の自動運転というイノベーション — 諸技術に関するイノベーションの協働によって可能となる社会的イノベーション
「工学」技術的には自動運転は可能であるけれども、現時点における「社会システム」技術的には自動運転は実現困難である。
 自動車の自動運転の実現には、電車の自動運転とは異なり、社会慣習、社会的規範、保険制度、法制度に関するイノベーションが必要となる。

技術戦略論2013.10.18 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.10.11

[前回の授業内容]技術戦略論2013.10.4
[次回の授業内容]技術戦略論2013.10.18
[今回の授業内容]
1.アッタ-バックのドミナントデザイン論と差異化戦略・コストリーダーシップ戦略
「製品」開発時期および「技術」開発時期を基準とする製品の位置づけ
技術開発には一定の開発時間や経営資源を必要とすること、および、製品には複数の技術を必要とすることから、製品の開発主体・開発時期と技術の開発主体・開発時期は必ずしも同一ではない。
 製品に必要とされる技術を他社に先駆けて自ら開発する先駆者(first-mover)的企業もいれば、他社が以前に開発した技術を自社製品に採用する後発者(follower)的企業もいる。
 携帯型音楽プレーヤーの先駆的製品であるカセット・ウォークマンを1979年に販売開始したSONYは、同製品を構成する主要モジュールに関するトランジスタ技術(半導体技術)を1953年から、テープレコーダー技術を1950年から、カセット・テープ技術を1966年から自社で開発していた。
 これに対して、家庭用据置型ゲーム専用機の先駆的製品であるファミコンを1983年に販売開始した任天堂は、同製品を構成する主要モジュールである中央演算処理チップ(CPU)や画像処理チップなどに関する技術を自社で有してはいなかった。そのためCPUは、アメリカのモステクノロジー(MOS Technology)が1975年に発表した6502という既存CPUモジュールの互換製品を採用した。(同CPUモジュールは、アップルがApple II(1977)という8ビットPC製品で採用していたことでも有名である。)ただしGPUに関しては、リコーと共同で新規開発することで、競合製品であるセガのSG-1000というゲーム専用機やソニーなどの低価格8ビットPCのMSXとの差異化を図っている。
 任天堂と同じく1983年に家庭用据置型ゲーム専用機の先駆的製品であるSG-1000を販売開始したセガは、CPUに関してはアメリカのザイログ(Zilog)が1976年に発表したZ80という既存CPUモジュールの互換製品μPD780C(NEC製)を採用しただけでなく、画像処理チップに関してはアメリカのテキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)が同社製低価格PCのTI-99/4(1979)用で利用していたTMS9918を採用していた。
 そうしたことから考えると、カセット・ウォークマン(1979)、ファミコン(1983)、SG-1000(1983)は下図のように位置づけることができる。

Technlogy_Product_Development2013-10-11

2.エンジニアリングとリバースエンジニアリング
first-moverが多額の研究開発投資によって開発した画期的な新製品であっても、followerはリバースエンジニアリング作業によって、その革新性の技術的基礎を解明・理解することができる。
 そのため、特許権や著作権などの知的財産権による法的保護をすることができないような場合には、競合他社に対する持続的競争優位を確保することができない。

技術戦略論2013.10.11 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.10.4

[前回の授業内容]技術戦略論2013.09.27
[次回の授業内容]技術戦略論2013.10.11
[今回の授業内容]
アッタ-バックのdominant design論

アッタ-バックは、イノベーション論的視点から市場セグメントの形成・発展・衰退のあり方を考察し、Product Innovation(製品イノベーション)やProcess Innovation(工程イノベーション)のあり方に関して下図のような傾向が存在すると論じている。

dominant_design2013
[出典] Utterback, J. M, and W.J. Abernathy (1975) “dynamic model of process and product innovation” Omega, Vol.3, Iss.6, , p.645を日本語化したもの。
なお横軸の表記は、オリジナルの図における「Uncoordinated process → Systemic process」(「バラバラでまとまりのない非統合的過程」→「まとまりのある組織的過程」)から、左図のように「流動期(Fluid phase)→移行期(Transitional phase)→固定期(Specific phase)」へと変更した。
同表記は、 Utterback, J. M, (1994) Mastering the Dynamics of Innovation, Harvard Business School Press, p.xvii (大津正和;小川進監訳,1998)『イノベーション・ダイナミックス』有斐閣,p.7) におけるものである。
1.流動期
(Fluid phase)
機能や性能が異なる多種多様なDesignのProductが競争
Product InnovationによるProductの差別化が主流、Process Innovationは不活発
2.移行期
(Transitional phase)
Dominant Designの成立
時間の経過と共にdominant design(市場において支配的な製品設計)が成立する
3.固定期
(Specific phase)
特定のProduct Designが市場を支配
Product Innovationは不活発、Process Innovationによる製造Cost低減や品質改善が主流
流動期=市場形成初期 — differentiationの追求によるadvantageの確保
市場形成初期は、Product technologyに関するInnovation(Product Innovation)が最も盛んにおこなわれ、さまざまな企業から様々な技術的方式に基づく多種多様なdesignの製品が市場に投入される「流動期」として位置づけることができる。
流動期における製品間競争は、様々な技術的方式の間で製品の機能や性能の優劣を争う競争として展開されることになる。すなわち流動期においては、プロダクト・イノベーションに基づく製品の「機能」的差異化や「性能」差異化を中心とした製品間競争という形態で企業間競争が繰り広げられることになる。

移行期 — dominant designの成立による、競争の焦点の移行
当該市場で支配的な製品設計であるdominant designの成立により、流動期から固定期に移行することになる。dominant designの成立後は、製品間競争の焦点が製品の「機能」や「性能」から、製品の「価格」へと移行することになる。

固定期 — costleadershipの追求によるadvantageの確保
dominant design成立後は、product design(製品設計)の固定化が生じることになる。固定化により競合製品の「機能」や「性能」が同じようなものになるため、製品間競争焦点が製品「価格」に移る。「価格」に関するadvantage確保のために、Production Process technologyに関するInnovation(Process Innovation)が追求されることになる。

Product-Module-Parts-Materialという階層性
ex.iPhoneというProductを構成する諸モジュール — 液晶ディスプレイ、充電池、カメラ、フラッシュメモリ、SDRAM、CPU、ベースバンド・チップ(baseband chip)
[データの出典]
Quick Turn Teardown of the Apple iPhone 5s
http://www.techinsights.com/apple-iphone-5s/
http://www.techinsights.com/uploadedImages/Public_Website/Content_-_Primary/Marketing/2013/Apple_iPhone_5s/iPhone5s-BOM-estimate.jpg

[関連WEB]
EE Times Japan(2013)「iPhone 5s/5cのBOMコスト、差は10ドル」2013年09月25日
http://eetimes.jp/ee/articles/1309/25/news068.html

技術戦略論2013.10.4 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.09.27

[先週の授業内容]
[今週の授業内容および重要ポイント]
配付資料および授業中に取り上げた資料
1.ProductのProduction Processという視点からの考察
ポイント1.product innovation/process innovation
「productに関するinnovation」としてのproduct innovation(プロダクト・イノベーション)と「production processに関するinnovation」としてのprocess innovation(プロセス・イノベーション) の区別と連関という視点から、イノベーションを理解することが必要

ポイント2.product technology/production technology
「productに関するtechnology」としてのproduct technology (製品技術)と「production processに関するtechnology」としてのproduction technology (生産技術) の区別と連関という視点から、イノベーションを理解することが必要

「液晶テレビ」というProductと、そうした製品の実現を可能にした「液晶技術」というProduct Technology(製品技術)を区別することが必要である

「3D対応テレビ」や「3D対応ゲーム機」という製品開発を例に取ると、下記の二つを区別することが必要である。

3Dパネルやマルチタッチパネルという新しいパネルモジュールを可能とする製品技術の研究開発
3Dパネルやマルチタッチパネルという新しいパネルモジュールを高品質かつ低コストで大量生産するための製造技術の研究開発

2.Market, Technology, Moduleという視点からの考察
a. Market-In vs Product-Out
Market-In型新製品開発 —- Market Researchに基づく「製品」開発
first-moverおよびfollowerによる、既存製品改良型の製品開発
タイプ1>新しいMarketニーズ=新しいdemandに基づく「製品」開発 [ex.環境にやさしい製品に対するdemand]
タイプ2>既存Marketニーズに対応した既存競合製品に対する相対的競争優位の確保が見込まれる新しい「製品」の開発[ex.より長時間駆動可能なスマホやノートPC製品の開発]

vs

Product-Out型新製品開発
ソニーのウォークマン、アップルのiPhoneなど、first-moverによる新市場開拓(市場創造)型の製品開発

2013-09-27-Product_Market

b.「製品」開発 vs 「技術」開発 —- 「製品」開発と「技術」開発の区別と連関という視点からの考察の必要性
「製品」開発と「技術」開発を同時並行的におこなう技術戦略を取るのか?
「製品」開発に「技術」開発を先行させる技術戦略を取るのか?、
「製品」開発は自社でおこなうが、「技術」開発や「製品」製造、「モジュール」製造は他社に依存するという技術戦略を取るのか?

[来週の授業内容]
技術戦略論2013.09.27 はコメントを受け付けていません

技術戦略論2013.09.20

[今週の授業内容]
授業ガイダンス — 今期の授業予定内容

技術戦略に関わる基本的理論(1) —- 先駆者(firsrt-mover)/後発者(follower)の区別基準の多様性
基準1 — 市場参入時期を基準とする先駆者 vs 後発者
基準2 — 技術開発時期を基準とする先駆者 vs 後発者
[技術的先駆者/技術的後発者に関する表象(1) —- 発明者 vs 模倣者]

技術戦略に関わる基本的理論(2) —- leader(リーダー、先導者)/follower(後発者、追随者、模倣者)の区別基準の多様性
基準1 — 市場シェアを基準とするleader vs follower
基準2 — 技術力および技術開発力を基準とするleader vs follower
[技術的先駆者/技術的後発者に関する表象(2) — 技術的 leadership 戦略 vs 技術的 followership 戦略]

技術戦略に関わる基本的理論(3)―クリステンセンの Value Network 論

技術戦略に関わるケーススタディ(予定事例)
家庭用ゲーム専用機関連企業(任天堂・セガ・ソニーなど)の技術戦略
PC関連(インテル・マイクロソフト・アップル・IBM・NEC・富士通など)の技術戦略
情報通信関連企業(NTT・ソフトバンクなど)の技術戦略
総合家電メーカー(ソニー・パナソニックなど)の技術戦略

[次週の授業内容]
技術戦略論2013.09.20 はコメントを受け付けていません

情報公共論 2013.07.23

最終授業

[先週の授業内容]

情報公共論 2013.07.16

[配布資料]
1.使用許諾契約書
(1) Apple iOSソフトウェア使用許諾契約(Apple iOS Software License Agreement)
http://www.apple.com/legal/sla/docs/ios6.pdf

「ソフトウェア(ブートROMコードおよびその他の組込ソフトウェアを含む)、文書、インタフェース、コンテンツ、フォント、および一切のデータは、本契約条件に従う場合に限りにおいてお客様に使用を許諾したものであり、お客様に販売したものではありません。また、Appleおよびそのライセンサーは、iOSソフトウェア自体の所有権を保持し、お客様に非明示的に付与した権利のすべてを留保します。」(引用に際して、訳を一部改変している)pdf p.32/325
“The software (including Boot ROM code and other embedded software), documentation, interfaces, content, fonts and any data that came with your iOS Device (“Original iOS Software”),・・・ are licensed, not sold, to you by Apple Inc. (“Apple”) for use only under the terms of this License. Apple and its licensors retain ownership of the iOS Software itself and reserve all rights not expressly granted to you.” PDF p.1/325

(2)マイクロソフト ソフトウェア使用許諾契約書
http://office.microsoft.com/ja-jp/products/FX103576343.aspx

マイクロソフトは、本ソフトウェアまたはその複製をお客様に販売するものではなく、その使用許諾を与えるものです。

Q.本ソフトウェアで許可されない行為などはありますか。
A. はい。本ソフトウェアはライセンス許諾されるものであり、販売されるものではないため、本ライセンス条項に明示的に許諾されていない権利 (知的財産に関する法律に基づく権利など) はすべてマイクロソフトが留保します。特にこのライセンスは、次の行為に関してお客様にいかなる権利も与えるものではなく、お客様は次の行為を行うことはできません。本ソフトウェアの機能を別々に使用または仮想化すること。本ソフトウェアを公開、複製 (許諾されたバックアップ用の複製を除く)、レンタル、リース、または貸与すること。本ソフトウェアを譲渡すること (本ライセンス条項で許諾されている場合を除く)。本ソフトウェアの技術上の保護手段の回避を試みること。本ソフトウェアに対してリバース エンジニアリング、逆コンパイル、または逆アセンブルすること。ただし、関連する法令において、禁止の合意にもかかわらずこれらの行為が許可されている場合のみ、この制限に関係なく、このような行為も法の範囲で許可されます。お客様は、インターネット ベースの機能を使用している場合、第三者によるそれらの機能の使用を妨げる可能性のある方法で、またはサービス、データ、アカウント、もしくはネットワークに不正な方法でアクセスを試みるために、これらの機能を使用することはできません。

2.授業のまとめ
[今週の授業内容]
[さらに進んで調べるための参考資料]
情報公共論 2013.07.23 はコメントを受け付けていません

経営技術論 2013.07.05

[先週の授業内容]
[今週の授業内容]
A.今週の授業内容
1.先週の授業に関するパスワード付き補足資料

2.「dominant design成立後に、製品イノベーションが下火になるのはなぜなのか?」「市場で支配的(dominant)な 製品設計(product design)が成立した後にプロセスイノベーションが盛んになされるのはなぜなのか?」に関わる諸要因
(1) ある特定時点で実現可能性のあるプロダクト・イノベーションの数の有限性

(2) 技術の発展限界の存在 — 技術発展に関するS字カーブ的構造の存在

(3) 「スイッチング・コスト」、「経路依存性」、「市場で評価される製品性能の上限」、「バンドワゴン効果」に起因する「技術のロックイン」現象

B.今週の授業内容 — 「技術のロックイン」現象
(1) スイッチング・コスト
(2) 経路依存性 — 製品を取り巻く環境の歴史的規定性
(3) バンドワゴン効果

a. ネットワーク外部性によるバンドワゴン効果
FAXのProduct Innovationにおいて、G4 FAXという性能が高い新世代機が、G3 FAXという性能が低い旧世代機との競争に敗北した理由
b. 補完財に関わるバンドワゴン効果
音楽CDとCDプレイヤー(累計12億台)+CD-ROMドライブ(累計14億台)

(4) 市場において意味あるものとして評価される性能に関する上限[7/5授業予定の予告]

[今週の配布資料(予定)]
[来週の授業内容]
経営技術論 2013.07.12 授業メモ

経営技術論 2013.07.05 はコメントを受け付けていません

情報公共論 2013.07.09

[先週の授業内容]

情報公共論 2013.07.02

[配布資料]
1.「コロッケに偽ミンチ — 北海道の業者が加ト吉に納入、生協が全国販売」『朝日新聞』2007年6月20日朝刊
2.「偽ミンチ — 安い肉集め利益追求,混ぜれば分らぬ」『朝日新聞』2007年6月20日朝刊
5.「ビデオ対応iPodの一部がWindowsウイルスに感染」『日経IT Pro』 2006年10月18日
6.「Mike Mullins(吉井美有訳、2007)「気づかないまま1年…こっそり仕掛けられるキーロガーの脅威にご注意」ZDNetセキュリティ
[今週の授業内容]
「内容をopenにしておく必要性」=「内容をclosedにすることの問題点」
[さらに進んで調べるための参考資料]
[次週の授業内容]

情報公共論 2013.07.16

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情報公共論 2013.07.16

[先週の授業内容]

情報公共論 2013.07.09

[配布資料]
1.「ソースコードの公開」を軸としたソフトウェア分類
2.「改変の自由」を軸としたソフトウェア分類
3.「著作権」を軸としたソフトウェア分類
OSS(Open Source Software)の位置づけに関して、上記のような3つの分類軸で考察を行った
4.「ミラクル・リナックス — 誰もが使える自由なソフトを、顧客の要望 個別に開発」『日経産業新聞』2012年10月31日
ミラクル・リナックス社は、OSSのLinuxOSを利用して個々の企業向けにカスタマイズした製品をつくることで自社の競争優位の確立を図っている。
5.岡田有花(2012)「「グリーのサーバサイドは99%がOSS」――藤本CTOが語る、OSSに貢献する理由」」ITmediaニュース、2012年12⽉04⽇ 19時12分 更新
「グリーのサーバサイドソフトは、OS(Linux)、データベース(MySQL)、Webサーバ(Apache HTTP Server、nginx)、プログラミング言語(PHP、Ruby)などほぼすべてがOSSである。また自社開発のソフトやライブラリーのOSS化によるソフト公開は、社外のエンジニアを含めて多方面からのフィードバックがある。」という趣旨の発言をグリーの藤本真樹CTOは主張している。
6.「開発負担軽減へ合従連衡 — ソーシャルゲームの生態系(中)」
スマホゲームの開発コストが高騰し、開発費が1億円を超えるゲームもざらにあり、「従来型で一般的だった開発費1000蔓延程度のゲームに消費者は見向きもしない」状況に対応するために、グリーは、技術者の通年採用とともに、ゲーム開発に使うソフトを公開するOSS戦略を採用している。「みんなで使える技術は共有し、ゲーム市場の活性化につながればいい」とグリーの藤本真樹CTOは主張している。
7. 「ボランティアに支えられたソフトとしてのFreesoftware」および「自由なソフトならコンピュータの仕組みが学べる」
「フリーソフトは“自由なソフト”と呼ぼう–リチャード・ストールマン氏」2003年4月21日(http://www.nikkeibp.co.jp/archives/243/243177.html)における「自由なソフトの開発者は何から生活費を得ればよいのですか。」という質問、および、「FSFは自由なソフトを広めることが目的ですが、教育的な活動を行う予定はありますか。」という質問に対するストールマンの回答

8. 「Darwin(オペレーティングシステム)」『ウィキペディア』

http://ja.wikipedia.org/wiki/Darwin (オペレーティングシステム)

Darwinとは、アップルのパソコン製品MacのOSであるMac OS X、携帯音楽プレーヤーiPod,携帯電話製品iPhone,タブレットiPadのOSであるiOSのカーネル部分である。
Darwinのライセンス形態Apple Public Source Licenseは、そのver.1でOSI(Open Source Initiative)によってオープンソースソフトウェアとして、そのver.2でフリーソフトウェアとして承認された。
 しかしながら、Apple Public Source Licenseは、コピーレフトの条件を満たしておらず、理念的な意味ではオープンソースソフトウェアでも、フリーソフトウェアでもない。

9. 「モバイルOSが促す機器の均質化」『日経エレクトロニクス』2013年4月29日、pp.28-29
10. 「Androidのソースはどう改変されるか」『日経ソフトウェア』2013年7月号,pp.92-93
11. 「Armの開発体制で見えたIntelのもう一つの強み」『日経WinPC』2013年7月号,pp.122-123
11. 「「オープンソースに学ぶべき点はコミュニティ」—米Microsoft Linux/OSS戦略担当Bill Hilf氏」日経IT Pro,2005年2月24日
[今週の授業内容]
[さらに進んで調べるための参考資料]
[次週の授業内容]

情報公共論 2013.07.23

情報公共論 2013.07.16 はコメントを受け付けていません

情報公共論 2013.07.02

[先週の授業内容]

情報公共論 2013.06.25

[配布資料]
1.
2.
[今週の授業内容]
1.先週の復習と新しい事例
2.情報財の公共的利用をめぐる議論
  1. 米国におけるフェアユース規定に関する法的規定
  2. 日本におけるフェアユース規定をめぐる議論
    「「知財戦略2008」、フェアユースや検索キャッシュ合法化盛り込む」2008年06月20日 07時00分
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0806/20/news013.htmlITmedia(2008)「フェアユースの議論、権利者も参加させて――権利者7団体が知財戦略本部に要望」ITmedia、2008年10月01日 19時07分
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/01/news091.html

    鳥澤孝之(2009)「日本版フェアユース規定」導入の議論と図書館への影響」カレントアウェアネス-E、No.145 2009.03.04
    http://current.ndl.go.jp/e895

    日本文藝家協会、日本写真著作権協会、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、学術著作権協会、日本新聞協会の6団体は、2010年1月20日に、日本版フェアユースと呼ばれる著作権法上の「権利制限の一般規定」導入に反対する意見書を、文化庁の審議会委員宛に提出している。

    日本新聞協会(2010)「「権利制限の一般規定」導入に関する意見書」
    http://www.pressnet.or.jp/info/seimei/iken20100120.pdf

    ITMedia(2010)「新聞協会など、日本版フェアユースに反対 「Webページの無断印刷は被害甚大」」ITMedia News、2010/1/20
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/20/news096.html

    岡田有花(2010)「「日本版フェアユース」の対象は 報告書まとまる」
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/20/news087.html

    文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会 報告書(概要)
    http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_07/pdf/shiryo_3_1.pdf

    文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会 報告書
    http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_07/pdf/shiryo_3_2.pdf

    文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第7回)議事録(2010年1月20日
    http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_07/gijiyoshi.html

    文化庁長官官房著作権課(2011)「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 権利制限の一般規定に関する最終まとめの概要」
    http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_kyouka/2011/dai4/siryou2_1.pdf

    知的財産戦略推進事務局会議室(2011)「知的財産戦略本部 コンテンツ強化専門調査会(第4回) 議事次第」
    トップ >会議等一覧 >知的財産戦略本部 >コンテンツ強化専門調査会

    http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_kyouka/2011/dai4/gijisidai.html

    著作権法改正案
    http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1318798.htm

    木村孝(2012)「日本版フェアユースとは何か」情報通信政策Watch,2012年12月3日 (
    http://ict.cocolog-nifty.com/ict/2012/12/post-80f1.html

    「日本版フェアユース1 ~フェアユースとは?~」著作権の最新事情 2012年11月30日
    http://www.hou-nattoku.com/chizai/case2012/009.php

    「日本版フェアユース2 ~フェアユースと「写り込み」~」著作権の最新事情 2012年12月 7日
    http://www.hou-nattoku.com/chizai/case2012/010.php

    「日本版フェアユース3 ~「資料作成」・「技術開発」などはフェアユースの範囲内?~」著作権の最新事情、2012年12月14日
    http://www.hou-nattoku.com/chizai/case2012/011.php

    福井健策-2012-福井弁護士のネット著作権ここがポイント-著作権法改正でこう変わる
    http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20120411_525463.html

  3. 米国におけるフェアユースに関わる具体的事例
    2009年3月31日には、イギリスの新聞Guardianが、様々な新聞社のニュース情報を一括して見ることができるようにしているグーグルの情報提供サービス「ニュース・アグリゲーション・サービス」などを対象として、アグリゲーション・サービスを調査するよう政府に求めた。また「メディア王」と呼ばれるRupert Murdoch(News Corp.のCEO)は、2009年4月2日に開かれた業界イベント「Cable Show」における講演において、「Googleがわれわれの著作権を盗むのをこのままにしておいてよいのか」というようにグーグルのニュース・アグリゲーション・サービス批判を展開した。
    The Wall Street Journal(WSJ)のRober Thomson編集長はオーストラリアの新聞に答えて、「ある種のWebサイトは、インターネットの消化器官の寄生虫だ」と批判した。
    またAssociated Press(AP)会長のDean Singletonも、「誤って導かれた法理論の下に、他者がわれわれの記事をもっていくのをこれ以上黙認できない」「怒りも限界だ」と批判していたが、2009年4月6日には、自社の情報コンテンツを不当に利用しているニュース・アグリゲーション・サービスに対しては法的措置をとることや、自社コンテンツを追跡するシステムを開発して不正を摘発する計画を発表した。

    [関連URL]

    b.株式会社ブライナ(2013)「AP通信記事の部分転載、フェアユースでなく著作権侵害、米地裁」知財情報局IP-NEWS、2013/03/26
    http://news.braina.com/2013/0326/judge_20130326_001____.html

     米のAP通信(Associated Press)は、複数のニュース・メディアが公開している記事のタイトル、記事の冒頭部分、および記事へのリンクをまとめたニュースレターの配信サービスをおこなうサービスは著作権侵害行為であるとしてノルウェーのオンライン・メディア・ソリューション企業Meltwaterにライセンス契約を求めたが、Meltwaterは同サービスは米グーグルのGoogle News Alertと同様のもので米著作権法の第107条に規定されている「フェアユースにあたるものであり著作権侵害にあたらないとして拒否したため、AP通信は2012年2月にMeltwaterのアメリカ支社を著作権侵害でニューヨーク南部連邦地裁に訴えていた。同地裁は2013年3月20日にAP通信側の主張を認める判決を下した。
    ニューヨーク南部連邦地裁のデニス・コート判事は、「Google Newsを通してユーザーを記事本体へと導くクリックスルー率が56%であるのに対して、Meltwaterのニュースレターからのそれは0.08%と格段に低い」ことを根拠として、MeltwaterのサービスはGoogle Newsとは異なりAP通信のサービス事業の利益を損なうものであるとするとともに、「Meltwaterが抜粋している冒頭部分は、記事の心臓部に当たる部分で、記者の創作性が最も発揮されるものである」こと、および、「Meltwaterと同様のサービスを提供する他社はAP通信にライセンス料を支払っている」ことなどを判決理由として挙げている。
[さらに進んで調べるための参考資料]
「引用」に関する議論
[次週の授業内容]

情報公共論 2013.07.09

情報公共論 2013.07.02 はコメントを受け付けていません

情報公共論 2013.06.25

[先週の授業内容]

情報公共論 2013.06.18

[配布資料]
1.丸尾弘志(2011)「アップルvsサムスン電子-GALAXYは果たして「模倣」なのか」『日経デザイン』2011年09月号,pp42-48
2.丸尾弘志(2011)「サムスンの逆襲!狙いはアップルの「新規性」くずし一続報!米アップルV S. 韓国サムスン電子」」『日経デザイン』2011年10月号,pp.6-7
サムスンは、アップルに反論するための証拠として、1981年および1991年に米国の新聞社が発表した電子新聞のプロトタイプに関する写真、スタンリー・キューブリックが監督した「2001年宇宙の旅」などの映画に登場した端末の写真などを提出した。
 電子新聞のプロトタイプは現在の電子書籍端末を思わせるものであるが、1991年に発表されたプロトタイプの開発プロジェクトにはアップルの関係者も関わっていたとされている。
 サムスン側は、iPadのようなデザインの端末それ自体はiPadが登場する以前から前にすでに数多く存在していたと主張することで、iPadのデザインには新規性がなくアップル社のデザイン特許は無効であるという議論を展開している。
 なおサムスンはiPhoneのデザインについても、過去に発売された既存の製品や過去のデザイン特許を証拠として提示してiPhoneのデザイン特許には新規性がないという主張を展開している。
 サムスンの主張は、「アップルの特許はどれもシンプルで分かりやすいもの。それだけにそのデザインは誰もが思いつくものである」という趣旨のものである。

3.アニメ映画・ディズニー(2001)「アトランティス」とTVアニメ・ガイナックス(1990)「ナディア」の類似性の高さ」
http://web.archive.org/web/20011212160004/www2.freenet.jp/nadia/nadia_vs_atlantis_jp.html
米国で2001年6月に公開されたディズニーのアニメ映画「アトランティス 失われた帝国」と日本で1990年にNHKで放送されたTVアニメ「ふしぎの海のナディア」の類似性の高さが大きな社会的論議の対象となった。ディズニーのアニメ映画「アトランティス 失われた帝国」の監督Kirk Wiseは、「このニュースグループで指摘されるまで「ナディア」なんて作品は聞いた事も無かった。(指摘を受けたのは)作品を完成させたずっと後だった」と証言しているが、下記の文章に示されているように両者の類似性はかなり高い。
 本資料は、両作品のメイン・キャラクターおよびストーリーの類似性の高さを検証したoldcrow@oldcrows.net氏による下記の原出典の英語の文章を、HAL9k氏が日本語に翻訳した文章である。
http://web.archive.org/web/20011202065207/www.oldcrows.net/Atlantis/

4.佐野正博2009年度情報公共論資料「模写・模造の意義に関わる参考資料」
1. 東京国立博物館(2005)「模写・模造と日本美術―うつす・まなぶ・つたえる―」東京国立博物館2005年7月20日プレスリリースの抜粋 1
2. 東京藝術大学 美術学部・美術研究科 絵画科日本画専攻のカリキュラム 4
3. 「長谷川潔:模写から創造へ」横浜美術館コレクション展 第2期 2007年7月11日-12月9日 5
4. 藤倉健雄(2005)「パントマイムにおける模写的表現・・・イメージの再構築について」『バイオメカニズム学会誌』Vol. 29, No. 3, pp.133-138からの抜粋 5
5. 模写から創造への一例としての似顔絵 — 山藤章二(2005)『カラー版 似顔絵』岩波新書 6
6. 「ディズニーmeets手塚治虫・作品~手塚治虫のディズニー漫画」 [2005年04月15日(金)] 7
7. 「手塚治虫の盗作疑惑の真相について」2009年05月04日より 8

5.竹内オサム「浦沢直樹「MONSTER」(1994~2001年)(マンガの時代)」『日本経済新聞』2010年5月26日夕刊
竹内氏は、「マンガは本質的に「引用と加工の文化」である」としている。氏によれば、「戦後のマンガの多くが,他の物語文化の素材やストーリーを借用して成り立つ。
手塚がよい例。浦沢もまたそうしたマンガの体質を実践している創作家だと言える。」として、浦沢直樹「MONSTER」をそうした視点から分析している。

[今週の参照資料]
東京芸術大学大学美術館(2001)「よみがえる日本画」
http://www.geidai.ac.jp/museum/art_museum/top.htm 2013/

2001年4月27日(金)-6月10日(日)に東京芸術大学大学美術館で開催された「よみがえる日本画」展の案内ポスターでは、「巨匠たちはみな模写の名手だった。」ということが強調されている。

【ゲジヒト】浦沢PLUTOと手塚プルートウのキャラクターを比較してみた【アトム】更新日: 2010年11月08日RSS
http://matome.naver.jp/odai/2128885363843901001

[今週の授業内容]

From Copy to Creation
transformative(変容的)であることを議論はしていない。

[さらに進んで調べるための参考資料]
著作権関連
小西 恵(2004)「著作物性について」『パテント』57(2), pp.57-61
http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200402/jpaapatent200402_057-061.pdf

マイクロソフト vs サムスン
「”模倣”の代償は売り上げの2割 —- 米アップル対韓国サムスン電子、10億ドル訴訟の詳細を分析する」『日経デザイン』2012年10月号,pp.54-57

 2012年8月24日、米カリフォルニア州北部連邦地方裁判所における米アップルと韓国サムスン電子の特許・デザイン訴訟における陪審員評決において、サムスンがアップルの知的財産権を侵害したとして、約10億5000万ドル(824億円、当時の換算レート:1ドル78.5円で計算)という巨額の賠償金支払いが命じられた。
 本記事は、そのことに関する日経デザイン編集部による分析である。インターフェース特許とデザイン特許とでは、賠償金額の考え方が異なるなど、興味深い議論が展開されている。

[次週の授業内容]

情報公共論 2013.07.02

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